46話~受験②~
お次は知識を問う問題。それを現在進行形で解いている。勿論理科や社会なんてものじゃなくて、戦術とか簡単な魔法の属性みたいな基本的な部分を問われるテストだ。一応これが俺たちにとって一番のネックとなるテストだろう。俺達の世界では全く縁のないものなんだから初心者も同然だからだ。
一応この一ヶ月でのテスト勉強で俺とイルマはある程度覚えることは出来た。恐らくまだ子供の脳みそだったから物事を吸収しやすいというのもあったかもれないが、とりあえず合格は確実だろうと思われるとこまで点数をもぎ取れる自信はある。
なら安心して受ければ良いだろうと思うかもしれないが、確かに俺達はそれほど問題ではない。だが、俺達と一緒に過ごすようになってからまだ3週間にも満たない。更にここの言葉も分からない秋風さんならどうか? 確実に難しいだろう。しかも受験をまだしたことが無いと思われる12歳。これが最初に受験勉強をした時の俺の懸念だった。
――まあすぐにその懸念は打ち破られたが。
まさかの秋風さんはお嬢様学校に中学受験をして更に合格をもぎ取るという強者でした。思わず一日ぐらい低姿勢と尊敬の眼差しで過ごした俺は悪くない。純粋に凄いと思ったからそうしたんだ。……多少の嫉妬はあったけど。
だから秋風さんの暗記力は強く、吸収率の高い俺たちほどには無くとも普通に合格するには十分なほどの量を2週間程で暗記していた。この世界の受験生涙目だな。お前ら二週間で覚えられる量を数ヶ月も前から必死に勉強するって……。やはり勉強に慣れていないとここまで差がつくものなんだろうか。
まあいいや。今そんなことより問題に集中しないとな。やっぱり初めて勉強するジャンルだけあって意外と苦戦しているが、ほとんどが暗記したものを書く記述問題ばかりなので覚えていれば全く問題は無い。多少の穴はあるが……まあ、周辺で死ぬほど唸っている熱血系男女よりはましだろう。
まあ前方のイルマは既に寝る体勢に入っているから俺も急がないとな。点数で大差をつけて負けたくはないし。後背後からもテンポの良い音が聞こえてくるから秋風さんも好調なんだろう。
さて、もうひと頑張りだ。
問題なく戦術と魔法に関するテストも終了し、現在俺達は訓練場にいる。
筆記試験は終了し、実技試験をするために訓練場に担当の先生の先導のもと歩いてきたのだ。そして試験内容を聞くと、今回は受験生が多かったのかなんと二段階程に分かれていると言うじゃないか。そうすると、一回だけだと思っていた受験生達からの大ブーイング。しかし、それを担当の先生の大音量による一喝。魔法を使わなくてここまででかい声とか勘弁してくれ。目の前にいた子なんか気絶しかけてるじゃんか。
「ねえテオ君。なんのテストが増えたんだろうね? 楽しいと良いんだけど」
「確かにそうだけど力勝負になりそうなテストだけは勘弁な」
俺は秋風さんの言葉に苦笑しながら答えた。ただでさえ貧弱なこの腕で年上相手に強引にいって勝てる可能性はない。無手なら有り得るかもしれないが。
まあそんなことより、イルマはどこだっけ。あ? 後ろか。
「イルマは何があると思う」
「……最初に何かしら生徒の数を減らすことをしてから次にそこに並んでいる兵士達とた戦うんじゃないのか?」
イルマの予想は大体が的確だからこれも当たってるだろうなと思う。というか自分でも考えれば分かることだったことに少しだけ落ち込んだ。しかし、そんなことに2人は何も気にもとめずこれから始まる実技試験の説明に耳を傾けた。そして俺も無視されたことに少し悲しみを覚えながら話を聞く。
体育会系の細マッチョとゴリマッチョの中間に位置すると思われる男性が訓練場全体に響き渡るような声でする説明を聞くと、どうやら一旦試合用の場所に移動し、そこでいくつかのグループに分かれて乱闘をする。それに合格出来た生徒が次の二次試験を受けるということらしい。なんという脳筋でも分かりやすい単純設定。
そして説明が終わると何故か先生達が全員で生徒達に何か紙を配り始めた。えっと…「teamC」ですか。はい。何で英語なんだろうね。それとこれは整理券ですか。
そしてまたまた先生に先導されて来た場所はコロッセオを簡易化して縮小してもう少し趣を無くしたような所であり、俺と秋風さんはそこの観客席に座っていた。
「そういえば秋風さんは整理券は何て書いてあった?」
「私はDだよ。テオ君は? 出来れば重ならないと良いけど」
「安心しなよ。俺はCだから。それよりこれからAチームが戦うけどその中にイルマ……いるよね?」
「うん。さっきイルマ君がテオ君にって伝言を伝えてきたよ」
……何故直接言わんのだ。
「何て?」
「「ちょっと目立ちすぎない程度に無双してくるよ♪」だって。私達も無双してみる?」
「いや……遠慮しておくよ」
あいつ、何かストレスでも溜まってたんかなあ?




