18話~武器(浪漫)選び~
さて…どの武器がいいだろうか。
一応小剣から長剣まであるのに加えて、ハンマーや槍、果てにはどこから持ってきたのかは知らないが薙刀も置かれてあった。
まず最初にハンマーは論外だ。俺の浪漫に反する。それに重さ的にも俺が持ったら攻撃が当たらないだろう。それと同じ理由で槍と薙刀も俺の浪漫には強く当てはまるがさすがに扱いきれないものを無理に使うほど俺も馬鹿じゃない。欲しいけど駄目だ。
俺はもう一度欲望が沸いてこないようにそれらを端っこにどけて視界から外した。
「…剣も意外と種類があるなあ……」
並べられた剣は全部で6種類あり、短いのから順番にグラディウス、ショートソード、レイピア、ロングソード、バスタードソード、クレイモアという感じだ。簡単な長さと重さの目安を言えば最小のグラディウスが60センチで1キロ、最大のクレイモアが120センチで3キロだ。クレイモアに至っては俺の身長と15センチくらいしか変わらねえじゃねえか。あっ。ちなみに最近成長期入ったっぽい。身長がぐいぐいキタ。
とりあえず、ここで絞る基準としては軽めってことは絶対にグラディウスとレイピアのどちらかは必要になるだろうな。なんたってレイピアの重量は800グラムだ。いや、持ち方によってはグラディウスより重くなるかもしれないな。ならレイピアは除外してグラディウスを選択か。
…後一つ。どうしても俺の浪漫があのクレイモアに反応してしまう……!!? いや、転生する前からクレイモアっていう名前の格好良さとあの無骨だが大きな剣にどうしても惹かれてしまう!! あああ…。こりゃもう駄目だ。これは中々手に入れることが出来なさそうな気がする。いや、しかし……!?
散々悩みまくった俺は父さんにヘルプを求めた。
「父さん。2つ欲しい武器があるんだけどいい?」
「ああ。それでどの武器が欲しいんだ?」
俺は二つを指差した。
「グラディウスと…クレイモアが欲しい」
「そうか…クレイモアが欲しいか…。やはり俺の子供か…」
「だけど、クレイモアはまだ僕の腕力と体格に合ってないからそれが合う時になったら貰いに来るってことでいい?」
何やらぶつぶつと呟いていたが集中していなかったため聞き取れなかったが、スルーして俺はクレイモアの確保する提案をした。いくらなんでもクレイモアを持ち歩くのは俺の腕力的にもお世辞にも良いとは言えない。今の状態でも対処法はあるかもしれないが、今は思いつかないから保留にしようという俺の考えだ。決して使わないのが勿体無いとかそういうわけではない。
「ん? ああ。わかったお前がそう言うならクレイモアを扱えるようになるまで俺が保管しておこう。それじゃ、もう話は終わったからテオは外で遊んだらどうだ? それと、次はセリアを俺のところに呼んでくれ」
「うん。分かったー」
俺は家を出る時なんとも言えない不思議な気分になっていた。うちにあんなにたくさん武器があるとは思いもしなかったのだ。後、悩んでいる間に丁度姉さんに出会ったからついでに父さんのところに行くように伝えておいた。…って、もしかしてこの流れじゃキアーラが一番最初に武器を選んだのか?
まあいいや、とりあえず外で遊べと言われたから遊ぶか。
「…そういや、遊べと言われても村に同世代の友達なんていないな…」
いまさら気づく悲しい事実。俺って村の中ではぼっちだし、外に出ても同年代で遊ぶ人ってアレシアさんかキアーラしかいないもんなあ。
だけど、前世では一人でいるのも中々気楽で楽しいものがあったけど、三つ子の魂百までって言うのかな? 転生して今でも一人二人の方が気楽で楽しいや…。しかもこの世界で俺ぐらいの歳って一体何をして遊んでいるんだ? 俺がそのくらいの頃は…ゲーム一色だったな、うん。昔からゲーム廃人だ。
――俺の人生経験全く当てにならねえ。
「ちょっと村の子供達の様子を見に行ってみるか」
正直なところ結構気になったりする。だって文字の読み書きは出来ないから本は読めない。魔法は多分使えないだろうから俺みたいに魔法で遊ぶことも出来ない。ってことは外での遊びか親の手伝いってことになるが鬼ごっことかかくれんぼくらいしか思いつかねえぞ。
他愛の無い疑問に思いを馳せていると広場で子供達の塊が見えてきた。
「ねえ。これって何をしてるの?」
なにやら殴り合いをしているような音が中心から聞こえるのだが、周りははやし立てるような雰囲気ではなく殴られたら歓声をあげる人がいたり、檄をとばすような人がいたりと…。これはいじめではないのは分かるが何故殴り合い?
さっぱりわけが分からないので声をかけやすいと思われる人のよさそうなほっそりとした少年に聞いてみた。
「うん? …ああ! 君はあのロイさんと毎日殴り合いをしてる…」
どうやら俺と父さんの組み手の様子を知っている様子。というか組み手の様子は村の子供達のほとんどは知っている。何故なら組み手を見るのが楽しいのか気づくと周りで子供達が歓声をあげながら見物をしているからだ。まあ俺の名前は知られていないようだが。
「テオだよ。君の名前は?」
「僕はクィール。よろしく」
「よろしくクィール。それで、これは何をしてるの?」
「これは、村の子供だけの祭りだよ」
祭りとは言ってもただの殴り合いだけどね。と苦笑するクィール。
「祭り?」
「うん。村のいくつかあるグループから一人力自慢の子供達を出場させてその人達同士で試合をするんだ」
「ふーん。それで、勝ったりしたら何か貰えるの?」
「勝ったグループが負けたグループを自由にする権利を貰えるんだ。要するにいじり放題ってことだね。それに優勝したら女の子達からも注目されてモテモテになっちゃったりするよ。いや、むしろそっち目的で参加する方が多いかな」
「ははは…。中々激しい戦いだね」
強かったらモテるて…。いや、まあこのくらいしか男を魅せるものもないしなるべくしてなったと言えるのかな? とりあえず、どうせだからどんな感じかを見とくか。
俺は若干引き攣った笑顔を見せながら中心が見える位置へと割り込んだ。
「おおう。中々の泥仕合だな」
中心まで行って見ると人の輪の中心で闘っている少年2人と審判の子がいた。
殴り合いもどうやら時間がある程度経っているらしく、立とうとした相手の足を引っ掛けてから転ばせたり、転ばされた方が同じように転ばせたり…と。それを延々と続けている。
――勝敗の基準って一体何?
このように不毛の争いをしているが、審判は一向に止めようとしない。あれか、気絶するか降参したら負けってやつか? これは絶対試合時間とルールを決めた方が良いだろう。
「…もういいや。釣りしに行こう」
もしよかったら参加でもしようかと思ったけど、参加したら少し白い目で見られそうだ。




