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とある星間帝国の悪夢 その八

ここから、フロンティアは登場しません。

最終話の最後には登場するかもね。


星間帝国宇宙年501.0412


我々、殲滅戦闘艦USDNー1001のクルー全員が今、軍法会議の檀上にいる。

ちなみにテスト航行の責任者たる博士も一緒だ。わけが分からん。


巨大宇宙船フロンティアとの接触と、その船長たるクスミ提督については私が、他のフロンティアクルーについてとエンジンや医務室については、それぞれ案内を受けたクルーたちが報告書を細かく書いて提出している。

テスト航行そのものについては例の博士が多少は大げさながらも、しっかりとした報告書を上げている。


我々は受けた任務を失敗したわけではない。

大成功どころか他の誰もが成し得なかった超絶の科学力をもつ生命体と宇宙船に遭遇し、その恩恵まで受けてきたのである。


なぜ、こんな場にいるんだ?我々は。


「グルグ艦長、そして、&#$#%博士(博士は他の星の人だったようだ。発音不可能の名前だった)、及び、殲滅戦闘艦USDNー1001のクルー諸君。極秘の新型エンジンテスト航行に成功した事は、まことに素晴らしい!そして、その航行中に驚くべき超存在とも言える超大型宇宙船と、そのクルーに会い、その超科学の恩恵を一部でも受け取ったことは、まことにまことに素晴らしい!」


審判席に座る宇宙軍総司令の言葉だ。褒め称えるなら何故、我々は軍事法廷などにいるんだ?

次に星間帝国陸海空宇宙の総司令部トップ、提督たるリップ大将軍が口を開く。


「本来なら君たちは英雄としてパレードする権利すら持つべきだと私は思う。しかし、それが、さるお方の逆鱗に触れたのだよ。我らが敬愛する皇帝陛下の、な」


ようやく分かった。

拡張主義者の軍事バカで宇宙征服すら真面目に考えているだろう皇帝陛下の耳に、超越した科学力を持ちながらも武力を使うことを是としない生命体が我々と接触したと報告が上がったのだろう。


そうなると皇帝への反逆の疑いがあるということでの、この軍事法廷か。

理由がはっきりしたが軍事法廷では被告に発言権はない(刑の執行前に「言い残すことは?」の返答位のものだ、発言権など)


これは、もう出来レースだ。弁護してくれる者など宇宙軍の総司令くらいしか思いつかない。

あとは宇宙軍憎しか、我関係なしの日和見、皇帝派のおべんちゃら野郎どもの貴族たち……

はあ、有罪は決まったようなものか。

同じ頃、こちらは殲滅戦闘艦USDNー1001の解析と分析を行っている技術兵と科学者たち。


「こちらコンピュータ関連。プログラムに大きな違いはないようですがコンピュータに謎のブラックボックスが接続されています。このブラックボックスが全体の電源までを掌握しているようで切り離しは不可能となっています。物理的にコンピュータブロックを宇宙艦から切り出すことを考えなければ解析も分析も不可能ですね」


ちっ、コンピュータ関連もか。

これで武器制御を除けば防御バリアシステム、エンジンシステム、航法システムに、コンピュータシステムと重要部分の解析も分析も、ことごとくが失敗している。


コンピュータのシステムソフトウェアの解析すら通常手順でもダメ管理者権限でもダメ、という始末。

ただ一つ解析と分析を受け付けたのは武器システムだけ。


こいつから他の解析を、と思ったのだが武器システムにはなんら手が付けられていないことが判明。

武器システムだけ独立して他のシステム変更から切り離されたように感じる。


行き詰まったな……

と焦るが、ようやく打開策が見つかったようで一報が入る。


「コンピュータシステム解析班より。ブラックボックスを含むコントロールのシステムウェア全てのバックアップが取れました!これで、テストしながらの解析が可能です」


ほっと一安心。

何の成果もないまま数100名規模での技術兵と科学者の集団を、まる2日も徹夜で働かせているのだ。


成果0なら、それこそ、この艦のクルーのように軍法会議ものだな。

バックアップがとれたと報告してきた班に返信する。


「そのバックアップを旧型艦にコピーし、動かしながら解析を実行せよ。ただし殲滅戦闘艦ではなく小型の駆逐艦クラスにしろよ」


了解!

と返ってきたので、その結果待ちだな。


数時間後、慌てた技術班からの連絡が入る。


「チーフ!すいません、バックアップそのものがトラップを兼ねたウィルスだったようです!あっという間に旧型駆逐艦の制御を全て乗っ取り、こちらのコントロールを拒否しています!」


くっ、最悪の結末ではないか!


「他の艦に逃げて当該艦を破壊せよ!超科学によるコンピュータウィルスなど、どのような動きをするか予想も出来ないぞ!」


と、指示を出すが、


「ダメですチーフ!エアロックも脱出用のチューブも何も動作しません。あ、今、勝手にどこかと通信を行い始めています。チーフ!注意して下さい、注意ぐっ!……」


それから通信は途絶。貴重な技術兵10名近くの生命を考えると問答無用で駆逐艦の破壊は命じられない。

待てよ、今、駆逐艦が勝手にどこかと通信を始めたと言っていたな……いかん!


「こちら解析・分析隊ベース。今から1時間、全ての通信及びコンピュータの電源を切れ!いいか、すぐにだ!そうしないと、えらいことになる!」


そう発信したが、それを聞いたものが何名居るやら……宇宙艦隊どころではない、星間帝国そのものの悪夢は、この事態から始まったのだった……


題名詐欺ではない事を証明するため、この回から異常事態が続きます。

とは言っても、もうすぐ終了ですが。


さて、新しい話、どうしよう?

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