コン魔王の城 第二話「お勉強会」
「まず罠のチェックをする。これが要だ」
「任せてくださいっ!」
トリトリが先頭に立ってコン魔王、ゴボウと続き、最後尾をカムイが守る。
そして、ある部屋にたどり着いた。
「まず、灼熱地獄!」
そこは橋のような細長い道があり、下が燃えてる。次の部屋に向かうためにはそれを渡らなければいけないようだ。
「怖い! というかワシらも渡れん!」
コン魔王の叫びが、その部屋の恐ろしさを物語っていた。
「次に100トンプレス!」
次の部屋は単純だ、百トンの重りが上から降ってくる。もしも真下にいようものなら、間違いなく潰れるだろう。
幸いなことにその時は目の前に降ってきたが、それでも、もう前に進めない。
「待って怖い! あとワシらも潰れる!」
「最後に無限矢地獄!」
最後の部屋は延々と矢が右から左、左から右に射出されては回収され、無限に矢が飛び交うようだ。
「怖すぎる! あとワシらも死ぬじゃろ!」
「でもこれくらいしないと人間は仕留められないですよ?」
「まずそこからなんだな……」
コン魔王の勉強会が始まる。玉座の部屋に戻り、座るコン魔王はゆっくりと口を開いた。
「まず、この世界の秩序について話す」
「人間は魔物を殺しますよね?」
魔物たちの当然の疑問。彼らは本来、狩られる側。世界の邪魔者としてさえ扱われる。
魔王城に居なければ、今纏う威厳すらない野生の者達。
「そうだ。そして、魔物も人間を襲う。城以外ではな」
「どういうことですか? 城では違うのですか?」
コン魔王の言葉は矛盾しているようにも聞こえた。何故なら、魔王城でも人を襲うからだ。だが、『襲う』というワードに何か、異を唱えているようだった。
「今、とある魔王の尽力で、人間と魔物が密かに繋がりを持とうとしている。だから、魔王城も変わろうとしている。人間の命を奪わない、人間を追い返すだけ」
「そんな! こちらに不利では?」
「代わりに魔物は魔王城では殺されても生き返る。そういう仕組みになっている」
魔王城では魔物は死なない。三日すれば生き返る。人間は殺せば死んでしまう。
この仕組みの中なら、魔物の不利も覆るように聞こえる。
「魔王様がやられたら……?」
「財宝が盗られる。ポンポコ大魔王様たちが貯めてきた財宝が、盗られてしまう。だから責任もある」
責任という名の重い鎖。死なない代わりにあるものがそれだった。でもだからこそ、魔王城の魔物は威厳を保つ。
「とにかく、罠の調整をしろ、トリトリ」
「わかりました……」
自信のあった罠だけに落ち込みもある様子。それでもトリトリの瞳には燃え上がるような熱さもあった。罠の改造しか取り柄がないからこそ、徹底的にやってやろうという魂胆かもしれない。
「ゴボウは罠で自分が死なないかチェックしろ」
「わかったっす!」
ゴボウの体は屈強だ。そしてゴボウは死んでも生き返る。テストとしてはこれ程有能なものはない。
「流石に体張りすぎでは?」
「じゃあカムイがするか?」
「遠慮します……」
あくまでカムイは戦闘指南役。死なないと言っても苦痛はあるし、お断りのよう。
とはいえ、仲間を想う気持ちはあるようだ。心配そうにゴボウの方を見ている。
そもそも、ゴボウも戦闘で最前線を担う役。戦闘指南役としては放っておけないのもあるかもしれない。
こうして罠の改造が始まる。大きな工事は城ゴーレムの役目。
「というか、城ゴーレム。お前もちゃんとトリトリを止めるようにな……」
頭を搔く城ゴーレムだった。




