女子とお茶と、ため息と
昼下がりの休憩スペース。
支部の女子メンバーが、こぢんまりと集まっていた。
ミーナ、カミーユ、リリア、そしてサラ。
テーブルの上には、それぞれが持ち寄ったお菓子と、ハナミ特製の紅茶ポット。
「いやぁ、今日も働いたね~」
リリアが椅子にどっかり座り、伸びをする。
「支部って、こう、もっとふわっとしてた気がするんですけど……気のせいかな?」
「気のせいじゃないですわ」
カミーユが無邪気に断言する。
「数字と規則に囲まれて、ちょっとだけ、窮屈になった気がしますもの」
サラは何も言わない。ただ、そっと紅茶を注ぎ足してくれる。
その仕草があまりに静かで、ミーナは思わず微笑んだ。
「でもまあ、何だかんだで回ってるしねー」
リリアがクッキーをひとつつまみながら、軽い調子で言う。
「きちんとしてるのも、悪いことじゃないって思うよ。怒られる回数、減ったし」
「……それは、たしかに」
ミーナも小さく笑った。
そこへ、カミーユがぽつりと付け加えた。
「けれど、わたくし、こっちのほうが好きかもしれませんわ」
「どっちって?」
リリアが目を細める。
「皆さまと、こうしてのんびりお茶をいただく、この時間です」
ミーナは胸の奥が温かくなるのを感じた。
「……なんか、いいこと言うじゃん」
リリアが照れくさそうに笑い、サラも小さく頷いた。
「でもさー、最近、案件ファイルの厚みヤバくない?」
「ほんとうに、山のようですわ!」
カミーユが両手を広げて大げさに言うと、テーブルの上のお菓子がカタリと揺れた。
「きゃっ、ごめんなさい!」
慌てて手を引っ込めるカミーユに、ミーナもリリアも吹き出す。
サラは無言でクッキーを差し出した。
そのさりげない動きに、また全員が笑った。
「支部って、なんなんでしょうね」
ふと、カミーユが真剣な顔で尋ねた。
その言葉に、ミーナはハッとした。
支部とは何か。
仕事とは何か。
誰かの未来を支えるために、この場所はあるはずだった。
(でも、今の私は……)
答えは出ない。
ただ、テーブルの上には、温かい紅茶と甘い香りが広がっていた。
「ま、答えなんて、そのうちわかるでしょ」
リリアが軽く笑い飛ばす。
「今はとりあえず、うまいもん飲んで、食って、また働くっきゃないっしょ!」
「……そうですね」
ミーナは、そっとカップを手に取った。
カミーユも微笑みながら言う。
「皆さまがいてくださるから、わたくし、頑張れますわ!」
その無邪気な言葉に、また自然と笑顔が広がった。
「よし、午後もがんばろっか!」
リリアが手を叩き、サラも小さく頷く。
疲れたって、ため息をついたって、また立ち上がればいい。
カップの中の紅茶は、まだほんのり温かかった。




