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33話~×アップ 〇プラス~

秋風さんが魔法使いになった次の日、やっと本格的に始まった魔法の訓練は、イルマによる魔法の講義から始まった。何で今更とも思ったが、一般的な講義ではなくイルマ独自の解釈による考えでこれを基に訓練をしているから聞くのと試すのを同時進行でしたいため、全員が魔法を使えるようになるのを待っていたのだそうだ。


そしてその講義は俺にとってもかなりこれからの戦略の幅が広がる内容だった。

まず、この世界での魔法の発動方法とはイメージだが世間一般がするものとイルマがするものは多少異なる点がある。それはイメージする対象の詳細さだ。



例えば水を発動するとして、世間一般が魔力を使い発動させようとするならばただ水という物体をイメージして発動するだろう。だがイルマの場合、水分子の塊をイメージする。酸素原子と水素分子で出来る水の集まりをイメージしているのだ。




このイメージの違いによって何が変わるのか当然のごとく疑問に思い、それを質問した。何でいちいちそこまで面倒くさいところまでイメージしなければいけないのか、簡単なイメージで発動出来ているのだからそれでいいじゃないかと。すると哀れみを持った視線であんたは本当に理系かとぼやかれながら答えをくれた。それはデメリットよりもメリットが多いものだった。


どうやら時間が惜しいようなので端的に言われたが、メリットは消費魔力が少ない、威力がこちらの方が大きい、化学的に考えたものであれば5属以外にも多少骨が折れるが振動による攻撃も可能とのことで、デメリットは複数同時に発動することが難しい、魔法発動に慣れるまで時間がかかる、そもそも分子や原理を理解してないとこの考えで魔法が発動出来ないということらしい。この世界は地球のように原子は発見されてないため、実質イルマ式の魔法を扱うことが出来るのは地球からやってきた俺、イルマ、秋風さんの3人だけになるだろう。




そして他にも印象に残った点は、色々な属性で同じことをしたとしても長所や短所、それに発動できる出来ないがあるところだろうか。簡単に言えばこれが俺の戦力を上げるきっかけになると思う。

俺は普段魔法も使って格上の敵と戦う時は雷の属性の魔力を作り出して、それを自分の体に流しこむことで自信の反射神経と速度を上げている。これは目視出来ても反応できなかった父さんの拳に対応するために苦肉の策として試してみると偶然発見出来たものだ。

ここにイルマの考えを当てはめてみると、俺の体に別の属性の魔力を流し込めばまた違った効果の身体能力の向上が望めるのではないかという疑問が思い浮かんでくる。




結果、属性毎に身体能力のどこか向上するかは変化があった。




具体的にはこのことを街中を走りながらこれを考えているため、今ここで試した方が分かりやすいだろう。


現在俺は素の状態で賑やかな人通りを避けて、人との接触が少なそうな場所を選んでランニングしており近くには子供達が体を使った遊びをしている。まあ、こんな感じなら俺がちょーーっと速いペースで走ってようが別に違和感ないよな。周りの子供達や大人が何かやたら目を見開いてるけど気にしないでいこう。

さて、俺が走っていると目の前に丁度良い高さの家、もとい壁があるわけだが、目測4,5メートルくらいだろうか。まあいいや、とりあえず走るテンポを除々に上げていって壁まで残り3メートルあたりでその勢いを殺さずに膝を曲げ、思いきり跳ぶ。


すると、足下にバネでもあるかのように勢いよく体は上方へと跳び、ぎりぎり屋根へと着地することが出来た。そしてそのまま屋根の上を走り始め、今度は屋根と屋根を跳んでランニングを続けていく。後にはその様子を凄いと元気に騒ぐ子供たちとポカンとしたままの大人たちの姿があった。





さっきのは風の属性の魔力を体に流して跳ぶことでジャンプ力を大幅に上げていたのだ。

雷の場合は反射神経と速度だったが、今までの実験から考えると風の場合は体が軽くなるというか、足に風が纏わりついてやたら跳び易く、そして跳ばされ易いことから筋力をそのままに体重、もしくは体を大分軽くする効果があるのではないかと思う。1度だけ突風で本当に吹っ飛ばされそうになったからこの線は濃厚だろう。そして、足に風が纏わりついた感じがするというのは1度ジャンプ中に風で煽られた時夢中で足をばたつかせたら、風を地面のように蹴って無事に着地出来た時に感じたことだ。もしかしたら頑張って空中を動くことも可能かもしれない。



つまりここまで考えて思いついたことだが、体に属性の魔力を流しこむという行為は身体能力を向上させるということではなく、体にその属性の効果を付与、エンチャントするようなものではないだろうか。それならこの世界には筋力を上げる魔法ってのは無いのかな。

俺、力がイルマにも負けるから少し危ないんだけどな。


そこまで考えて少し落ち込みそうになった時視界の端に気になる光景がちらりと見えた気がしたので、進行方向を変えてその気になるものへと近付いて行くとその気になる光景がはっきりと見えてきた。



「……なんだありゃ?」


今回はいつもより少しだけ短めでした。

そしてもうそろそろ学院に入りたいとこなんですが、テオ君にはその前にどうしても一つだけやらせたいことがあるんですよねー。

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