31話~嗚呼、無常~
「俺とイルマの今までのことを合わせると立場以外は大体同じ生まれ方って感じか?」
夕食を食べた後何処に集合するかは俺の部屋ということになり、そこでイルマと俺で死んだ後に何が起きたかを互いに話し合っていた。
すると共通点がいくつかあるということが分かった。まず、死んだ後の状況については俺と同様になんだか浮いたり沈んだりしている感覚がしばらくした後に気づいたら3歳の子供として存在していたらしく、自然とその三年間の記憶は自分主観で思い出せたと。そしゃくしないようにしながら色々と3歳から模索していたらしい。
まあステータスの存在に気づくのと適応力の違いはここまで大体似たようなものだった。
イルマ曰く、スキルもたくさん手に入れることが出来るように頑張った。だそうだ。
そしてここでイルマと俺とで少し違うところがある。
ぶっちゃければ俺が村の子供でイルマがこのユーグタイス王国で生まれたという違いでしかないが、この違いで情報量の差が出てくる。まあ俺にも多少のメリットはあるが。
ここには図書館があり、ここの市民なら入館料がいるが誰でも入れるため魔法やスキル、そしてお国事情など多岐に渡ってこの世界の仕組みを理解することが出来る。
対する俺は村で商品売買に携わる機会が無かったためそういった事には疎いが、それらの分を山や森の中を駆け巡った(実際は散歩しただけ)ことでいつのまにか大人顔負けの体力がつけることが出来ている。さっき俺が体力が少ないなと言ってみたら、イルマの体力が平均的なのだというツッコミを頂いた。(しかし、イルマの魔力量は才能からきていると。俺の努力を返せ)
ここまでが大体3歳から4歳ぐらいまでのことなのだが、自分で書いてみると俺達の行動がどれだけ子供らしくないかが分かってしまう。
まあ、イルマは運良く親の性格が良かったのか化け物扱いされるのではなく天才扱いされたことで自由に動けて、思う存分に力を発揮していたらいつのまにかソルリス学院に行くことになったらしい。なんか奨学生制度は入試の点数のみで判定され中々に安いとか。
「なあ。奨学生になったら結局どのくらい割り引かれるんだ?」
「10割」
「……今、中々に安いどころじゃない割引具合のように聞こえたんだが俺の気のせいか?」
「いや、気のせいではないけど無料にするためには入試の時点で実技と筆記両方とも3年レベルまで飛び級しないと取れないからかなり厳しいよ」
「そうなのか。…ちなみにその3年生は何歳?」
「確か15歳ぐらいだったな。ついでにそれが最高学年な」
とりあえず、なんでそんな奨学生がそんなとこに存在するかは理解した。そりゃ入学しにきた子がいきなり最高学年の頭脳と実力を持っているとは考えないよなあ。
だから、父さんは俺に1年で卒業しろと言ってきたのか。つまり無料という奨学生をもぎ取ってこいと。我ながらどんだけ鬼畜な父親のもとに生まれたんだと思ってしまった。
ここまで考えて今朝の事を思い出した。
「あ、つまりイルマが秋風さんを学院に入学させる方法は俺が無料をもぎ取れと。そう言ってるんだな? そしてその使わなかった金を秋風さんの入学金にしろというわけか」
「ああ。ということで頭脳に関してはまあなんとかなるだろ。精々中3レベルの問題まで解ければ最高なんだから後は、実技だな」
「中3レベルでいいのか? まあそれならなんとかなるか。それと実技のことなんだが剣のスキルがまだいまいち上がってないから上げるのを手伝ってくれないか?」
「剣術かあ。別に俺もほとんど上がってないからいいけど真剣はまずいだろ?」
「というわけで今から木刀を作る」
「え?」
「ん? ……ああ。木遁か」
「忍術じゃねえよ。ちゃんと魔法でしている」
ようやく会話に疑問符だけで参加した秋風さんとどうやらこちらのやりたい事を理解したらしいが、勝手に某マンガの名前を引用してきた。
まあいいや。作るのに集中しよう。木刀の大きさは片手剣と同じ大きさでいいか。そして本数は……どうせ秋風さんにも身につけないといけない日が来るかもしれないから一緒に練習出来るように3本でいっか。
一通りイメージを終えたところで両手を合わせて作り出した木属性の魔力を床に流しこんだ。すると俺の目の前の床からイメージ通りの木刀が3本生えてきて、全貌が明らかになると同時にコトリと転がった。初めて木の塊を出してから削るのではなく細かいイメージが必要な完成形を直接作ってみたが、どうやら上手くいったらしい。まあ普段よりもまた少し魔力消費が多かったが。
「おー。魔法って色んなことが出来るんだね。私にも出来るかな?」
「出来るかどうかは試してみないと分からないけどまあ今はこの木刀が秋風さんに合うかどうか持ってみて、なんなら振ってもいいよ」
適当に1本取って渡すと、魔法を見たテンションのまま秋風さんは木刀を手に取った。その時木刀を持っている手を不思議そうに振っていたが、両手で構えるとまっすぐに振り下ろした。そしてそれは俺の全力で振る速さを超えていた。
「……え? 俺の剣速余裕で超えられてね?」
「おー。流石勇者」
俺が驚く中イルマはニヤニヤと笑いながら感嘆の声を漏らしていた。秋風さんは何やら自分の手を見ながら不思議そうに閉じたり開いたりしている。
「イルマなんか知ってるのか?」
「いやいや、よくある勇者が召喚された時の補正的なやつだよ。単純に力が召喚される前に比べて何倍にもなってるんじゃないかな?」
「なにそれチート?」
「え? 私こんなに力あったっけ? あれ?」
俺は少しだけこの世の理不尽に呆然としていたがそのチート本人が混乱しているのを見てすぐに冷静になった。うん、とりあえずこの件についてはもう聞かなくてもいいや。次の話にいこう。まだ聞きたいことは残っているんだから消化しないとな。
「それで、イルマ。話しは変えるが今朝見せたメガネはどこから手に入れたんだ? それとなんか良い魔法の修行を何か知ってるか?」
「あのメガネは僕が自分の魔法で造ったんだよ。一応僕もチートみたいな属性の魔力だし。それと魔法の効率良い修行ならいくつか知ってるけど、部屋でも出来るやつがあるからやってみよっか」
「おーう。それとちなみに何の属性なんだイルマは?」
俺が興味本位で聞くと、よくぞ聞いてくれました! みたいな満面の笑みで返事が返ってきた。しかもちょっとドヤ顔が混ざった感じで。
「ん? 創造だよ」




