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39話~戸惑い(笑)~

俺の意識が戻ってきた時に最初に感じたものは頬の違和感だった。

一体なんなんだと目を開けてみると、最近見た顔があった。まあ見た時にすこし頭のどこかで何か引っ掛かる部分をなんとなく感じざるを得なかったが。

「あ、起きた?」

「うん、まあ起きたけど。何をしていらっしゃる」


えーと…俺の今の状況を整理してみよう。

まず、この場所は周りの汚さから見て裏路地の何処かで見た感じ人はいなくてそこにあお向けの状態で目が覚めた。そして俺の目の前にはナナが顔の上に立って俺の頬を摘んだりぐにぐに踏んだりして起こそうとしていたのか少し楽しそうにしている。……あれ? ナナが俺の顔の上に立っている? なんか可笑しいな。

この違和感に少し考え始めた俺だったが意外とすぐに答えは出た。


「なんでナナは小さくなってるんだ?」

さっきまでは俺と同じくらいの大きさだったはずだが、今は手のひらサイズ、姉さんが最初に羽化させた風の精霊と同じくらいの大きさになっている。

「うん? これのこと? これはね、ちょっと無理をし過ぎちゃって精霊としての格が下がっちゃった」

テヘっと頭を掻きながら笑うナナ。というか大きさと同時に鎌も仮面の大きさも変わるもんなのか。それに俺のために無理をし過ぎてそうなったっていうのも申し訳ないな。

「何か随分体の大きさ変わる程無理をさせちゃってすまんね」

「んー……許す!」

胸を張って頷くナナ。この姿を見ていると別に大きさが小さくなっても特に落ち込んだりはしてないんじゃないかとか思ってしまう。





それじゃあ体を起こしてナナを肩に乗せながらもういっちょ状況整理。

さっき周辺の状況は確認したから次は俺の確認。確かナナは俺の体は前とは変わってるとか言ってたよな。それじゃまず、肌の確認。日に焼けて健康的な色になっていたはずだが、今はすべすべとしていて、アルビノじゃねえかと思うくらい白い。っていうかアルビノだったらどうしよう。あまりどんなものか詳しく知らないんだけど。

まあいいや、後でナナに確認したら分かるだろう。次だ次! 次は髪だ!

俺はテンションを上げて、さっきの心配を誤魔化し、肩まで届きそうなくらいにまで重力に素直に従って真っ直ぐに落ちる髪の毛を人差し指と親指でつかんで目の前に持ってきた。

そしてフワフワした感触と同時に目の前に飛び込んでくる若干紫がかった黒色。

……ここで俺の前の格好を説明してみよう。




日に焼けて健康的な色の肌で野山で運動したり父さんとの組み手によって少し硬くなった触り心地をしている。体つきもまだ子供だから筋肉はそこまで付いていないが柔軟な筋肉は持っている。そして、耳が隠れる程度まで伸びた茶髪で触り心地はサラサラではなく少しだけフワフワとした感じで、重力に謀反を起こすかのように盛り立つ立派なアホ毛。後は若干ネコ目っぽい形で家族全員に共通する青い眼くらいだろうか。そして顔はイケメンでもブサイクでもなく普通の顔よりほんの少しだけ良いくらい。クラスで2人くらいが格好良いって言うレベルかな。





「……まさかね」

俺はポツリと呟き、目の色を確認する為に水鏡を魔法で出した。

そして水鏡に映る俺が”俺”と認識している顔ではない別人の顔が映りこんだ。髪の毛は肩に届く程伸びており、アホ毛は存在していない。顔立ちは整っており段階で評価しろと言われても分からないが、イケメンの部類に将来的には入るだろう。そして少し吊り目ではるが、さっきよりもくりくりとした目で何だか愛嬌がある。後、紫目・・である。気のせいか少し瞳の奥が輝いているように見える。

ちなみに頬っぺたの触り心地はなんだか歳相応のマシュマロを触っているかのようにプニプニしている。そしてナナも浮遊して俺の頬をプニプニしてくる。



……まあここらで結論を言おう。

俺の体変わりすぎだよ!! むしろこれ俺の体がベースじゃなくて他人の体がベースになってるんじゃないのか!! っは!? もしかして……



「なあナナ。あの時俺を生き返らせてくれたけど体を作り変える基準ってなんかあった?」

物は試しにと何かこの体になった原因であるナナに尋ねてみたのだが、すぐに知りたかった答えが返ってきた。

「うん。まずあの時輪の中に入っていた材料を基に作りかえられるんだけど、魂はテオのしか入ってないから精神はテオだけのもの。そして肉体はテオのバラバラになった体とボクの体の半分を材料にしたんだけどここが見た目と強さが変わるとこで、基本的に総合力が強い方の体を基に作り変えられるんだよ。だからその姿とスペックはテオとボクを合わせて良いところと悪いところをランダムに手に入れた感じだよ」


「へえ、つまりこの体は基本ナナの体基準になっているからこの黒髪は分かるとしても紫目もナナからきたのか?」

「ううん。ボクの目はこの通り真っ赤だよー」

ナナがようやく仮面を外してその深紅の瞳を見てどうして俺の色が紫なのか瞬時に悟った。後、ナナって案外キリっとした顔つきしていて可愛い顔してんのな。



……ってそうじゃなくて単に俺の紫目は青と深紅を足して2で割ったからとかそんな感じじゃなかろうか。うん、ていうかそれしかない。

それにもう疲れたから宿に帰ろう。


「宿に帰ろっか」

「そうだね」


そして宿に帰ってイルマ達に事情を話して、その後に自分の体のスペックを確認して……あれ? その前にここまで体が変わってしまったら普通俺だって分かってもらえないんじゃ……?


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