0059
Side:黒金
ドゴォォォォォォォォォォォォォン!!! ドガァァァァァァァァァァン!!!
ふぇ? なに? いったい何が起こったの!?
今は夜中だけど、もしかしてまた怨霊の人達が出た!?
「黒金、無事か?」
隣の部屋で艶と葛葉と寝ていた斯明が慌ててきた。
艶と葛葉も起きてるみたい。
いったいさっきの大きな音は何だったんだろう? ビックリするほど大きな音だったよ。
「僕は大丈夫だけど、いったい何があったんだろ? 凄く大きな音が二回も鳴ったよ。
もしかして、また怨霊の人達が出てきたんじゃないよね?」
「流石にそれは無いだろう。既に成仏するように消えていかれたしな。
あれで未だ現世に残られているとは考えづらい。
それより何があったのか見に行かねばならんが……」
「斯明は家に居て艶と葛葉を守っててよ。
僕が見てくる!」
「すまん、頼めるか? 私はここで二人を守らねばならん。
ただし黒金、危険な事はせぬようにな?
それと古兵でも斬兵でもいいから、必ず一緒に動くんだ。常に守りの兵を置くんだぞ」
「分かってる! ………よいしょっと。
じゃ、行ってくる!!」
「気をつけてね」
「気をつけなさい。なにやら結構な霊力を感じるわ」
「うん、分かった!」
僕は藁沓を履いて家を出ると、古兵を二体と斬兵を一体出して音の場所を探す。
さっきの音がしないので、どこが音の鳴った場所か分からないものの、とりあえずで歩いていく。
すると……
ドゴォォォォォォォォォォォン!!!
「音が鳴った! 間違いない、向こうで音が鳴ってる!!」
僕は家を出たけど恐がっている町の人を横目に、音が鳴った場所へと走って行く。
必死になって走ったからか、僕と古兵や斬兵は遂に音のしている場所に来た。
そこには多くの平氏らしき人達が居たけど、その人達がなにやら騒いでる。
いったい何の騒ぎなんだろう?
あれだけ大きな音がしたんだから、戦でもしてるんだろうか?
「大相国!! お止めくだされ! 大相国! 聞こえませぬか!?
何故かような事をされまする!? お止めくだされ、大相国!!」
「しゅるるるるるるるる……!!」
大相国と呼ばれている人が宙に浮いて、なにやらおかしな目を向けている。
目が縦になっているけど、あれって葛葉が狐になった時と同じような目だね?
もしかして大相国って妖怪なの!?
「父上! 何故このような事をなされまするか。
お止めくだされ、父上! 正気にお戻りを!!」
「しゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
その時、大相国から霊力の塊が飛んだので、僕はすぐに【鬼火】を飛ばしてそれにぶつけた。
すると「バン!」という音がして、両方が弾けて消える。
うん、僕も上手くなった。
「何奴!? ……童だと!?
ここが西八条邸だと分かっておるのか!! 今すぐに切り捨てるぞ!!」
「そんな事を言ってる場合じゃないよ!
その大相国様、何かの妖怪に乗っ取られてる!!」
「「「「「「「「「「な、なんだってーーーーっ!?!!?」」」」」」」」」」
「ちょっと待て! そこな童が言うておる事が真かどうかも分かるまい!
なぜに皆が言う事を聞くのだ!?」
「宗盛様!! その童は稀人でございます!
言っておる事に間違いはないかと」
「なに!? この童が稀人だと!?
ならば父上が妖怪に憑かれておるというのは真か!?」
「きしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
浮いている大相国は腕を左右に広げて浮いてたんだけど、その右手から突然大きな蛇が噛みつきに来た。
しかしその牙を古兵が剣で弾き、僕を助けてくれた。
いやぁ、古兵が助けてくれなければ危なかったよ。
あいつ速い!
「ぬぉっ!? 父上の体から蛇が出てきたぞ! あれが父上の体に憑いておる妖怪か!!
おのれぇ、許さんぞ!!」
「お止めくだされ宗盛様! 妖怪には唯人の攻撃は効きませぬ。
霊力の篭もりし攻めしか通用せぬのです。
ここは稀人であり陰陽師である童に任せるしかありませぬ」
「えぇい! なんたる事だ!
父上が苦しんでおられるというのに、お助けする事も出来んとは!!」
「<古兵・勇壮猛夫>! <斬兵・豪壮武辺>!
古兵一体は僕の前で守れ! それ以外はあの蛇を倒すんだ!!
ただし大相国様に攻撃しないように!」
「「「「「「「!!!」」」」」」」
新たに古兵を二体と斬兵を三体呼んだ。
これだけの数なら、あの蛇も……ってなんで!? 左腕と両足からも蛇が出てきた!!
いったい何匹いるのさ!?
「なんだあれは!? 父上はあんな数の蛇に憑かれていたというのか!?
そのような事も知らず、私はのうのうと生きていたとは……」
「宗盛様、己を責めるのはお止めくだされ! 我々平氏の者が皆知らなんだのでございます!
罪と申されるならば、我らが罪でございまする」
「………そうだな。
嘆いてもおれぬ。稀人に託すしかないが、あの蛇を上手く切りておる。
父上を傷付けずに何とかしようとしてくれておること、感謝しかない」
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五頭大蛇 甲三級
オロチの血を僅かに得て五つの頭を手にした大蛇。しかしながら大した妖怪にはなれなんだようであるな。この程度ならそなたで十分に倒せる。ただし真の頭は四つの頭を潰した後にしか出てくるまい。誰かに乗り移られる前に素早く倒せ。猛兵を使ってな
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神様の眼で視えたので、僕は斬兵を一体残して三体消し、代わりに猛兵を三体呼び出した。
周りの平氏の人はビックリしたみたいだけど、そんな事に構ってる暇は無い。
「猛兵、大相国様の体に当たらないように矢を射って蛇を倒すんだ」
「「「!!!」」」
ズドドドォッ!!
「ぎしゃぁぁぁぁぁぁぁ!?!??」
「おおっ!! 一匹の蛇が矢を受けて落ちたぞ。
そのまま消えたという事は倒したという事か! これは素晴らしい!!」
ところが一回で分かったのか、蛇は自分を射ると大相国に当たるように動いた。
つまり大相国の体の前に出たんだ。でも、それじゃ意味が無いね。
「!!!」
シュパッ!!
「!?!!?!」
斬兵に一撃で首を落とされた左腕の蛇は、何も言う事も出来ないままに落ちて死んだ。
それを見て混乱したのか両足の蛇が暴れるけど、むしろ大商国を狙わなくて済むからありがたい。
「「「!!!」」」
ザシュッ! ドシュッ! ドスッ!
「じゃ!?!!?」
「「「!!!」」」
ズドドドォッ!!!
「しゅぁぁぁぁぁぁ!?!!?」
「やった、次が最後だ!!
さあ、出てこい! 最後に残ったお前が本物の蛇だって事は分かってるんだぞ!!
五頭大蛇!!」
僕がそう言うと、大相国の頭の上から今までの蛇よりも大きくて太い、本当の大蛇が現れた。
あれこそが本物の大蛇であり、あれを倒さなきゃ終わらない。
最後の戦いだ、頑張るぞ!!
「シャァァァァァァァァァァァ!!!!」
僕を目掛けて一気に噛みつきに来たけど、古兵が剣で守ってくれた。
ガキィッ!!!
そうやって古兵が止めてくれた瞬間、斬兵が横から斬り込む!
僕は勝利したと思ったけど、甲三級はそんなに甘くなかった。
ギィィィン!!!
「シャッ!!」
すぐに体を戻して大相国の頭の上に戻ったけど、その隙を狙って猛兵が矢を射る。
「「「!!!」」」
ズドドド!
「ギシャァァァァァァァァ!!!」
神様が猛兵を使えと言ってくれた通り、猛兵の矢は良く効くみたいだ。
このまま猛兵で攻めて勝とう。




