表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
式神と霊兵  作者: 田中始め
第二章 南北朝編
194/228

0194




 Side:足利直義



 「行け行け行け行け行け行け行け!

 攻めろ攻めろ攻めろ攻めろ攻めろ攻めろ攻めろーーーーっ!!!」


 「「「「「「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」」」」」」」」」」


 「かかれ、かかれ、かかれ、かかれ、かかれ、かかれ、かかれーーーーっ!!

 敵は敗走致しておるぞ、散々に切り捨ていーーーっ!!!」


 「「「「「「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」」」」」」」」」」


 私達は無事に箱根の敵軍を叩き返す事に成功した。

 ここは隘路(あいろ)であり、最初から色々と配置していた私達の方が有利だったのだ。

 そのうえ敵は力攻めしかしてこぬとなれば、勝って当たり前とも言えるだろう。

 しょせんは新田というところだ。


 「見事に嵌まってくれましたが、又太郎様が出陣して勝つという形に出来ませんでしたね。

 まさかこの隘路(あいろ)の方に本隊を向けてくるとは思いませんでしたよ。

 流石にここまでの愚か者であったとは予想外でした」


 「遠江(とおとうみ)の戦からおかしなヤツだと思っていたが、とことんまで狂っていたらしいな。

 何故に隘路(あいろ)のこちらへ主力を差し向けるのか理解できん。

 まるで餌に群がる野良犬のようだぞ」


 「なかなか上手く例えられますね。

 瘦せ細り飢えて腹が減っておる野良犬。

 その前に食う物を出してやれば、それが罠であっても警戒なぞしますまい。

 隘路(あいろ)であっても大軍を持ってくるなど、それと変わりませぬからな」


 「ああ。

 なぜ平坦な竹之下に大軍を持って行かず、こちらの隘路(あいろ)に大軍を持ってきたのか。

 未だに理解に苦しむし、訳が分からん。

 その所為で、せっかくの兄上の為の御膳立てが全て潰れてしまったわ」


 「それでも勝っただけ良かったですよ。

 これで負けていたら最悪の事になっていました。

 負ける事などほぼ無いとはいえ、全く無いとは言えませんでしたからね。

 ここで勝っておかないと取り返しのつかない打撃を受けるところです」


 「とはいえ高の言う通り、そのような事などあり得ないがな。

 それと兄上のところの物見と接触した者が先程戻ってきている。

 その者によると、兄上は尊良(たかよし)親王殿下と脇屋の軍を蹴散らし、佐野山で陣を敷いていた敵も瓦解させたようだ」


 「ほう、どうやら散々に叩かれたようですね。

 特に尊良(たかよし)親王殿下がおられるとは面白い。

 これで二度と宮将軍になろうという気など起こさねばよいのですがな。

 成良(なりよし)親王殿下ならともかく、新田と共におる方など御免です」


 「それ以前に後醍醐の帝の子息を将軍に迎える意味は無い。

 むしろ兄上が征夷大将軍になられるべきだ。

 第二の<鎌倉殿>は兄上でなくばならぬ。

 そもそも我が足利家は「義」の字が許されておったのだ。

 つまり鎌倉の将軍になれると北条も認めておった」


 「ええ。新田の義の字は左馬助高義様からの偏諱(へんき)で持っているだけです。

 正当な「義」の字ではありません」


 「ああ。にも関わらず、いったい何を勘違いしておるのやら。

 だから新田一族にも見限られるのだ。

 新田本家も迷惑でしかあるまい。

 まさか里見から入れた養子が、ここまで碌でもないとはな。

 家を傾ける養子など捨てられるのは当然」


 「そもそも家を保つ為に迎えるのが養子ですからね。

 その養子が家を傾けるなど本末転倒、話にもならぬ事です。

 本家が求めた最低限の事すら出来ぬ養子など要りますまい」


 「それよりも、我らも休息した後に出発するぞ。

 兄上の軍に追いつかねばならん。

 こちらは本道だから真っ直ぐ行けば兄上に追いつけるであろう」


 敵を叩き潰し、京の都まで行く為にも急がねば。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 Side:足利尊氏



 オレ達はさらに進んで伊豆の国府までやってきた。

 ここに来れば敗走した敵軍の本隊とかち合うはずだと思って来たのだが、オレの予想通りであったらしい。

 既に敵軍の本隊が負けて敗走しておるのは知っておる。

 なのでオレはそれを潰しに来たのだ。


 「行け行け行け行け行け行け行けーーーーっ!!

 敵は仙太郎様に敗れて無様に逃げる連中でしかない!!

 ブチ殺せーーーっ!!」


 「「「「「「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」」」」」」」」」」


 「攻めろ攻めろ攻めろ攻めろ攻めろ攻めろ攻めろーーーーっ!

 畿内者なぞ叩き潰してしまえーーーっ!!」


 「「「「「「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」」」」」」」」」」


 ここで上手く新田の本隊とぶつかったのは僥倖(ぎょうこう)であった。

 今の内に散々に叩いておかねば、息を吹き返されても面倒だ。

 特に新田はここで始末してしておきたい。


 どうせヤツの事だ、困ったら横腹を突こうとするであろう。

 <馬鹿の一つ覚え>という言葉がよく似合うヤツだからな。


 さて、いつこちらに突撃をしてくる?

 オレはいつでも構わんぞ、新田。

 貴様がこちらに突撃してきた時が最後だ。

 黒金(くろかね)にも頼んであるのでな、オレが失敗しても黒金(くろかね)の霊兵がお前を殺す。


 「うぉーーーーっ!!! 進め進め進めーーっ!!

 足利をここで殺すのだ!! 血祭りに挙げろ!!!」


 「「「「「「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」」」」」」」」」」


 来たか、新田。愚かにも予想通りにやってくるとは。

 やはりこやつは兵法というものを知らぬらしい。

 散々同じ事をすれば、策の裏をとられるのは当たり前であろう。

 そのような事すら分かっておらぬとは、な!!


 「ぬんっ!! オレが弱いとでも思ったか、新田ぁ!!

 若い頃から散々妖怪を倒し、己の命を懸けて実戦を行ってきたわ!!

 貴様とは違うのだ、貴様とは!!」


 「なんだと!? 所詮はお飾りのお坊ちゃんが!

 調子に乗るな!!」


 「調子に乗っておるのは貴様だ、新田!

 既に新田一族は、こちらについたわ!

 貴様は新田一族の総領に(あら)ず、しょせんは新田家の者ではなく里見の者だとな!」


 「な、そんなバカな!?

 そんな嘘を吐いてまでワシに勝とうなど姑息(こそく)なヤツめ!!」


 「ふん!! オレが嘘を吐く必要など一切ないわ。

 なんなら新田荘も瀬良田も切り取り自由と言えば、喜んで切り取りに行く者がおるのだからな。

 貴様は我が足利家を舐め腐ったのだ! ならばオレは貴様を地の果てまでも追って殺す!!

 武士は舐められらた負けなのだ、ならば舐めてきた新田の家を滅ぼすのは当たり前であろうが!!」


 オレと新田は槍での戦いを繰り広げるが、予想以上に新田が強い。

 こやつはこんなに強かったか?

 まさかここまで厄介だとは思わなかったぞ。

 オレも自信があったのだがな。

 このままでは逃がしてしまうかもしれん。


 逃げられる前に黒金(くろかね)に合図を出さねばならん。

 今黒金(くろかね)は敵軍を撃ちておるが、それでも近くにはおるからな。


 「殿、これ以上は無理です! 撤退を!!

 殿、総崩れでございます!!」


 「くそっ!! おのれ、もう少しで首が獲れたものを!

 足利、次が貴様の最後だ!!」


 「ほざけ、叛逆者めが!

 散々我が足利の禄を()んでおきながら、その言い(ぐさ)

 地の果てまで追いかけてでも、必ずや首を獲って晒してやるぞ!!」


 「ふんっ! 貴様に負けるほど落ちぶれてなぞおらぬわ!

 退け! 退けーーーっ!!」


 おかしい。「叛逆者」という合図を出したにも関わらず、黒金(くろかね)が何もせぬ。

 いったいどういう事だ?


 オレは驚いて黒金(くろかね)を見るも、黒金(くろかね)は去っていく新田を見て驚いておる。

 目が金色という事は、新田を見て調べたのであろうが……いったい何があったんだ?


 そもそも黒金(くろかね)が合図を忘れるほど驚く事があるとは思えぬのだが……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ