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38話~教祖様…?~

タイトルが思いつかなかったんだ。

「なー。後どんくらいかかるんだ? もう大分経ったと思うんだけど」

やっと名づけに成功して闇の精霊の名前がナナとなった後、俺はおんぶされた状態で飛んでいた。ていうか飛ばされている。恥ずかしい。

まあこの見るとこ全てに足場が無く、落ちてしまえば何処に向かうとも知れない空間で、飛べない俺と飛べるナナがいる時点でこの結果は仕様が無いと言えるのだが、同年代(肉体年齢)ぐらいに見える女の子に軽々とおんぶされるという現実に目を向けてしまうとどうしてもやるせなさが込み上げてくる。だけどしっかりと掴まっておかないとぷらんぷらん揺れた挙句下に落ちてしまいかねないからそのやるせなさに目を向けなければならず、何度も空を飛ぶ魔法を覚えるという目下の目標を作ってしまった。




「結構長かったから分からないけど後10分くらいかなあ?」

ていうか何でそんなに口をにやけさせながらおんぶしてるんだよ。偶に笑い声がもれてるんだけど大丈夫なのナナさん!?

それに浮いたまま移動し続けてもう1時間は感覚で過ぎたと思うんだが魔力残量は大丈夫なんだろうか。俺のイメージでは生まれたての精霊は魔力が少ないイメージがあるんだが。


それに俺の体を生き返らせるといっても生き返った後はどうやってイルマと秋風さん、後家族に説明しよう。見た目が大幅に変わっちゃってたら俺だって信じてもらえない可能性も出てくるよな。




なんやかんや考えていると不意に視界が縦に回り始めた。って!?危なくないか!!?


「ぬあ!?」

どうやら俺はナナの頭を支点にして体ごと前方に投げ飛ばされているような状況らしい。そして現在俺の足があと少しで落下行動に入ってしまう!! そして思わず反射的に地面を求めて足から落ちるために足の落下速度を上げる俺。そして早まる落下フラグ。

落ちる所が見たくなくて閉じてしまった両目。するとさっきまであったあの何とも言えない浮遊感が薄れ、足が硬質な何かの上に着地・・した。


「……着地?」

想像していたこととは違った事が起きたため、恐る恐る目を開けてみると俺は床も壁もない一面黒で包まれたような世界に何故か立っており、俺が立っている所の周囲には水色の線で何かが描かれてあった。……もしかして魔方陣か?



周りを見回すとナナが後ろで俺の反応を口元をにやけさせながら眺めていた。

「ナナ……もしかしてこれを狙ったのか」

すると案の定ナナは右手で勢い良く親指を立ててサムズアップをした。

「あったりー。テオの反応は意外と面白いからね。ついやっちゃうんだ」

「!?」



一瞬何か頭の中を何かピエロのような鼻と白塗りの顔が浮かび上がってくるのと同時に教祖様という言葉がよぎった。一体なんなんだこれは。



…まあいいや。きっと前世で何か思い出せない変なものでもあったんだろう。


「どうしたの、急に黙って?」

「ん、いや。何でもない。それより準備が出来てるなら始めてくれないか? 時間制限があるんだろ」

「……ああ! そうだったね。それじゃあそこの魔方陣の中心に丸い輪を描いてるからそこに仰向けにでも寝てて待ってて!」

「りょーかい」




「そして現在に至る、という訳か」

「テオ、何か言ったー?」

「いや何でもない」

言った後、なんとなくナナの浮かんでいる方向へと目を向けてみる。

ナナは俺をこの魔方陣の上へと1本背負いで投げ飛ばして魔方陣のチェックをしていたのだが少し何やら当初よりも少し不満な部分が多いらしく魔方陣の上をすいすいとホバリングをしているかのように進みながら大鎌の柄で魔力を送ったり、部分的に書き換えたりと急がしそうに動き回っている。魔方陣の作り方なんて全く分からないから今度勉強でもしてみようかと思っていると、ナナが息を大きく吐き、こちらの方向に笑顔で戻ってきた。


労いの意を込めておつかれと言ってみたら、嬉しそうに笑い返してきた。



「一応魔方陣の修正は終わったから後は混ぜる物をここに乗せてこれを作動させたら終わりだよ。それと少し匂いがきついと思うけど我慢しててね」


そういうや否や、ナナは空中に指で丸い円を描き、そこからバラバラの物体が出てきた。

……っていうか俺だ。切り刻まれて達磨状態になっている俺の体が俺の隣に置かれている。死んでからある程度経ったはずなのだが、死んだ直後のような鮮度を保っていた。だから匂いがきつい。気づくと俺は無意識に右手で鼻をつまんでいた。




「次はボクの体を五割っと」

ひとり言を呟きながらナナは輪の中に入り、持っていた大鎌を両手で構え、そのまま自身の腹の辺りを両断した。

「って! 何をしているんだ!!?」

いきなり自殺でもするのではないかと思う程豪快に下半身を切り飛ばしたのだが、当の本人の上半身から血は流れておらず、輪の中に下半身を取り残したまま浮遊している。何故?


「大丈夫だよ。今のボクは肉体のままここに来ているわけじゃないんだから。それにここは魔力さえあれば、なんとかなるもんなんだよ」

そう言うと、下半身があった場所に何か光のようなものが集まってきていた。それは次第に光の強さも上昇していき、目も眩むほど明るくなってそれが治まった時には元通りになったナナの下半身があった。


そしてナナはその光景を唖然として見ている俺をニヤリと笑って一瞥してから魔方陣の外へ出て行った。



「今から魔方陣を発動するよ!」

「お、おう!」

急なテンションの上昇に戸惑いながら返事を返した瞬間魔方陣が今までよりもひと際大きな光を放ち始めた。そして外側では大鎌の柄の中心を持って頭上に回しており、その大鎌に大量の魔力が集まっているような感じがする。


「っせあ!!」

とうとう目も開けられない程の光が魔方陣から放出され始めた時にナナが十分に魔力を溜めたと思われる大鎌を魔方陣に気合いとともに振り下ろし、



そこで俺の意識は強制的にシャットアウトされた。


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