私の仕事
――夜。
職員たちが帰路につき、カウンター裏も静まり返っていた。
ミーナ=ルクトリアは、自席で小さな手帳を開く。
(今日も、いろんなことがあったな……)
ペンを握り、迷いながらも一行目を書く。
『私は、一人前の斡旋人になれたのかな』
ふと、夕方に顔を出したゴルザン=ルクトザークの姿が思い浮かぶ。
──くしゃっと笑って、「よくやったな」と言ってくれた、あの瞬間。
(あの言葉、嬉しかったな)
思い出すたび、胸が温かくなる。
でも同時に、ふとした不安も顔を出す。
(私、本当に“誰かを支える”ことができてるのかな)
ギルドには、今日もさまざまな依頼人が訪れた。
迷っている人、不安を抱える人、前を向けない人。
そんな彼らに、私はどれだけ寄り添えているだろう。
ゴルザンさんのように、背中を押してあげられているだろうか。
ミーナは小さく息を吐いた。
(……でも、まだ迷うことも、たくさんある)
(怖くなることも、ある)
それでも、今日まで歩いてきた自分を、少しだけ誇りに思いたかった。
ペンを走らせる。
『まだ、完璧じゃない。
でも、私は、ここにいる誰かの力になりたいと思っている。』
小さな、小さな決意。
それは、確かにミーナの中に芽生えていた。
(斡旋人──働くことを支える人。
それは、きっと──一緒に歩く人、ってことなんだ)
そっと、手帳を閉じる。
窓の外には、星空が広がっていた。
ミーナは微笑んだ。
(よし。明日も、頑張ろう)




