だから、私たちはいる
──翌日。
ラストリーフ支部・職員作業室。
ミーナは、ディアルの支援プランをまとめた書類を手に、深呼吸した。
(大丈夫。みんながいる)
そう、自分に言い聞かせる。
依頼人ひとりを支えるのに、斡旋人ひとりじゃ足りない。
この支部には──背中を預けられる仲間がいる。
「ミーナちゃん、手伝おっか?」
リリアがにこっと笑い、手を振った。
サラは静かに、必要な書類を机に並べてくれる。
チットが、パタパタと羽ばたきながら伝書便の確認に走る。
「オレも空便でフォローしとくよ! ちょっとくらいムチャ振りでも任せとけ!」
ハナミが、渋い顔で予備の資料を抱えてくる。
「ったく、こっちの段取りが狂うんだからね。……でも、ま、仕方ないか」
ベイルは無言で、正確なデータ管理表を用意していた。
(きっと、何かあったときにすぐに遡れるように)
ヨハンは、手元のブラックリストをざらりとめくりながら、ぽつりと漏らす。
「過去トラブル件数……ゼロ。……ま、そこは安心していいんじゃね?」
エドリックも、資料整理を手伝いながら真剣に頷く。
「……ミーナ先輩。自分も何か、できることがあれば……!」
カミーユが、きらきらした目で続く。
「私も、気合い入れてサポートいたしますわ!」
──そして、控えめに、だが確かに。
アルフォード支部長が、ミーナの隣に立った。
「全員で支える。……それが、ラストリーフ支部のやり方だ」
ミーナは、胸がいっぱいになった。
──
依頼人を迎え入れる準備が、すべて整った。
今度は、一人じゃない。
支部のみんながいる。
──
数時間後。
応接スペースに、ディアルが現れた。
ぎこちないけれど、昨日より少しだけしっかりした足取りで。
ミーナは、深く頭を下げた。
「お帰りなさい、ディアルさん」
ディアルが、小さく──でも確かに、笑った。
「……ただいま、です」
その瞬間。
ミーナは、心から思った。
(これが、私たちの仕事だ)
誰かがつまずいたとき、誰かが迷ったとき。
それでも歩こうとするその背中を、支えられる場所。
それが、斡旋人という仕事で。
そして──それが、ラストリーフ支部だった。
ミーナは、胸を張った。
「大丈夫です。
ここには、あなたを支えたいと思っている人が、たくさんいますから」
ディアルの目に、ほんの少し涙が滲んだ。
でも、それを拭う代わりに──彼は、笑った。
──だから、私たちはいる。
歩こうとするすべての人の、背中を支えるために。




