29話~床寝~
なんか最近進行度が遅いですね^^;
互いの素性を大体説明し終わり、俺は現在これから秋風さんが優先すべきことを考えていた。秋風さんには暇つぶしのために俺が持っている本を読んでもらっている。
まあ、見た目年齢的には俺が年下なのだが精神年齢的にはまだまだ年上なのだから不自然ではないだろう。
今のところは召喚されたのだから最終的には地球に帰ることが目標なのだが、これは俺も同じことなので本人の了承さえもらえば一緒に行動することになる可能性が高いと思う。それにもし一緒に行かなくてもここに言語は喋れるようになるまでは俺が彼女に付き纏うはずだ。他には……学校にも行かせた方が良いのかな? やっぱ中学生になりたてってことは学業に身を捧げないといけないだろうし。だけど、お金は何処から出せば良いのか。っあ、王様からは……駄目か。謁見自体無理そうだし勇者としてあっちに持っていかれそうだ。ん? 勇者ならお決まりの補正とかはついてるのかな。それなら自衛出来るように魔法と体術、いや剣の方がいいか? まあいいや。後で聞こう。
「ねえ。テオ君! 聞こえてる?」
声に気がついてふと顔を上げると目の前には秋風さんの顔があった。近い。
「ん? ああ。聞こえてるよ。どうしたの?」
驚きを隠し平然とした顔で返事をした。っていうか考えすぎて呼びかけに気づかなかったのか。……それにしても本当に整った顔をしている。どっちかっていうと可愛い系の美人に成長しそうな顔立ちだな。絶対学校では告白されてるな、リア充め。
「今夜なんだけど、部屋どうするの? ベッドが1つしか見当たらないけど」
「部屋?……ああ。大丈夫、俺が適当に床で寝るから秋風さんはベッドで寝るといいよ」
「え? いいよ。ここはテオ君の部屋なんだからテオ君がベッドを使ってよ」
「まあまあ遠慮せずに使っちまえよ。俺が良いって言ってるんだから良いの! それに今日はもう遅いからさっさと寝ろ!」
そう言うや否や俺はベッドに座っていた秋風さんのバランスを崩してベッドに横に寝かせ、毛布をかけた。その際に顔を見ると、こちらに若干じと目を送っていたが、少しして観念したのか頭まで毛布を被った。
「それじゃ、お休みー」
「……お休み」
そして明かりを消して部屋から光が消え闇があたりを覆った。さてと、俺も寝るとするか。床は硬いから背骨が痛くなりそうだけどまあいいや。
朝早くに目が覚めた。どうやら床で寝た痛みでそこまで熟睡は出来なかったようだ。起き上がって柔軟をすると全身がバキバキと音を鳴らすのが聞こえてくる。
対する秋風さんは……。
「……こいつ、まだ気持ち良さそうに寝てやがる…!
思わず口に出ていた俺は悪くないと思う。いや、別に俺の方が先に起きたとかいうのどうでもいい。俺がなんとなくツッコミたかったのはそこじゃないんだ。
――…寝顔が更に可愛くなるとはどういうことだ。
元々12歳で可愛い容姿をしていたのだから普段でさえも何かしらの行動をするたびに様になってんなあーとは思っていたがそれよりも今の寝る姿の方が断然様になるとはどういうことだ。しかも普段より幼い雰囲気を醸し出しているからやたらと庇護欲が刺激されて少しだけ困る。
「まあいいや、今日は起きるまで待とう」
結局あの後はいつも通り魔法の訓練をしている間に起きたが、その時には酷く驚いた顔をしていたのは面白かった。まあ起きたら部屋中何か丸いものが蹂躙していたらそりゃ驚くのは当然だけれども。驚いた顔をニヤニヤしながら眺めてたら顔を赤くしながら叩かれた。
「それで、結局どうするの秋風さんは?」
そして身だしなみを最低限で整えた俺たちは朝食を食べており、小声で会話していた。理解できない言語で話されていると知られたら多少疑問に思われるかもしれないからだ。
聞かれた当の理沙は何故かきょとんとしていた。
「どうするのって普通にテオ君と行動するんじゃないの? 昨日テオ君が言っていたことが本当なら私帰る場所無いし、王様になんか会いたくないからね」
「あ、そうなの? それじゃあひとまず急いでこっちの言語を覚えないといけないね。少なくとも後20日で普通に話せるようにしないと引きこもる羽目になるかもしれないよ」
「ええ! なんで!? もしかして一緒に行動できないとか!!?」
何か捨てられた犬みたいな顔をして若干涙目で言われた。何か誤解されてる気がする。
「なんか誤解されてるっぽいから少し付け加えるけど、俺は後20日くらいで学校の入試を受けなくちゃいけないからって意味で言ったんだよ。じゃないと冒険者になるのを父さんが許してくれなかったからさ」
「なら私もその学校に入るよ!」
「うん。一応それは俺も考えたんだけどね、俺一人分のお金しか払ってないからどうすればいいかなーっと」
ソルリス学院は日本で言う私立みたいなもので、入学資金が高い。本で読んだ時は普通に目が丸くなった。私立だから奨学生制度のようなものがあればいいんだけど……
「そっかあ…」
見ると秋風さんが何やらしょんぼりとしている。
そして視界の端に誰かが立っているのが見えた。
「…そこについては心配は要らない」
そして日本語で話に割り込んできた人物に目を向けると、そこには昨日黄昏ていた少年が黒縁眼鏡を掛けて立っていた。理沙は大きな目を更に大きく見開いている。
「えーと…誰?」
すると、その少年はさり気なく同じテーブルに座りながら返答をした。何故かその顔は嬉しそうな表情をしていた。
「俺はイルマ・レイチェルハッド。君と同じソルリス学院受験者だよ。そして、久しぶり。……邦介」




