君の目には、どう映る?
ギルド・ラストリーフ支部、資料室隣の小会議スペース。
ミーナ=ルクトリアは、少し緊張しながら資料を机に並べた。
向かいには、アルフォード=グレイン。
支部の業務改善案について、改めてすり合わせを行うための場だった。
「……では、こちらが、現場目線で整理した改善ポイントです」
ミーナが差し出した書類に、アルフォードは無言で目を通す。
ページをめくるたび、眉がわずかに動く。
ミーナは少しだけ息を吸い込み、補足を始めた。
「例えば、カウンター対応の件です。受付で即時対応できない案件を、一時的に保留できる仮対応票を設けることで、混雑時の滞留を防ぎたいんです。現状では、窓口職員がすべて抱え込んでしまい、後ろにずれ込む原因になっています」
アルフォードはペンを置き、静かにミーナを見た。
「……たしかに。滞留案件が一定数を超えると、全体の処理効率が落ちる」
ペン先で書類の余白を軽く叩きながら、彼は続ける。
「仮対応票、か。優先順位付けにも応用できそうだな」
ミーナは、胸の奥がふっと軽くなるのを感じた。
(伝わった……!)
以前なら、一蹴されて終わったかもしれない。
けれど今、アルフォードは言葉を飲み込み、考え、そして受け止めてくれている。
まだ、ぎこちない。
でも、確かに──少しずつ、歩み寄っている。
「次回の業務改善会議で、暫定案として提示しよう」
「はい!」
ミーナは思わず、弾む声で返事をしてしまった。
アルフォードも、それにほんのわずか、口角を緩める。
すれ違い続けたふたりの間に、ようやく小さな橋がかかった瞬間だった。




