11話~格差~
前回は手抜きをして申し訳ありませんm(。_。;)m
どうにも改稿をしたい思いでいっぱいなので書く時間が出来たら10話を詳しく書くと思うのでその時は活動報告あたりにでも報告します。
「よし。これで今日の鍛錬は終わりにしようか」
「「ありがとうございました」」
「…ありがとうございました」
ロイとファイによる魔法と近接戦闘のトレーニングを受け始めてから数日経った。近接の最終目標は片手剣を自由に扱えるようになることと、素手でも相応に応戦できることになっており、今のところはようやく片手剣で闘っていても3分は保ち、空手の型もある程度は覚えて組み手に入った。
そして俺は見事にぼろ雑巾のように地面に倒れ伏している。
「テオさん。大丈夫ですか?」
「うん? 一応大丈夫…かな?」
セリアは意気揚揚と何処かに走り去り、キアーラは俺の元に寄ってきた。倒れ伏したまま動かなかったから心配して来てくれたのだろうか。
「大丈夫かな? って擦り傷がたくさんあるじゃないですか!! 今から治すのでじっとしててください!」
「あ、うん。お願いします」
いきなり現れた剣幕で思わず頷いてしまった。歳を聞けば俺の一つ下だというのに…。
俺は悲鳴を上げる体を無理やり起こして擦り傷が見えるようにした。その傷を見て少し呆れたような顔を見せながらも白い光で覆われた手を傷に被せていた。
「…それにしてもお父様も少しやり過ぎではないでしょうか。どんな恨みがあるのかは知りませんがあの組み手は激しすぎです」
「あはは…。父さんは何も恨みは持ってないと思うけどね。まあこのくらいの方が僕的には早く強くなれていいけどね。それにキアーラさんも大変でしょ? 姉さんと組み手をするって」
これは二日前に空手が型の練習主体から組み手主体になった時、異性同士で組み手をするのはさすがに気が引けるだろう。っと父さんが提案をして同姓同士で組み手をすることになったのだ。
結果、必然として組み手が出来る手頃の男がいない俺は父さんと組み手をすることになった。最初は180はありそうな長身のロイと135ぐらいの成長途中の俺では体格差がありすぎることからある程度は手加減をしてくれるのだろうかと思ったが予想は大外れとなった。
正拳突きが決まれば5メートルは軽く吹っ飛び、手刀が首に当たれば気絶寸前となる。
極め付きに震脚をすれば軽く半径4メートル内では地震が起きるときた。
正直命の危機を何度か感じました。
「あー…。確かにそうですが、中々セリアさんんと闘うの楽しいですよ? 」
苦笑しながらも平然と返してきた。あれと闘って楽しいって…。
今言ったようなロイの圧倒的な強さではないのだがセリアの闘い方も中々危ないものがある。
まず、力と速度でいえばキアーラが上であるのだが、セリアには最近風の精霊が宿ったことで精霊魔法を魔力が枯渇しない範囲でなら扱えるようになったこともあり、組み手中もその精霊魔法は使用しているのだ。そのため、風によって自らの速度を上げ、拳や蹴りには切り傷をつける風を纏わせての攻撃をしている。これだとキアーラが攻撃を受けた時にちょっとした大事になりそうなものだがそのような事態には今のところ一度もなっていない。なぜかと言えば…。
「でもまあ、30回組み手をして30連勝してるんだから凄いよね」
俺は呆れと尊敬が混ざった視線をぶつけた。
何故か組み手をした後を見ると必ずセリアが倒れているのだ。
「そうですか? 最初闘っている時は負けかけたりしましたが、風を纏っている範囲を理解すれば意外といけますよ?」
いやいや。その風を纏っている範囲が分からないから無理なんだって。しかも俺だとあの速度にまだ対応出来ないんですが。
「もしかしてセンスあるんじゃないの? キアーラさん」
とりあえずツッコミは無しにして本音だけでも言うことにしてみた。
すると何を言ってるか分からないというような様子で首を傾げられた。
…可愛いな、おい。
「はい。これで治し終わりましたよ。それじゃあまたいつもの場所でお願いします」
「ああ。分かったー。先に行っておくね」
「はい。準備をして来るので少し遅くなりますね」
俺はいつもの場所へとのんびり歩いていた。最近朝から昼過ぎまで父さんと母さんにみっちりと知識と力を身に付けさせてもらっているから頭と体に疲労が溜まりまくっているからこんなまったりした時間がすごく貴重に思えてくる。
「それにしても毎日全身筋肉痛とか…」
ぶつぶつ言いながらも手に黒っぽい茶色の光を纏わせて気になるところに当てていた。キアーラは外傷を治すことは出来るが筋肉痛を治すことは出来ない。対して俺は外傷も筋肉痛もいつくかの病気も小回復程度なら出来る。
その出来る範囲の差は何かというと単純な想像力や知識量の違いだと俺は思っている。恐らく筋肉痛がどのようにして起こっているのか。それをキアーラは理解出来ていないが、俺は理解できている。ここだろう。その筋肉痛を治すイメージが出来るから俺には治せる。
「無詠唱は便利だなあ」
あれから更に魔術書を読み進めていったのだが魔法には詠唱して発動する魔法もあることが分かった。どうやら詠唱有りの方はこのようにイメージ出来ない部分を補うためにあらかじめ詠唱や魔方陣にプログラムされているというような感じらしい。
俺もそれは便利だと思ってどうやってするか聞いてみたのだが、あれは戦闘では使えない。
詠唱が短くて3分でしかも魔方陣もいるなら真円を描かなきゃいけないって…どんだけ時間掛ける気だよ! って突っ込みたくなるほどだ。
それでも一つは覚えてみた。
「って、いつの間にか到着してるし」
だらだら考え事をしてる間にもいつもの場所――釣りポイントの池の辺に着いていた。
とりあえず、まだキアーラは来てないようなので近くに隠してある釣竿を取り出し、釣りをすることにした。
一時間後、二匹の魚を焼いていてふらふらとその匂いにつられて来た者がいた。しかし普段のキリッとした顔ではなくどこかぼうっとしている様に見える。
「キアーラさん」
「…っは! また私無意識に来てましたか!?」
「うん。ばっちしふらふらと来てたよ」
「む、もしかしてテオさん毎回わざと魚を焼いて遊んでませんか」
「あはは…」
俺がにこやかに言うとこの行為が自分への悪戯だと分かったらしく頬を膨らませて抗議してきた。ああ、もう。撫でてあげたいな。
…いやいやいや! 落ち着け俺。いきなりそんなことをされても驚くだけだ。ちゃんと理性を保ってこその俺だ。仮にも紳士の俺が軽率に行動して驚かせてはいけないんだ。
…よし。落ち着いた。負けてないぞ、俺は。
頭のなかで意味が分からないことをいって言い聞かせている時点で既に負けていることにテオは気づいていなかった。
「それじゃあ、今日は読みと書き。どっちを勉強する?」
「それでは読みの方をお願いします…」
あれ? なんか耳が少しだけ下がった。何か気に障ることでもしたか俺? まあいいや。
「? とりあえず教えるからもう少し近くに寄ってね」
「は、はい!」
元気よく返事が返ってきた。
ちなみに何故ここで文字の読み書きを勉強することになったのか。それに特に理由はないのだが、単純に数日前、俺がここで釣りをしていて今日のように魚を焼いているとふらふらとやって来たのだ。そして焼き魚を分け与えてから話している内に勉強を教えるということになって、それから毎日トレーニングが終わるとここで勉強をすることになった。
そして教え始めて気づいたけど、日本語を学ぶの意外と難しいんだね。キアーラが賢いのは教えてても分かるが、それでも一発でマスター。というわけにはいかないようだ。
「うん。このくらいで終わりにして帰ろうか。もうそろそろ夕方になるよ」
「はい。ありがとうございました」
俺は本を閉じて、立ち上がってから使っていた場所を綺麗にした。キアーラも軽くのびをして固まった体をほぐした。
「キアーラさんは本当にどんどん学んだことを吸収するね。その内知識量でも僕を超えるんじゃないの?」
「テオさんには負けますよ。それに私がこんなに早く覚えられるのはテオさんの教えかたが上手だからです」
「あはは。ありがとう」
キアーラが微笑みながら言ってきたので俺も笑って返した。何度も教え方で躓いているからお世辞を言ってるのは分かるがそれでも嬉しい。
「…?」
談笑しながら帰り道を歩いていると見覚えのない人がこちらを見つけて歩いてきた。
「平民。お前は何故低俗な獣人でしかも黒髪の者と一緒にいる」
「…は?」
俺より身長が15くらい高い少年が急にこちらを見て露骨に不快そうな顔をしてのこの言葉だ。正直俺のセンサーが反応している。それに明らかに平民自体も見下している。
こいつとは関わりたくない。
「特に獣人だからとかは関係ないと思います。それでは。行こうキアーラ」
横目で明らかに怯えているキアーラの手を取って行った。
「おい、待て。その獣人は置いてけ。よく見るとそいつは上玉に成長しそうだ。私が貰おう」
その高圧的な口調の少年は側を通り過ぎる時に俺の肩を掴み引き止めた。
いちいちむかつく奴だな。…てか、
キアーラヲモラウ?
「はあ? お前は何を言ってるんだ? 馬鹿なの? 人としてお前は成立しているか?」
「っな!? お前…! 騎士階級である私を侮辱してただで済むとでも思っているのか!」
思ったことを言ったら簡単に顔を真っ赤にして俺に殴り掛かってきた。
「あっそう。キアーラは後ろに下がってて」
「あ…。分かりました……」
こう・・・。身分格差や種族格差の表現のしにくさが歯がゆいっす(^^;)
後ついでに怒っているのも表現しにくいです。
怒りに任せて暴れたことはないので・・・。




