0024
Side:黒金
神様が説明してくれた通り、物凄く面倒臭い〝だんしょく〟とかいうヤツに絡まれている。
意味は知らないけど、艶や葛葉は気持ち悪いらしい。
斯明も嫌がってるから、おかしなヤツなんだろう。
「ふん! こんな下らん奴らと関わっていても、私まで愚かになってしまうだけだ!
いいか、貴様ら! 二度と暴れるんじゃないぞ!!」
ドスドスと足音を鳴らして歩いていくけど、アイツ負けたのに何で偉そうなんだろう?
そもそも赤鬼は僕が倒したし、狼は艶が倒したのにね。
それでも自分が負けたとは一言も言わなかった。
「ああいうヤツはね、負けたと自分で言わなきゃ負けてないとか思い込んでるのよ。
頭がおかしいし関わるのもバカバカしいんだけど、一定数のああいうヤツは居るの。
公卿とか公家の中にも居るわね」
「ふーん……。
それで、アイツどうするの? 殺す?」
「放っておきなさい。今日家に帰ったらちゃんと報告をしておくから。
アレは完全に賀茂家に対して喧嘩を売っているもの。
しかも黒金の眼の御蔭で何処のヤツか分かったしね」
「そうね。
新川とかいう聞いた事もあるかもしれないっていう程度の家の癖に、よくもまあ調子に乗れるものだと思うわ。
新川の家に正式に抗議が行ったらどうするつもりかしら? 見ものねえ」
「とりあえず移動しましょう。
先程からの戦いの所為で、周りに野次馬が随分と増えましたからな」
「そうね。そこのバカも纏めて報告すればいいでしょう。
元々そいつの所為なんだし」
「い、いえ! 私はそんなつもりではなかったのです!
決して、このような大事にするつもりなどなく、私は!」
その後も色々言ってたけど無視。
僕達は無駄な時間を使ったものの、右京の見回りを終えた。
あの戦闘で無駄な時間を使ったのと、式神の事もあって、一旦家に戻る事に。
結局、今日も妖怪退治が出来てない。
「まあまあ、そんなにむくれないの。
今日戻ってきたのは斯明に教えなければいけないからよ。
流石に式神に関して正しい知識を身につけないと、このままじゃマズいわ。
強化術式はともかく、式符の作り方から一つ一つね」
「むー………僕、外に出て何か買ってくる。
古兵を連れてたら大丈夫でしょ?」
「まあ、確かに大丈夫ね。ただし気を付けるのよ」
「大丈夫。とにかく危なそうなのは、すぐに調べるから」
「大丈夫か、黒金?」
「斯明殿は勉強です。
式神も含めて、その霊力を上手く使えるようになってもらわないと困りますので。
黒金は十分に強いのですから大丈夫ですよ。
それに芦屋のお嬢さんと同じで、少しは厳しい環境に置かなければいけません」
「とりあえず、行ってくる!」
「気を付けるんだぞー」
斯明は勉強らしいけど、僕は式神を使わないからね。
斯明が勉強をしているのを見てもつまらない。
なら美味しそうな物を見に行った方がマシだよ。
そう思って左京のお店を見て回る。
僕だって皆と歩き回ってたから道は分かるんだよ。覚えてるしね。
まずは………こっちの方に店があった筈だ。
僕はどんどん進んで行き、まずは一つ目のお店に辿り着いた。ここは八百屋だね。
朝の内に買ってるから無理に買わなくていいんだけども……。
何か美味しそうな物はあるかと思ったけど、無さそう。
次は肉屋だ! 一番期待してる所なんだけど……無いなぁ。
他にも何かないか探そうっと。
古兵と一緒にウロウロしていると、何かのお店を発見した。
中を見ると、何か色々な色の物が売られていた。
何だろう?
「らっしゃい! ………って、言葉を掛けてんだから返事ぐらいしろよ」
「あのー、古兵は僕の霊兵だから喋らないよ?」
「は? れいへいってのが何かは知らないが、これはお前さんが出してるのか?」
「そうだよ。僕は陰陽師として登録してるしね。
でも気を付けるように言われたから護衛として出してるんだ」
「ああ、そういう事かい。それで、見てるのはいいが金持ってるのか?」
「持ってるよ。だから色々と見てるんだし」
「そうか。見るのはいいが、盗むんじゃないぞ!」
「そんな事しないよ。そもそもお金持ってるんだから買うに決まってんじゃん」
「だったらいいがな」
何かヤな感じだなぁ……。
ここで買うの止めようか、何か納得いかないし。
僕は古兵を連れてさっさと離れる事にした。
よく分からない店だったけど、凄く感じが悪かったよ。
何であんな事を言われなくちゃいけないんだろ。
僕は気分を変えて歩く。
さっきの店には石とかが並んでたけど、あの石は何に使うんだろう?
黒いのとか緑っぽいのとか色々あったけど、石だよね?
あれって売れるから置いてるんだろうし、という事は買う人が居る?
聞いてみたいけど感じの悪い人には聞きたくないしなー……。
あっ、新しい店を発見。あそこは何だろう?
「らっしゃい! って、子供連れか?」
「これは僕の霊兵で、護衛をしてくれてるんだよ。
僕は左京の陰陽師として登録してるから」
「ほう、そうだったのかい。
で、何か買ってくれるのか?」
「ここは何屋なの? なんかいっぱいあるけど」
「ここは雑貨屋だな。
昔の稀人が作った物が多いが、そういう物を売っている店だ。
まあ、雑貨屋ってのは色々な物を売ってる店だと思えばいいさ」
「ふーん……色々見ていい?」
「構わねえよ」
よしよし。許可も貰ったし、しっかり視ていこう。
ここにある物は不思議な物が多いからね。
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算盤 質:四
計算する為の道具。特に可も無く不可も無いが、多くの平民が使っている。早くから計算が身についている事は良き事であろう
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淡竹 質:四
真竹と並んで有用な竹。ただし真竹と比べて強靭さは無いので、主に笛などの楽器類に使用される。細かく分ける事も出来る為、竹箒の材料としても使う
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真竹 質:三
淡竹と並んで有用な竹。淡竹と比べて強靭な為、弓矢、梯子、籠、物干し竿などに使用する事が多い。また真竹の皮は抗菌作用があるので、食べ物を包む竹紙としても利用されている
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竹炭 質:三
稀人が伝えた竹の利用法の一つ。通常の炭も作られているが、竹は生長が早い為、基本的に平民が使う炭は竹炭である。これでも無いよりは遥かにマシであり、また竹炭を作る際の竹酢液は傷薬になる。
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鉛筆 質:四
稀人が作りだした筆記用具の一つ。筆の使い勝手の悪さに怒った稀人が、自身の記憶を頼りに試行錯誤して完成させた。この鉛筆は黒鉛が使われておらず黒炭で出来ているが、名前は鉛筆である。製法は粘土を混ぜて焼く方法
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魚油 質:三
魚から抽出した油。主にイワシやニシンから採った油である。行灯などの灯り用油として用いられたり、石鹸の材料などに使われていたりと使用範囲は幅広い。油を抜いた後の魚は干物として流通する為、無駄なく食されている
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炭団 質:三
炭を作る際に出た粉を粘度のある物で団子状に固めた物。通常の炭よりも温度は上がらないが、長時間燃え続けるという利点がある。主に煮炊きや暖をとる為に使われているが、わざわざ焼いた炭を壊して炭団を作っている職人が居るほど需要は多い
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この黒い団子は沢山使われてるんだねー。
……って、そういえば斯明の家でも使ってたっけ?




