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式神と霊兵  作者: 田中始め
第一章 平安編
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0059




 Side:黒金(くろかね)



 ドゴォォォォォォォォォォォォォン!!! ドガァァァァァァァァァァン!!!


 ふぇ? なに? いったい何が起こったの!?

 今は夜中だけど、もしかしてまた怨霊の人達が出た!?


 「黒金(くろかね)、無事か?」


 隣の部屋で(つや)葛葉(くずは)と寝ていた斯明(かくめい)が慌ててきた。

 (つや)葛葉(くずは)も起きてるみたい。

 いったいさっきの大きな音は何だったんだろう? ビックリするほど大きな音だったよ。


 「僕は大丈夫だけど、いったい何があったんだろ? 凄く大きな音が二回も鳴ったよ。

 もしかして、また怨霊の人達が出てきたんじゃないよね?」


 「流石にそれは無いだろう。既に成仏するように消えていかれたしな。

 あれで未だ現世(うつしよ)に残られているとは考えづらい。

 それより何があったのか見に行かねばならんが……」


 「斯明(かくめい)は家に居て(つや)葛葉(くずは)を守っててよ。

 僕が見てくる!」


 「すまん、頼めるか? 私はここで二人を守らねばならん。

 ただし黒金(くろかね)、危険な事はせぬようにな?

 それと古兵でも斬兵でもいいから、必ず一緒に動くんだ。常に守りの兵を置くんだぞ」


 「分かってる! ………よいしょっと。

 じゃ、行ってくる!!」


 「気をつけてね」


 「気をつけなさい。なにやら結構な霊力を感じるわ」


 「うん、分かった!」


 僕は藁沓(わらぐつ)を履いて家を出ると、古兵を二体と斬兵を一体出して音の場所を探す。

 さっきの音がしないので、どこが音の鳴った場所か分からないものの、とりあえずで歩いていく。

 すると……


 ドゴォォォォォォォォォォォン!!!


 「音が鳴った! 間違いない、向こうで音が鳴ってる!!」


 僕は家を出たけど恐がっている町の人を横目に、音が鳴った場所へと走って行く。

 必死になって走ったからか、僕と古兵や斬兵は遂に音のしている場所に来た。




 そこには多くの平氏らしき人達が居たけど、その人達がなにやら騒いでる。

 いったい何の騒ぎなんだろう?

 あれだけ大きな音がしたんだから、戦でもしてるんだろうか?


 「大相国!! お止めくだされ! 大相国! 聞こえませぬか!?

 何故(なにゆえ)かような事をされまする!? お止めくだされ、大相国!!」


 「しゅるるるるるるるる……!!」


 大相国と呼ばれている人が宙に浮いて、なにやらおかしな目を向けている。

 目が縦になっているけど、あれって葛葉(くずは)が狐になった時と同じような目だね?

 もしかして大相国って妖怪なの!?


 「父上! 何故(なにゆえ)このような事をなされまするか。

 お止めくだされ、父上! 正気にお戻りを!!」


 「しゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 その時、大相国から霊力の塊が飛んだので、僕はすぐに【鬼火】を飛ばしてそれにぶつけた。

 すると「バン!」という音がして、両方が弾けて消える。

 うん、僕も上手くなった。


 「何奴!? ……(わらし)だと!?

 ここが西八条邸だと分かっておるのか!! 今すぐに切り捨てるぞ!!」


 「そんな事を言ってる場合じゃないよ!

 その大相国様、何かの妖怪に乗っ取られてる!!」


 「「「「「「「「「「な、なんだってーーーーっ!?!!?」」」」」」」」」」


 「ちょっと待て! そこな(わらし)が言うておる事が真かどうかも分かるまい!

 なぜに皆が言う事を聞くのだ!?」


 「宗盛様!! その(わらし)稀人(まれびと)でございます!

 言っておる事に間違いはないかと」


 「なに!? この(わらし)稀人(まれびと)だと!?

 ならば父上が妖怪に憑かれておるというのは真か!?」


 「きしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 浮いている大相国は腕を左右に広げて浮いてたんだけど、その右手から突然大きな蛇が噛みつきに来た。

 しかしその牙を古兵が剣で弾き、僕を助けてくれた。

 いやぁ、古兵が助けてくれなければ危なかったよ。

 あいつ速い!


 「ぬぉっ!? 父上の体から蛇が出てきたぞ! あれが父上の体に憑いておる妖怪か!!

 おのれぇ、許さんぞ!!」


 「お止めくだされ宗盛様! 妖怪には唯人の攻撃は効きませぬ。

 霊力の篭もりし攻めしか通用せぬのです。

 ここは稀人(まれびと)であり陰陽師である(わらし)に任せるしかありませぬ」


 「えぇい! なんたる事だ!

 父上が苦しんでおられるというのに、お助けする事も出来んとは!!」


 「<古兵・勇壮猛夫>! <斬兵・豪壮武辺>!

 古兵一体は僕の前で守れ! それ以外はあの蛇を倒すんだ!!

 ただし大相国様に攻撃しないように!」


 「「「「「「「!!!」」」」」」」


 新たに古兵を二体と斬兵を三体呼んだ。

 これだけの数なら、あの蛇も……ってなんで!? 左腕と両足からも蛇が出てきた!!

 いったい何匹いるのさ!?


 「なんだあれは!? 父上はあんな数の蛇に憑かれていたというのか!?

 そのような事も知らず、私はのうのうと生きていたとは……」


 「宗盛様、己を責めるのはお止めくだされ! 我々平氏の者が皆知らなんだのでございます!

 罪と申されるならば、我らが罪でございまする」


 「………そうだな。

 嘆いてもおれぬ。稀人(まれびと)に託すしかないが、あの蛇を上手く切りておる。

 父上を傷付けずに何とかしようとしてくれておること、感謝しかない」


 ―――――――――――――――


 五頭大蛇 甲三級


 オロチの血を僅かに得て五つの頭を手にした大蛇。しかしながら大した妖怪にはなれなんだようであるな。この程度ならそなたで十分に倒せる。ただし真の頭は四つの頭を潰した後にしか出てくるまい。誰かに乗り移られる前に素早く倒せ。猛兵を使ってな


 ―――――――――――――――


 神様の眼で()えたので、僕は斬兵を一体残して三体消し、代わりに猛兵を三体呼び出した。

 周りの平氏の人はビックリしたみたいだけど、そんな事に構ってる暇は無い。


 「猛兵、大相国様の体に当たらないように矢を射って蛇を倒すんだ」


 「「「!!!」」」


 ズドドドォッ!!


 「ぎしゃぁぁぁぁぁぁぁ!?!??」


 「おおっ!! 一匹の蛇が矢を受けて落ちたぞ。

 そのまま消えたという事は倒したという事か! これは素晴らしい!!」


 ところが一回で分かったのか、蛇は自分を射ると大相国に当たるように動いた。

 つまり大相国の体の前に出たんだ。でも、それじゃ意味が無いね。


 「!!!」


 シュパッ!!


 「!?!!?!」


 斬兵に一撃で首を落とされた左腕の蛇は、何も言う事も出来ないままに落ちて死んだ。

 それを見て混乱したのか両足の蛇が暴れるけど、むしろ大商国を狙わなくて済むからありがたい。


 「「「!!!」」」


 ザシュッ! ドシュッ! ドスッ!


 「じゃ!?!!?」


 「「「!!!」」」


 ズドドドォッ!!!


 「しゅぁぁぁぁぁぁ!?!!?」


 「やった、次が最後だ!!

 さあ、出てこい! 最後に残ったお前が本物の蛇だって事は分かってるんだぞ!!

 五頭大蛇(ごずだいじゃ)!!」


 僕がそう言うと、大相国の頭の上から今までの蛇よりも大きくて太い、本当の大蛇が現れた。

 あれこそが本物の大蛇であり、あれを倒さなきゃ終わらない。

 最後の戦いだ、頑張るぞ!!


 「シャァァァァァァァァァァァ!!!!」


 僕を目掛けて一気に噛みつきに来たけど、古兵が剣で守ってくれた。


 ガキィッ!!!


 そうやって古兵が止めてくれた瞬間、斬兵が横から斬り込む!

 僕は勝利したと思ったけど、甲三級はそんなに甘くなかった。


 ギィィィン!!!


 「シャッ!!」


 すぐに体を戻して大相国の頭の上に戻ったけど、その隙を狙って猛兵が矢を射る。


 「「「!!!」」」


 ズドドド!


 「ギシャァァァァァァァァ!!!」


 神様が猛兵を使えと言ってくれた通り、猛兵の矢は良く効くみたいだ。

 このまま猛兵で攻めて勝とう。


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