コン魔王の城 第三話「勇者到来」
「敵襲! 敵襲!」
スライムのライム群が騒ぎ立てて、すぐに警戒態勢に移るコン魔王たち。
「何者だ?」
「勇者を名乗っています!」
「!?」
まだまだ幼い子供たちの初戦は勇者パーティ。それはあまりにも……高い壁。
とはいえコン魔王も、勇者はお帰りくださいなんて言えもしない。危機的状況に慌てる魔物たち。
「ゴボウは……ゴボウはどうした!?」
「落ち着けカムイ」
「ゴボウ様は、吹き飛ばされて壁にめり込んでます……」
冷静さを保ちながらも、冷や汗が止まらないコン魔王。カムイは自分が出なければと焦る。
「急いでトリトリを呼び戻せ」
あたふたしたトリトリが目を回しながらやってくる。
「罠が……本気罠さえも突破される!」
「お前まだ懲りてなかったのか……まぁいい、勇者なら通用しないだろう」
人を殺すかもしれない、そんな罠ですら効かない。それが勇者という人間。
「よう!」
「勇者か……」
「コン魔王様、お下がりください。ここは俺が」
「カムイ……油断するなよ、全力でいけ」
まさかこんなに早く本気を見られるとは思ってもなかったコン魔王だが、ここでカムイが通用しなければ困るのだ。
「雑魚に用はないんだよね」
「ナメるな!」
一瞬の出来事。カムイは勇者を刀で切りつけようとした。だがいとも簡単に受けられてしまう。
「知ってるかい? 刀っていうのはね、受けられると弱いのさ」
勇者の剣のフルスイングで、吹き飛ばされてしまうカムイ。戦闘においてトップの彼が負けるなんて誰も思わないだろう。
「ま、まだやれる……!」
「もういい、ワシが出る」
「あなたがコン魔王ね」
才色兼備な魔法使いは笑顔だが油断はしていない。
「中々可愛いですね」
慈悲深厚な僧侶は回復役だが、魔物を恐れもしない。可愛いなんて言葉でニッコリ笑顔だ。
「油断するなよ、多分実力は……」
質実剛健の戦士は決して気を抜かない。罠を破ったのもこの男だ。
「さて、財宝を頂こうかな?」
勇往邁進の勇者は間違いなく勝つ気でいる。不敵に笑うその姿は、人々の英雄であり魔物の天敵。
「ナメるな! この炎を喰らえ!」
「私に任せて!」(魔法使い)
魔法使いの炎とコン魔王の炎がぶつかる。だがコン魔王が勝つ。慌てるのは魔法使いだ。
その程度で魔王が揺らぐはずがないのだから。
「油断するなといったろう!俺と勇者のコンビネーションでいこう!」
「ふん、小賢しい」
狐の杖から仕込み刀を出して回転させるコン魔王。あまりの絶技に驚かされる勇者パーティ。
「流石に強いな。でもこれだけか?」
「これを喰らってもその軽口を続けられるかな?」
構えた後、降り注ぐコン魔王の炎のメテオ、流石に勇者パーティもこれは苦戦する。
「ガハハ!この程度か?勇者よ(え、えむぴーが……)」
とはいえ、彼はまだ子供。力は大きくともそれを扱えるだけの魔力は少ない。強がりつつ力が弱まるコン魔王に気づいた勇者。
「今日はここまでにしよう。俺たちの負けでいい」
「どうした?俺たちはまだやれる!」
「いいんだ、目的は果たした」
突然何事もなかったように去っていく勇者たちを見つめながら、コン魔王は考えていた。
(やはり勇者、手加減していたか……)
安堵するコン魔王は玉座に座る。手を握り震える姿を見られないように、魔物たちの歓声を受けていた。




