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式神と霊兵  作者: 田中始め
第一章 平安編
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 Side:黒金(くろかね)



 今日は如月の十日。

 何故かまた義経がウチに来て、僕についてこいって言いに来た。

 皆は諦め顔だ。何故なら、まだ終わっていない事を僕が伝えているからだけどね。


 そして京の都を出発。僕は義経達と共に摂津の国に移動した。

 ここで義経は色々と工作をして水軍を味方につけたようだ。

 僕としてはどうでもいいし、興味ないから適当に過ごしてたけどね。


 その後、渡辺津っていう港から出発となったんだけど、海が荒れているらしい。

 にも関わらず、義経は舟を出せって五月蝿く言ってる。

 こいつは何を焦ってるんだろう?


 結局、五艘の舟と百五十騎で出る事になり、何故か僕もついて行かされている。

 相変わらず迷惑なヤツだと思うよ、本当。




 無理矢理に進んだからか、それとも海が荒れていたおかげで早かったのか、簡単に阿波の国についたね。

 ここが阿波の国のどこかは知らないけど。


 とりあえず進んだ僕達は在地の武士に話を聞く事が出来た。

 すると平氏は島々に分散しているらしい事と、屋島の兵は出撃していて今は少数が残っているだけだと聞く。

 すると義経は攻めると言い出した。……やっぱりね。


 こいつ、奇襲が上手くいったからって、奇襲すると必ず上手くいくって思ってない? なんかそんな気がする。

 一度上手くいって二度目も。となると三度目も上手くいくって思うよね。大丈夫かな?


 僕達はまず桜庭なにがしとかいうヤツの館を強襲。そして破るとそのまま進撃。

 そして讃岐の国との境にある大坂越を通り、讃岐の引田に着いた。

 ここで一旦休むらしいが、勘弁してほしいよ。


 少し仮眠をとったら叩き起こされ、仕方なく黒馬に乗ってさらに進撃。遂に屋島まで辿り着いた。

 っていうか強行すぎるよ。もう寝たい。


 ………義経が地元の人に聞きこんだ結果、屋島は干潮時には陸地を進める事が分かった。

 そしてその干潮は今日なんだってさ。こいつが考える事なんて一つだけだ。


 「よし、屋島に奇襲をかける!」


 ほらね。いっつもコレだ。

 こいつ最後には奇襲を逆手にとられて失敗すると思う。

 こんなのいつまでも上手くいく筈が無い。しかもこいつ絶対に理解してないよ。


 「まずは火をかけて旗を立て、多数に見せかけるのだ。

 そうすれば少数の者どもなど逃げる。そこを我らが屋島に向かい、占領してしまえばよい。

 そうすれば奴らは帰る所を失う」


 なんかそういう事に決まったらしい。

 もう眠くて仕方ないから、何でもいいけどさっさとしてよ。




 そして火をかけて多数に見せる策は成功した。

 なので僕達は屋島へと渡って行ったんだけど、途中で少数なのが気付かれたみたい。

 舟から大量の矢が射かけられた。


 奇襲ばっかりで成功するはず無いじゃないか。何度も同じ事を繰り返せば相手だって疑う。

 そんな当たり前の事も分からないのか。


 「九朗様! ここは私めが盾になってでもお守りいたしまする!!」


 「継信! 継信すまぬ! 私が浅はかであったか! おのれ平氏め、必ず殲滅してくれるぞ!」


 いや、その人が死んだのは義経の所為でしょ。なんで平氏の所為になってるのさ。

 お前が奇襲ばっかり言い出すからだろ。

 そもそも本隊を待てばいいのに奇襲ばっかりするからだよ。


 その後も戦いになったけど、僕の猛兵の攻撃もあり平氏は退却していった。

 こいつ僕が居なきゃ死んでたんじゃないかな? いや、ここで死んでた方が良かったんじゃ……。


 それはともかく僕達はさらに移動、瓜生(うりゅう)ヶ丘という所に陣を敷く。

 これでやっと寝られるよ。とにかく古兵と影兵を出してさっさと寝よう。おやすみ。


 …

 ……

 ………


 今日は二十日。少し寝たからマシだけど、平氏は退却しただけでまだ近くに居た。

 屋島の奪還を狙っているらしい。って事はまだまだ戦いが続くじゃん。

 あー、いやだ。帰りたい。


 そう思っても敵が襲ってくるので仕方なく浜を中心にして戦う。

 猛兵が矢を射るけど、平氏側は近付いては離れるの繰り返しをしている。

 僕は完全にやる気を無くし、後ろの影兵に支えられながら黒馬の上で寝る事にした。


 次に起きたのは夕方前。

 まだ近付いたり離れたりを繰り返していたみたいだ。

 なんであんな事をと思っていたら、なんか小舟が一艘来たね?

 舟に扇が立ててある? ………何がしたいんだろう?


 「源氏の者どもよ! この扇を見事に射抜いてみせよ!!

 できねば所詮は「ドガァン!!」東国のば……」


 なんか鬱陶しいから猛兵に射させたんだけど、周りが静かになっちゃったね?

 いや、面倒だし意味が分からないし鬱陶しいじゃん。近付いては離れるっていう逃げるような連中だし。

 ついでに小舟の平氏も撃ち殺せ。


 「!!!」


 ズドォン!!


 「ああ、なんと惨い事を……」


 「あの者はまだ口上を言っておったであろうに」


 「知らないよ、鬱陶しい。

 近付いたり離れたり、人をバカにしたような事をやってるから、ああやって死ぬんだよ。

 戦をするなら真面目にやれ」


 「「「「「「「「「「………」」」」」」」」」」


 「ははははははは! 確かに君の言う通りだ。

 おそらくは援軍を待っての事だろうが、随分と(こす)い真似をするものよ。

 平氏とはその程度か! だからこそ敗れるのだ!!」


 「「「「「「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」」」」」」」


 なんでもいいけど、平氏側は退いていったね。

 これで今日は終わりかな。とにかくゆっくりと寝たい。


 …

 ……

 ………


 今日は二十一日。

 平氏側は志度という所から上陸して背後を攻めて来ようとしたけど、僕達はこれを撃退。

 ようやく平氏側は完全に退いていったみたいだ。

 これでゆっくりと休める。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 今日は弥生の二十四日。

 随分と時間が経ったけど、平氏は既に彦島という島しか拠点が残っていない。

 そこまで追いつめているんだけど、最後の合戦の軍儀で揉めている。


 「それがしが先陣にて敵を蹴散らして見せましょうぞ」


 「梶原殿、そなたはそもそも軍監であろう。そのお役目にある者が先陣で如何(いかが)するというのだ。

 左様な事は実平(さねひら)でも言わぬぞ。

 軍監の先陣などあり得ぬ。先陣に立つは私だ」


 「な!? それこそあり得ぬわ。大将が先陣に立つなど、貴様は将の器ではない!!」


 「ならば貴様のように軍監が先陣に立つのが正しいとでも言う気か、この田分けめ!

 大将が先陣を切らずして、兵がついてくる筈があるまい!!

 そのような勇なき者など誰も認めぬわ!!」


 「大将が前に出るなどと抜かす、田分けの方が認められんわ!

 だから貴様はいつまでも阿呆なのだ!!」


 「なんだと貴様ぁ!!」


 ドガッ!


 義経が掴みかかり右手で殴った後で蹴り飛ばした。

 すると梶原とかいう軍監は太刀を抜いて切りかかったけど、後ろの人達が無理矢理に止める。

 そりゃ流石に止められるよ。大将に切りかかるのは駄目でしょ。


 結局そのまま義経が前に出るって事で決まったよ。

 他の人も義経の言い分は分かるらしい。大将が前に出なくて兵がついていく訳ないってヤツね。

 まあ、言いたい事は分かるよ。実際、後ろで見てるだけの大将なんて大丈夫かって思うし。

 でもねー………


 ―――――――――――――――


 源 義経 男 二十七歳


 体力・二十六

 霊力・九

 術技・二

 知恵・二十八

 知識・二十七

 運勢・普


 そろそろそなたの成すべき事の時も近い。それにしても………こやつは、絞兎死して良狗烹らる、高鳥尽きて良弓蔵められ、敵国破れて謀臣亡ぶ。という言葉を知らんのか?


 ―――――――――――――――


 ………僕のやるべき事は近いらしいんだけど、この言葉なんだろう? 妙に引っ掛かるな。

 神様が言っているぐらいだから意味があるんだろうけど……聞いた事が無いや。


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