表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
式神と霊兵  作者: 田中始め
第一章 平安編
23/188

0023




 Side:黒金くろかね



 いきなり乱入してきたヤツが怒鳴り散らしているけど、それを無視して斯明かくめいと多田木ってヤツは<赤鬼>を仕舞った。

 正直に行ってアイツが喧嘩を売ってこなきゃ、こんな事にはなっていないんだけどね。


 「女だてらって随分とふざけたヤツね。

 陰陽師は実力が全てなんだけど?

 お前にいったいどれだけの実力があるのかしらね? 大した事はなさそうな癖に」


 「はっ! これだから女の陰陽師など困るわ。話にならん!

 所詮は大した腕前も力も持っておらんのだから、早々に引っ込むがいい。

 そして陰陽師を止めるのだな。女など何の役にも立たん」


 「なんですって!? あまりにも許せない言葉を吐くじゃない。

 あんた、殺される覚悟は出来てるんでしょうね?」


 「ふん! 下らん! 実力の差も理解できん女如きが、いちいち口を出すな。

 これだから道理も知らん愚か者は困るわ。

 もうよい、さっさとね」


 「勝手に乱入しておいてこの言いぐさ

 そこの無能と同じぐらいの阿呆ね?

 流石に頭が悪すぎて驚くけど、こいつを助けたという事は私達の邪魔をしたという事よ。

 お前も含めて覚悟をしておきなさい?」


 「お、お待ちを!! 私は確かにそちらへと<赤鬼>を放ちました!

 しかし賀茂家や安倍家を愚弄したりなどしておりませぬ!!

 それはこの勝手に乱入してきた男がやったこと。

 私は関わりなどありませぬ!」


 何を言ってるんだろう?

 そもそもこっちの言葉も聞かずに勝手に襲ってきたのに、今さら許してもらえるとか思ってるっておかしいよね?

 自分のやった事も分かってないの?


 「本当に黒金くろかねの言う通りね。

 この乱入した愚か者もそうだけど、よくも私や葛葉くずはに喧嘩を売れたものよ。

 いったい何を勘違いしているのかしら」


 「はっ! 貴様らが賀茂家や安倍家に関わりがあるからなんなのだ?

 所詮は大家たいかの名を出せば相手が引くと思っておるのであろう。

 下らん! 実力の無い者ほど家の名を出すものよ」


 「こいつ、今すぐ殺しましょうか。

 なぁに、後で晴海はるうみちゃんに言っておいてあげるわ。

 そこの愚か者も含めて私に喧嘩を売ってきたとねえ。

 なら殺したところで何の問題も無いもの」


 「どうやら耳まで遠いようだな。

 賀茂家や安倍家の名を出せば相手が引くと思っているのか、愚か者め!

 貴様ら女如きが私に勝つなど百年以上早いわ!!」


 百年前って、こいつ普通に生まれてないよね? いったい何を言ってるんだろう?

 さっきから話が通じていない気がする。

 何かおかしくない? もう一度だけてみようか。


 ―――――――――――――――


 新川 正之進 男 二十九歳


 体力・三十八

 霊力・三十三

 術技・二十四

 知恵・十一

 知識・二十

 運勢・普


 普通の陰陽師。平々凡々ではあるが、鍛えているのか体力は若干高い。己の正しさに溺れておる者であり、非常に面倒な性格をしておる。新川という家はそれなりに名のある家のようで、それを誇りにしておるからか尚のこと面倒なようじゃ。ついでに男色じゃな、コイツ……


 ―――――――――――――――


 あれ? 説明が変わってる?

 こんな事は始めてだけど、神様が調べ直してくれたのかな?

 それにしても新川家っていうのは有名な家なのかな?

 聞いた事ないけど……。


 「ねえ、新川っていう家は陰陽師の中で有名なの?」


 「新川? ……ああ、あの木っ端の家ね。

 芦屋流を芦屋の一族から正当に習ったヤツの家だったと思うわよ。

 だからなに? って話だけど」


 「立派なのは芦屋あしや道満どうまんであって、新川なんて教えを受けただけだしね。

 それを誇ってるの、こいつ? 下らないわねぇ」


 「何だと、貴様らぁ!!

 所詮は実戦も碌にせん公家の家臣の分際で、実戦を熟し続けておる我が新川家に対して何様のつもりだ!!!」


 「後さ、〝だんしょく〟って何?

 この正之進しょうのしんってヤツがそうらしいんだけど」


 「「「「………」」」」


 「こいつ男色なの? って事は、そこの愚か者か斯明かくめいを狙ってるってこと?

 それで女如きって? ……きもちわる」


 「本当に、なんなのコイツ?

 勝手に乱入してきて、目的は男色の相手?

 本気で気持ち悪い」


 「男色は好きにされればいいが、私はその気は一切無い。

 なので、そちらの御仁と好きにされるがよかろう」


 「ちょっと待てぇ!!

 私は葛葉くずは様一筋なのであって、気持ちの悪い男色の相手などする気は無い!!!」


 「わたし一筋とか、お前もそこの男色と同じぐらい気持ち悪いんだけど?

 そもそわたしの婚姻相手ぐらい、わたしが決めるっての」


 なんか〝だんしょく〟って言われ続けたからか、プルプルしてるけど……。

 相手をバカにする言葉なのかな? 〝だんしょく〟って。


 「…………貴様らぁ! もう許さんぞ!!

 特にそこのクソガキ、貴様はいの一番に殺してくれるわ!!

 やれ、<赤鬼>!!!」


 「<古兵・勇壮猛夫>」


 僕は三人の古兵に、あの赤鬼を殺せと心の中で命じる。

 すると古兵の三人はすぐに前に向かい、一人が赤鬼の前に出た。

 敵を前にした赤鬼は目の前の古兵を殴ろうとしたけど、古兵は左後ろに跳んでかわす。


 他の二人の古兵は赤鬼に素早く左右から近付き、それぞれが赤鬼の右足と左足を切った。

 それだけで赤鬼は両足を切り落とされて倒れる。

 そして正面に居た古兵が素早く近付いて頭を剣で突き刺した。


 その結果、赤鬼は消え、古兵はすぐに僕の近くに戻ってくる。

 うん、完璧な勝利だね。

 僕は古兵を一人残して、他の二人を消す。


 「そ、そんなバカな!! 私の<赤鬼>が負けるなどあり得ん!

 そこのクソガキ! 貴様、何か卑怯な事をしたな!!」


 「なに言ってるの、アイツ? 意味が分からない」


 「単に負けを認められないだけよ。間抜けだからああなるの。

 最初から自分が負ける筈が無いなんて思い込んでるから、無様に喚き散らすだけになる。

 女如きとか言ってくれたけど、新川如きが何を調子に乗ってるのかしらね?」


 「ふざけるな、女如きが!

 そこの卑怯なクソガキ諸共叩き潰してくれるわ!!

 臨・兵・闘・者・皆・陳・列・在・前!」


 また別の式神を出してきたけど、今度は狼らしい。

 それを見たつやが式神の符を出して式神を呼び出す。


 「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・前・行!

 天・元・行・躰・神・変・神・通・力!」


 あれ? 最初に唱えるヤツが違う?

 その後のは強化術式とかいうヤツだけど、最初のが違うみたいだ。

 何か意味があるのかな?


 「あれは九字の元祖と言われるものよ。

 そこまで大した違いは無いんだけど、あれだと霊力を際限なく篭められるのよね。

 その危険があるから、今の九字が主流なんだけど」


 「霊力が沢山篭められるって事は、それだけ強くなる?」


 「そう。そもそも同じ者を呼び出しても、符の作り方や霊力の篭め方で式神の強さは変わるの。

 だからどれだけ準備をしっかりしてきたかも重要になるのよ。

 晴海はるうみちゃんなんて百枚ぐらい作って、最高の出来の一枚を大事に使ってるわ」


 「へー……作るのも大変なんだ。

 で、つやは勝てるの? 強化術式を使ったけど」


 「使ったのは勝てないからじゃなくて、完膚無きまでに相手を叩き潰したいからよ」


 「強化術式だと!? 賀茂家や安倍家にしか伝わらぬ術か!

 仮にそれで勝っても、私が負けた事にはならぬわ! 卑怯者めが!!」


 「………なに言ってるの、アイツ? 理解できないんだけど」


 「本当にね。そもそも強化術式が簡単に使えるとでも思ってるのかしら?

 これだから知識も無いヤツは困るのよ。

 そう簡単に強化術式が使えるなら誰も苦労はしないわ」


 つやの狼が相手の狼に突撃して、そのまま体当たりで吹き飛ばした。

 その後に追って行って、首に噛みついたらすぐに消えたよ。

 吹き飛ばしたって事は、つやの狼の方が強かったって事だから勝利は確実だ。


 「ふん! 所詮は賀茂家や安倍家の秘術に頼らねば戦いも出来んとはな!

 やはり女などというのは話にもならん!!」


 何を言っているのか、本当に分からない。

 何なんだろう、アイツは?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ