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没落ギルドの仕事斡旋人2~辺境支部を支える、小さな物語~  作者: ほたてといか
第四章 観察記録、それは定性的な冒険
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空を飛ぶのも、業務です

ギルド中庭、伝書用ポスト前。


アルフォード=グレインは、軽快な羽音に気づいて顔を上げた。


そこにいたのは、チット=スパン。


細身の鳥獣人──支部の伝書使い兼、ギルド間連携担当。


彼は、肩にかけた伝書ポーチを軽く叩きながら、にやりと笑った。


「今日も最速更新狙っちゃいますかね~♪ 空便はスピード命っすから!」


軽口を叩きつつ、次々と伝書を確認していく。


ぱらぱらと手際よく文書を分別し、各支部宛の便箋を素早くまとめる。


「リリア先輩からの急ぎ便、ヨハンさんの履歴更新、あとこれは……っと」


目にも留まらぬ速さで、伝書を小分けし、ポーチに収めていく。


アルフォードは、静かに感心していた。


その時だった。


チットがふいに、アルフォードに向かって声をかけた。


「あ、アルフォード支部長。最近、書類増えすぎっすよ~? 回しきれないっすマジで。……まあ、頑張りますけどね☆」


冗談めかした口調だったが、その背後にある微かな負担感は隠しきれていなかった。


(……現場には、見えない圧力がかかっている)


アルフォードは、無言で頷いた。


チットは軽く肩をすくめ、再び作業に戻る。


そして、次の瞬間──


「わっ、急ぎ便、間に合わなかったーっ!」


ポーチの底から出てきた一通の伝書を見て、顔をしかめた。


「……これ、現場負担確定っすね。先に電話連絡、入れときますわ」


慌てながらも、冷静に対応策を講じるその姿に、アルフォードは小さな驚きを覚えた。


(……即応力。これも、支部を支える力だ)


空を蹴って飛び立つチットを見上げながら、アルフォードは深く息を吐いた。


軽やかに、自由に。


だが、確実に支部の一部として機能している──


それは、彼が初めて目にする“異質な有能さ”だった。

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