18
今日はなぜか保存&投稿が今の今まで何度も失敗する羽目に。
なので3、4回は書き直してる&心情描写ばっかりなので下手だったり読みづらかったらごめんちゃい。でも読んで!(切実)
あと、昨日の答えは<戯言シリーズ>です。
さて、と。
もう一度グラスの中身を口に含み、舌の上で転がして文字通り味を占めつつ喉を潤しながら。
そう言えば、という軽い気持ちで――自分のどこかしらが沈黙を回避したかったのだろう。唐突に、外界に振り撒かれている雨粒のようにポツリと尋ねる事にした。
「ところでこの車はどちらに向かわれてるんですか?」
「優希様専用の別荘――現当主様にとっての『本家』となる場所ですね」
それと私に敬語は不要でございますよ、という言葉を添えてアリサさんは答え――――え?
「…………別荘?」
「はい」
まるで1+1のイコールの先を尋ねられたような、「そりゃもちろん」とでも言いそうな顔で肯定してくれた。肯定しちゃってくれた。
……ソンナ話、自分ハ知ラナイ。
知ッテタマルモノデスカ。
「…………」
そして言葉が続かず、幾度目かの沈黙。
自分は静寂は好きだが沈黙は……気不味い。溜め息をつきそうになって、――息を詰まらせた。コレは比喩じゃない。
そうだ。
個人的に自分という人間は動揺が――感情の波や起伏が極めて少なく、どこまでも平坦でフラットなものだと思っていたし、事実そうであるはずだ。そうでなくてはいけない。
……なのに。
なのに、
なのに、
なのに、
なのに、
なのに。
このザマはなんだ?
両親も祖父も死んだ。
しかしそんなものはいつもの自分だったら些事に等しい。そのはずだ。
けれど実際は。
あれほど胸に誓って、あまつさえ母親にも最期に頼まれているのに――泣き崩れていた『彼女』に対して何もしてやれず。それどころか些事にも満たない事実に一々心を落ち着かせられていないだなんて。
これを無様と言わずして、他になんと言う?
「滑稽過ぎる……」
「?」
「いや、なんでも」
「そうでございま――」
そこで一瞬言葉が途切れ、
「――到着いたしました」
それは駅のアナウンスのようだった。
確かに、ここは駅なのかもしれない。とするとこの車は対処の許容を超えた悲痛から目を背けて逃げ込んだ電車だった。そうなのかもしれない。いや、そうだ。
これは紛れもない――同時に誇りもない、ただの逃避だ。それが終着を迎えたという事か。
「グラスはそのままで結構です。ではこちらからどうぞ」
言ってドアを綺麗に(そうとしか評価しきれない)開けて、手を以ってして降車を促された自分は、降りる際に、ようやく思い知った。
……あぁ、成程。
自分がさっきまで、あの豪華で絢爛な車内の沈黙が嫌だったのは――――。
「…………」
……やめておこう。
かくして。
最低な気分で、自分は初めて『柳刃』の土地を踏む事となった。




