41話~奇襲~
今回なんかぐだった気がします
あの秋風さんが泣き始めて数分後ようやく両者共に正気に戻り、ゆっくりと、特に不自然な動作などがないように離れた。急に離れては意識しなくとも勝手に意識してしまうものだ。数分前の俺ならそうしていただろうが、冷静になった俺は無駄に勘違いをさせていると思わせるフラグは立てないで済む……はず!
そう思っていた頃が僕にもありました。
何事も無く夕食を終え、イルマと秋風のもとで生まれ変わった自身のスペックを確認して予想外に強化された部分も弱体化された部分も多いことに軽くじゃないどころに驚き、弱体化された部分が俺にとってあまりにいたかった。そしてひとしきり喜んだり落ち込んだりを繰り返した後、イルマによって魔法の実験をいくらかしていたのだが、ある意味これが一番の収穫だったとも言える。
そこで一息吐いてなんとなく聞いてなかった現状を聞いてみたところ死んでから数日ばかり過ぎていることを知らされ、入試まで後残り3日という事実に更に驚いた。
そして俺が秋風さんと同じベッドで寝ているということにも驚いた。
……ここ重要ね。普段は俺が床に何かを敷いて寝て、秋風さんがベッドで寝ているのにこの状況になっている。更に言うと俺がベッドの上に秋風さんから押し倒された状態になっている、しかも他意があるという。
…可笑しいな。秋風さんとは同室だから寝るときには不可侵領域を作るために必ず土壁を作ってるのに何か今日はそれをしなくていいと言われたぞ。しかもその時の様子が何か可笑しい。すこしぼんやりとしていて意識が少し飛んでいる感じだった。
「…ねえ」
「な、なに?」
現実逃避を何とかしようと頑張っている時に普段は絶対に出さない、まとわりつくような声で話し掛けてきたため上ずった声で返事をしてしまった。今の秋風さんは絶対に可笑しい。……いや、冷静に考えろ俺。もしかして今以外にも普段と違う行動をしていなかったか? 脳をフル回転させて思い出すんだ。あの時の俺の視界に秋風さんはいたはず。
テオは理沙が更に密着してこようとするのを少しでも阻止しながら全力で今日の出来事を思い返していた。そして幸いにも今の脳は調子が良いようですぐに思い出すことは出来た。
スペックを確認中、確か秋風さんは無表情、いや。少し口角が上がってたから笑って見ていたのかな。魔法の実験中、これは……俺の魔法の幅が広がったことが嬉しくて満面の笑みを浮かべてたらイルマに背中を叩かれて、秋風さんは頬を少し赤らめていたな。…あれ?そして今の現状を聞いてた時、イルマはやたらと多くの情報とテストの内容を教えてきて、秋風さんは大分ボディタッチが多かったけど親切に教えてくれて分かりやすくこの世界の言語も話せるようになってきていてそれを褒めると、「テオ君のお陰だよ」とか笑顔で抱きつかれながら言われた。聞いてみると少し間が空いた後に「お礼だよ」とのこと。
…分かった事、笑顔を秋風さんに向けたあたりから急に可笑しくなってきた。
あるえ? 俺ってそんな笑っておとせる技術なんか持ってねえぞ!!?
ま、まあ今は秋風さんが今どんな状態に陥っているのかを確認しないと。
そう思い、意識を元に戻すと幸いにも数秒しか経っていないらしく、言葉の続きはまだ言っていなかったようだ。しかし、接近は大分許してしまっており、秋風さんの控えめな胸が俺の体に押し付けられている。これは普段の秋風さんなら絶対にしない行動だ。
「テオ君はさ…私のこと愛してるよね?」
「…え? いやそんなことよr」
「勿論私は愛してるよ。テオ君さえいてくれれば他はどうでもいいんだ」
俺が言葉を言い終える前に秋風さんは言葉を続けてきた。それを俺の耳元で誘惑するかのように囁く辺り正直やばいかな。と思ってる。いざとなったら気絶させて明日イルマの眼鏡を着けて状態を確認しよう。
「だからね、私を君のことでいっぱいにして欲しいの」
秋風さんの言葉に気づかずに俺がしばらく黙考しているとそれを俺が肯定したと解釈し、俺の唇に自分の唇を重ねようと近づけてきた。
そこで目の前の出来事に気がつく俺。そして反射的にそれを避け、秋風さんを上からどかそうと拘束されている右手を外すために力を込めた。
しかし、秋風さんの体は微動だにしない。どうやら根本的に腕力の差があり過ぎるようだ。
仕方なく前にゴロツキどもに当てた電気より少しだけ威力を弱めた電気を左手に纏わせ、首筋に当て、気絶させた。物理的な抵抗は強いが魔力的な抵抗は弱いのだ。だから比較的弱めの魔法を当てても結構影響を受けてしまうため、電気で簡単に気絶したのだ。
そして、どさりと俺の体の上に崩れ落ちた秋風さんをひ弱で小さなこの体で何とか抱き上げて仰向けでベッドに寝かせ、俺はおとなしく床で寝ることにした。もしかしたら明日も同じ調子になるかもしれないからすぐにイルマのところに向かおう。




