コン魔王の城 第七話「失敗と、宝」
「タヌ秘書よ。コン魔王様の右腕は俺だぞ?」
「いいえ、もう私です」
コン魔王の右腕争いはカムイから始まる。カムイとしては戦闘のプロとして譲れないところ。
でもタヌ秘書も、新しい仲間とはいえ信頼を得てきている。
何より血筋が物を言う。
「じゃあ僕、右羽!」
「じゃあオイラ上腕二頭筋!」
「何の話じゃ!」
ボケにボケでボケ倒すような場面でキッチリツッコむコン魔王。というか多分二人とも自分で何を言ってるかわかってない。
「タヌ秘書は戦えるのか?」
「私は戦えませんが、サポートできます」
「じゃあ俺とゴボウの訓練のサポートをしてほしい」
「いいでしょう」
ゴボウとカムイ訓練を見守るタヌ秘書はある事に気づく。それは二人の癖か何か。
「ゴボウは直線的すぎる。カムイは受けられると弱い。どうですか?」
「もうそれ言われたセリフじゃ!」
「ええ……?」
正直言うと、タヌ秘書は戦闘のプロじゃないから、そういうのは専門外。むしろこういうのはカムイの方が向いているだろう。
「罠のタイミング教えて!」
「いいでしょう」
次はトリトリのサポート。罠のタイミングなら、戦闘とは違う。感覚の話だ。
「今です!」
タヌ秘書の合図でトリトリが罠を出し、ゴボウが滑りカムイが斬る。ピッタリの連携ができた。
「……ほう」
「どうですか?」
「筋がいい、これからもよろしく頼むのじゃ!」
コン魔王に認められ、いよいよ右腕となるところ。
「はいっ!」
タヌ秘書が返事をした途端、爆発音が鳴り響く。トリトリがやらかしたようだ。
「トリトリ〜……!」
「ナイストラップ!」
「……なんじゃと?」
タヌ秘書は、トリトリのミスを褒めてしまったのだ。これはコン魔王も流石に怒る。
「叱る時は叱らないとダメじゃぞ!」
ミスをしたら例えば、ドンマイでもいい。でもミスを褒めるとそれを真に受けたらどんどん失敗する。
「……泣けずとも 泣いてしまおう タヌキです。ってバカー!」
そう言って走り去るタヌ秘書。
「何なんじゃ一体……」
「タヌ秘書はトリトリを庇ったのでは?」
カムイがそっとフォローする。タヌ秘書も色々考えていたのかもしれない。
コン魔王は、少し考えてタヌ秘書に謝った。
「悪かったな」
「いいんです、部下は宝です」
「だが甘すぎるのは良くないぞ」
「はい……すいませんでした」
「ワシも反省じゃ」
ちゃんとお互いの理解を深めて成長する。それができる関係なのだ。
どんな時も、叱ればいいわけでもない。叱らないといけない時もある。そのバランスが大事なのかもしれない。
部下は宝、それを意識できるかどうか。




