受付業務に、自由を
支部のカウンター裏──受付エリア。
リリア=カスカータとサラ=メルトが、いつものように応対していた。
そこに、資料を抱えたミーナ=ルクトリアがやってきた。
「リリアさん、サラさん。ちょっとだけ、相談いいですか?」
リリアがニコッと笑い、サラが静かに頷く。
「受付対応、もっとスムーズにできるように、簡単な“トークスクリプト”を作ろうと思ってるんです」
リリアが目を丸くした。
「えっ、マニュアルってこと?」
「はい。でも、全部ガチガチにするんじゃなくて──たとえば“最初の挨拶”とか、“困ったときの対応”だけでもテンプレートがあれば、新人さんでも安心かなって」
リリアはしばらく考え込んだ。
「……たしかに、私らは感覚でやっちゃってるけど、初めての子には難しいかもね~」
サラも、静かに「……うん」と頷く。
ミーナは小さなメモを差し出した。
「仮案なんですけど──」
【受付トークスクリプト(案)】
【来訪時の第一声】:
「いらっしゃいませ、ギルド・ラストリーフ支部へようこそ!」
【目的確認】
「本日はどのようなご用件でお越しでしょうか?」
【困ったときの一時対応】
「少々お待ちいただけますか?担当者に確認してまいります!」
【締めの一言】
「本日はご来訪いただき、ありがとうございました!」
リリアがぱらぱらと目を通し、ふっと笑った。
「これ、いいかも。型があるなら、逆に自由にアレンジしやすいし」
「……うん」
サラが、もう一言付け加えた。
「……型があれば、迷わない」
それだけで、場の空気がやわらかくなる。
「じゃあ、試しにこのスクリプトベースで、リリアさんたち流にアレンジしてみてもらえますか?」
「りょーかい☆ 楽しくやっちゃうね!」
リリアがウィンクして、サラは静かにペンを取った。
──そうして、受付業務にも、“自由”が芽吹き始めた。




