22話~出発~
昨日ようやくテストから解法されました。これで気軽に書くことが出来ます^^
今回は説明回みたいになりましたが、後1,2話同じように説明回です。
それと更新日時は定時の方が良いんでしょうか?
それとも出来た瞬間に投稿するか・・・
「う゛…ん。昨日は酷い目に遭った…」
指を絡ませて両腕を上に伸ばして伸びをすると背骨や首、腕の関節などいたるところがぼきぼきと大きな音をたてた。あまり耳に心地良い音じゃない…。
伸びをしながら昨日の姉と義妹からの送別会――という手痛い洗礼を思い出して思わず顔を顰めた。
体術に関して言えば義妹のキアーラの方が強く、魔力の扱い方も姉のセリアの方が上手い――。そんな二人が同時に顔に笑みを貼り付けたまま襲ってきたら、つい雷で身体能力強化させて応戦したっていっても仕様がないよね……? しかも本気できたからもう手抜いたらその瞬間、御陀仏です(笑)みたいなことになったら洒落にならないし。
まあ結果から言えば俺が勝ったよ。土属性の魔力を辺りに流し込んで膝まで埋まるくらいの沼もどきを作成してから足止めをして、昨日覚えたばかりの麻痺の実験台になってもらった。誠にありがとうございました。
「それは自業自得だろうテオ? それにそんなこと言ってるとあの子達が聞いてやってくるかもしれないぞ?」
「煩いよカーン」
「っぐほあ!! 今まで『兄さん』と呼んでくれていたテオが…俺のことを呼び捨てにしてしまっただと……!?」
心の中で二人に向けてお辞儀をしていると隣に立っているカーンがからかってきたからわざと呼び捨てで素っ気無く名前を呼んでみた。
――カーンは口から血を吐いて膝から崩れ落ちた! 効果は抜群のようだ!
そんな未だに猫被った弟から弟離れ出来ない兄は放っておいて周りを見回す。今はユーグタイス王国に出発する準備を整えた俺と父さん、そして見送りに来たカーンがいる。後の3人はもうそろそろ来るはずなのだが、まだ視界には入ってこない。
試しに”気配察知”を意識して発動してみるも反応無し。
「…ん? ようやく来たようだな」
俺が退屈して座り込もうとすると父さんが閉じていた目を開けた。
「父さん…。僕の”気配察知”には全く掛かってないんだけど」
「それは…スキルの熟練度の差だろうな。お前のはまだ未熟なんだろう」
「むぅ……」
「まあそう落ち込むな。それに”気配察知”をその歳で手に入れることが出来るのも中々珍しいと思うぞ? これは追ってくる者の気配を探ろうとしてから得られるものだから目で感じようとする子供達には難しいものなんだがな」
なにやら苦笑いしながら言ってくる父さん。そんな歳にしては珍しいとか言われてもしょうがないじゃないか。幼い頃は唐突に襲ってくる姉さんが恐ろしかったんだから。
――まあその過程で”陰密”も手に入れたけどさ。
「……あ。ほんとだ。僕のにも引っ掛かった」
どのあたりから察知できるのかを確かめるために敢えて後ろを向いていると3人分の気配が掛かった。そしてどの距離なのか確かめるために向きを元に戻した。
「………およそ15メートルかな?」
俺が反応することが出来る範囲が意外と短いようだ。まあ最近手に入れたし特に重点的に鍛えてもないからまだ熟練度が低いのかな?
そんなことを考えている間にも母さん達が近づいてきた。
「おまたせ。意外と見つけるのに手間取ったわ」
「ああ。まあ特に急ぐわけでもないから大丈夫さ」
「そう…。テオ、きっと学院は大変だと思うからこれを持っていきなさい」
父さんと母さんが軽くハグ(つい目を反らした)をした後に母さんは俺の方を向いてなにやら腕輪に少し輝いている石が付いた――そんなものを渡された。
「これは……?」
「それは土の精霊石をはめた腕輪よ。この中ではあなた以外に属性が土なのはいないから遠慮なく付けときなさい」
「精霊石!? …え? でもどうせなら父さんと同じように学院を卒業してからあげれば良いのに」
何で母さんが精霊石を持っているのか? それに対して少し疑問が沸いたが母さんが宮廷魔術師だからってことにしとく。
だけどさすがに今貰っても宝の持ち腐れに思える。
「気にしないの! 精霊とはどれだけ長く仲良くやっていけるかが問題なんだから!」
「ええ!? それでも『貰いなさ』…はい。ありがたく貰わせていた頂きます」
遠慮しようとしたら何故か笑顔(少し恐い)で否定された。
…っていうかこの笑顔だと後2,3回遠慮したら今度は別の何か危ないものが出てくるんだろうなあ……。
そういや、まだ精霊に実際に会ってないとはいえ2つも精霊石を持ってるな、俺。
「またテオ精霊さんを貰ってる…」
「今度テオの精霊石から精霊が出てきたら私の子と一緒に遊ぼうよ」
俺が精霊石を貰うのを見るとキアーラはじと目で羨ましがっている。そしてとうとう精霊さんって呼ぶようになるほど欲しくなってきてるんですか。
姉さんは姉さんで手のひらに風の精霊を乗せて遊びながら聞いてくるし。っていうか「遊ぼうよ」って言う時の笑顔が何か危機感を匂わせるものじゃなかったら俺も素直返答することができたのに。見事に返答する言葉に詰まったじゃねえか。
「また今度ね…うん、そうしよう」
とりあえず、営業スマイルを無理やり作って対処した。それなりに練習してるから上手くいった……はず。
その後、軽くその場で雑談を楽しんでから俺と父さんは村を出た。
「…父さん」
「なんだ。まだ2時間しか歩いてないがもう疲れたのか?」
歩き始めてからはしばらく、こんな歩き方が疲れにくいとかこの植物は食うことが出来るとか旅に必要になりそうな技術を教えてもらっていたが、途中から教えるのに丁度良いものも見つからなくなっていき、しばらくは黙々と歩き続けた。
「いや、別に疲れてはないけどユーグタイス王国について聞いてないなあって」
そう。今思い出したのだが、俺は本での知識は少々偏りがちであるが故に地理の知識が少し心もとないからユーグタイス王国については全く知らないのだ。そして父さんからも説明は何も受けていない。
「…ああ。そういえばテオには何もユーグタイス王国について教えていなかったな。まず何から説明した方がいいか?」
「まず後どのくらい歩いたらそこに着くの?」
「おそらく夜に野宿するのも含めて明日の昼頃には着くぞ」
「意外と遠い…。それじゃ、ユーグタイス王国ってどんな国?」
何かを重点的に聞こうと思ったが特にこの世界の中心なんてあの村だと思う程田舎者なのだから実際の世界がどんなものかなんて分からない。だから大雑把に聞いてみた。
「ユーグタイス王国はな――」
父さんの話が終わる頃にはすっかり日が傾き、そこで俺達は歩くことを中断し、その場で野宿することにした。




