コン魔王の城 第五話「子供勇者」
「敵襲ー! 敵襲です!」
騒然とする魔物たち。こんな短期間にこの魔王城へ来れる猛者がいるだろうか?
「まさかまた……」
「子供です!」
報告を聞いてガクリと崩れ落ちるコン魔王。あまりにも不思議なことだからだ。
「子供がこんなところに一体なぜ……」
「勇者の格好をしてるみたいですが……」
「何!? 世界樹の紋様はあったか?」
「はい……」
子供とはいえ勇者かもしれないと言う。そして『世界樹の紋様』とはこの世界の勇者に与えられる紋様。油断ならない相手かもしれないのだ。
「今の戦況は?」
「ゴボウが相手をしています」
「ゴボウで止められるのか?」
「そうみたいですね」
このやり取りで少し安堵した、なんて言えるわけもないがとりあえずホッとしたコン魔王。
「ゴボウも中々の実力者だからな。他は?」
「トリトリが向かっています」
「……カムイよ、ワシらも行こう」
「……ですね」
「くそ! このゴブリン強いぞ!」
猪突猛進の彼は勇者の子供。父親と同じ黒髪の男の子でフード付きの服に世界樹の紋様がある。
「そろそろ撤退した方がいいんじゃない?」
奇想天外の彼は魔法使いの子供。母親似で実力は折り紙つきだ。
「MPに余裕はありますが……」
天然癒師の彼女は僧侶の子供。母の僧侶と違い、まだまだ恐怖心が抜けきらない。
「雑魚はともかく先に進めないよ」
腕白無双の彼女は戦士の子供。父親に負けず劣らずの腕力。
「オイラ負けないっす!」
ゴボウ一人でも戦える、それくらいの実力である子供勇者パーティは、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
「よーし間に合った! ゴボウ援護するよ!」
「待て、トリトリ!」
「ポチッとな。あ、本気罠押しちゃった!」
思わず本気罠を出してしまうトリトリ。沢山の矢が襲い来る。
だが、僧侶のバリアで切り抜ける子供勇者パーティ。
「やるな!」
トリトリは満足気だ。
「ククク、勇者が迷い込んだようじゃな」
「な、なんだ!? 魔王か!」
満を持しての登場で、ライトアップ。コン魔王が子供勇者の前に立つ。
「勇者よ、宝が欲しいか?」
「くれるならもらうよ!」
「このカムイに勝てたら褒美をやろう」
「本当か!?」
条件としては、ゴボウに勝てないのにカムイに勝てるわけないんだが、まるで遊ぶように言うコン魔王。
「カムイ、本気で相手してみろ」
「え、で、でも……」
「甘く見るな。相手は勇者だ」
子供勇者たちの猛攻。だが全く当たりもしない。最初は押しまくるカムイ。次第に壁に追い込まれる子供勇者達。
「ほら、本気を出さないと負けてしまうぞい?」
「くそ! うううおおお!」
コン魔王の煽りで、怒り狂う子供勇者。
「世界樹の加護を!」
子供僧侶がそう叫ぶと、子供勇者の瞳が光り始める。
「なんだ!? 急に強くなったぞ!」
今度はカムイが押され始める。そして刀で受けてしまうカムイ。
「知らないの? 刀は刃で受け続けると弱いんだよ?」
連続攻撃を受けて焦るカムイ。刀を弾き飛ばされる。膝をついたカムイを追い詰めようとる子供勇者に、コン魔王が間に立つ
「そこまでじゃ! 勝者勇者とする。褒美をやろう」
コン魔王の声で我に返る子供勇者に、城ゴーレムが現れてダイヤを一つ渡す。
「今回はワシの顔を立てて、ここまでにしておくれ。それが叶わないなら、ワシが相手しよう」
「……魔王はまだ無理だと実感した。でも次は討ち取りにくる!」
「ガハハ! また来い! その時はワシの部下も一筋縄ではいかんぞ?」
堂々と宣言する彼らに、コン魔王は豪快に笑いながらも、不敵に笑う。
自分たちもまだ未熟なのは隠して、追い抜かれぬように修行しようと誓って。
子供勇者は去っていく。
「勉強になったか?」
「はい……コン魔王様」
「道は長い、着実にいこうじゃ」
落ち込みながらも、前を向く城の皆。人と魔物の違いがあるとはいえ、子供同士のお互いの成長が楽しみでもあったりする。
「それにしても、あれが勇者の力か……」
コン魔王は、もうわかっていた。大人の勇者があの力を使っていたら、確実にあの時死んでいたと。それだけの力の差を感じていたのだった。




