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一緒に見る景色(前編)

ギルド・ラストリーフ支部、昼下がりのカウンター前。


「すみません、今日、急ぎで相談したくて……!」


駆け込んできたのは、冒険者風の青年──タリス=グレンだった。


軽装に短髪、普段なら快活そうな雰囲気なのだろうが、今はどこか沈んだ顔をしている。


ミーナ=ルクトリアはすぐに対応に向かい、笑顔で迎えた。


「いらっしゃいませ。ご相談内容をお聞かせください」


タリスは息を整えながら、事情を話し始めた。


「実は……今まで住んでた宿舎が、急に閉鎖することになって。次の仕事も探したいんですけど、何より、住む場所が……」


ミーナは頷きながら、慎重に言葉を選んだ。


「ご安心ください。急ぎの対応になりますが、まずは今できる選択肢を一緒に探しましょう」


(焦っている……無理もないですよね)


タリスの焦燥感を受け止めながら、ミーナは静かに端末──ではなく、紙の案件リストに目を通し始めた。


その間に、さりげなく手元の小さな呼び鈴を鳴らす。


裏手で待機していたチット=スパンが、すぐさま飛んできた。


「呼んだ? 急ぎ便だよね? 了解、任せとけ!」


チットは事情を察すると、伝書ポーチを肩にかけ直し、空便用の軽装スタイルに素早く切り替えた。


「ギルド間ネットで仮住まい探し、最優先で飛ばしてくる!」


ひらりと手を振り、軽やかに裏口から飛び立つチット。


その姿を横目に見ながら、ミーナはタリスに微笑んだ。


「支部間で連携を取って、急ぎの仮住まい情報を探してもらっています。ご希望に合う場所が見つかるよう、全力でサポートしますね」


タリスは、少しだけ表情を緩めた。


「……ありがとうございます。焦るばかりで、どうしていいか分からなかったんです」


「大丈夫です。ここでは、一緒に考えましょう」


その言葉に、タリスは深く頭を下げた。


──支部の奥、支部長室の窓辺。


アルフォード=グレインは、書類を手にしながら、静かにその様子を見つめていた。


(……こうやって、支えるのか)


声高に指示を出すでもなく、焦る者を責めるでもなく。


寄り添い、共に選択肢を探す。


(理屈だけでは、生まれない動きだな)


チットの軽やかな飛翔を、ミーナの柔らかな対応を、アルフォードは胸の奥に刻みつけた。

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