↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/80

20話~対決~

「よろしくお願いします!」

俺の目の前に自然体で立つ長身の男にきっちりと腰を曲げてお辞儀をした。その男はその身長にしては細身だが、それは筋肉が無駄についていない証拠だといえるだろう。


「まあそんなに気張るな。いつもと同じように来い」

「父さんとこうやって組み手をするのは最後になるかもしれないんだからせめての礼儀のつもりだよ」


多少の皮肉をこめて言ってやると、父さんは苦笑いして構えた。その時点でいつもの穏やかだがよく人をからかう親しみやすい顔ではなく、感情を排除した――所謂目の前のことしか頭に無い無表情の状態になった。


――これが父さんの本気であり、軽い狂戦士バーサーカー状態に匹敵するらしい。どんな化け物かと。


俺はそう問いたい。


ちなみにこの状態になると、周りの観客にも被害を及ぼしかねない。ということで森の奥にある広場のようなところで戦うことした。だが身内は観戦を許可して、そこら辺の丸太にキアーラ、姉さん、母さん、兄さんが仲良く並んで座っている。



「…うん。僕も準備は出来たよ」

俺は自然体で構え、いつでも組み手を始めることが出来るようにした。その俺の姿からは時折ぱちぱちと電気のようなものが漏れ出ている。


いや、比喩で例えたのではなく実際に俺の体から電気が漏れ出ているのだ。


先程父さんのことを化け物呼ばわりしてしまったが、そのことをセリアとファイに伝えると俺も似たようなもんだと言ってきたことがあった。普通の人間は体から電気なんか出さないんだそうだ。失礼な。俺のこれは超人的パワーじゃなくて魔法の力と俺の妄想力が唸りをあげた結果なだけだ。



「それじゃ、はじめ!!」

カーンが進行役となってくれたようで、始める合図をした。

それと同時に動き出したのは父さんの方だ。俺の方へ一瞬にして迫り、俺の手前で急停止するとくると回し蹴りを決めてきた。

目の前に危機が迫ってきているにも関わらず俺はまだ動かない。


「ッッ!!」


足が眼前に来た瞬間に俺は足が来た方向へと屈みながら避けた。と、同時にその勢いは止まり先程まで俺の居た場所に父さんは容赦なく踵落としをした。相手はこちらがぎりぎりで避ける寸前までフェイントをすることが可能なのだ。慌てて迂闊に避ければあの内側から破壊されそうな攻撃をくらうことになる。



組み手を始めた頃は何子供相手に本気で相手にしてんだよ。と思っていたがそれは俺の大きな思い違いだったと思い知ることになった。あれでも父さんは俺が攻撃をK.Oしないレベルでは加減していた。殴られて数メートルも飛ばされていたのが良い証拠だ。父さんがやる気になれば威力を外に拡散させるような真似はせず、吹っ飛ばないように衝撃を全て内側に残すだろう。…本当に内臓の仕組みとか知ってて良かった。じゃないと治癒出来なかったよ。



とはいえ、踵落しの後はそれなりに隙が出来る。


「っはあ!!」

「っぐ」

その隙に俺は脇腹に向けて全力の正拳突きをお見舞いした。肉体は雷の魔法を応用して、反射神経を上昇させ、動く速さも普段の2倍になっているため、相手が避ける暇はない。そしてしっかりと決まったが、父さんは正拳突きをした俺の右手をしっかりと掴み、にやりと口の両端をにやりと吊り上げて笑った。どうやらスイッチが入った様子。


「ふん」


掴んだ手とは逆の手で俺を素早く二度殴った。いや、やばいんだけど。一回殴ったようにしか見えないんだけど。村で過ごして身につけた本能で瞬間的に危機を察知し、残っている魔力の大半を雷の魔力に変換し、右手を伝って父さんに流す。


「ッッ!?」


不意にやって来た右腕からの衝撃に拘束の力が弱まった。すかさず、相手の顎をサマーソルトで迎撃し、一旦相手から離れた。雷の魔力を直接人に流せば、敵の強さと流された魔力量にもよるが2秒程度なら動きを止めることが出来る。何故それが分かったのかというとキアーラや姉さん、兄さんにも手伝ってもらったからだ。

だが、父さんほどの強さにもなると俺の魔力量の6割は余裕で持っていかれる。

半年間魔力量の底上げを図り毎日魔法の練習とともに枯渇させて、自身の体力の2,3倍にまで増えた俺の魔力量でもだ。お陰で俺の魔力は残り3割となっており超ジリ貧である。



――いかんぞ、このままじゃ負ける。何か一発で決めれるのはないか…!!



正直に言うと今の魔力で父さんに参ったと言わせるほどの威力を出す魔法は使えないし、残っていてもそんな魔法はイメージ出来ない。

なら、残りの魔力全てを雷に変換して単純に速度を3倍に変えるか? いや、そんな戦闘民族の外れ者が使う”何倍なんちゃら拳”みたいな感じでいくと負けるだろう。実際俺のは反射神経とスピードがやたら上がるだけで、攻撃力は全く変化してないわけだからスピードによる勢いに任せて殴って威力を誤魔化すしかない。



――それなら、即席で父さんを状態異常で無力化出来る魔法を使うか?


……これいいアイデアかも。


俺は素に戻った状態でなんとか父さんからの大量の正拳突きメテオナックルを避けながらどうすれば無力化できそうな魔法が発動できるか考えていた。


「…もう攻撃は終わりか?」

「ッッ!! うるさい!」

一応この短時間でいくつかは候補はあげれた。

実戦をする暇はないが、どれも父さんに十分な効果を期待出来るものだと思う。


1つ目は眠りの魔法を霧状にしてぶつける。どうにかして体勢を崩せば当てることも可能だろう。そして2つ目は麻痺。雷の魔力を直接流し込むことによる付属効果ではなく麻痺とイメージしたものだから、持続時間は長い……はず。多分拳に纏わせるか直接触れて流し込むかをすればいけるだろう。3つ目は風の魔力でただの絶叫を咆哮にしてそれを至近距離で放つ。……うん。正直言ってこれがどうなるか分からないと思う。これは本で読んでから一度だけ試しにしたことがあったが、威力は魔力よりもむしろ声の大きさに比例していると考えて良いだろう。だから、今ある魔力を全て使ったとしても威力が上がるかどうかは分からない。



「……ってーことはやっぱり無難な感じにこれかな?」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。