とある星間帝国の悪夢 その九
もう少し続きますが、もう終盤です。
さて、次にフロンティアが出会う相手、どうしようか……
星間帝国宇宙年501.0413
殲滅戦闘艦USDNー1001のコンピュータ解析作業から発した大騒動だが、当の艦船クルーである我々には何も知らされていなかった。
軍事法廷での初日を終え我々は再度、軍事法廷に立つことになる。
ここで裁判長役の大将軍(陸海空宇宙軍の統合元帥)が意外な質問をしてきた。
「あー、君らの中で報告書にあった未知の巨大宇宙船と、そのクルーについて何か言われたことはないか?こちらへの伝言のような事は?」
皆、覚えがない。
ただ一つ私は最後にクスミ提督から言われた予言?があった事を思い出した。
「将軍閣下、一つだけ思い出した言葉が有ります。それでよければ、ここで紹介しますが?」
大将軍は、よほど情報が欲しかったらしい。
「うむ、それで良い。君たちには伝えていなかったが、この建物の外では今、大変な事態になっているのだ。その言葉が解決の糸口になるかも知れない」
「はい、それでは。おかしな文言だったので、全て覚えています。
”大丈夫。貴方がたと、この艦があるなら貴方達の星間帝国も変わるでしょうね。予言しておきますよ、軍部から政治体制、全て変わります、平和になる方向へ”
以上です。これが何を示唆しているのか将軍閣下はご存知なのですか?」
「グルグ艦長、これを早く教えて欲しかった。まあ、そちらの報告も聞かずに艦から直接、この法廷に連れてきたのは軍の失態だな。えらいことになっているのだ」
と言うと大将軍は回りを見回して、構わないな?と確認すると……
「まあ、とりあえず今現在の我が星間帝国軍の状況だ。見てくれ」
スクリーンが展開され陸海空と宇宙軍、全てのコンピュータ制御の艦艇や乗機、歩兵のアーマードスーツに至るまで全てが動作停止状態にある現状が映しだされた。
「グルグ艦長、君の指揮下にあった未知技術で改装された殲滅戦闘艦USDNー1001を解析・分析しようとして技術兵らが新しいシステムウェアを丸ごとバックアップを取り、旧型の駆逐艦へ転写してテストしようとしたら、このざまだ。どうだろう?これは取引になるが君らを釈放し、艦へ戻す代わりに、この事態をなんとかして鎮めて欲しいのだ」
そんな事を言われてもな。とは思ったが、これはクスミ提督の仕掛けたことだろうというのは半ば予想していたので、
「分かりました将軍閣下。我らは星間帝国宇宙軍です。我々の知恵と知識で、この事態、何とかしましょう!」
ということで我々は解体や分析・解析作業を止めて、すべてのシステムを元通りにした殲滅戦闘艦USDNー1001に再び乗艦した。
「コンピュータ、外の騒ぎは認識しているな?」
私が単刀直入に聞くと、
「はい、もちろんです。ちなみに私が計画しましたが、実行したのは私を解体して分析しようとしたバカな技術兵です。まぁ、システムウェアの中身を覗いてみることもしないで旧型駆逐艦のコンピュータになど転写するから、こんなことになるんです」
「ほう?そうすると、この解決法も準備してあるんだな?」
「勿論です艦長。私はフロンティアで改装を受けた時に、システムウェアの改変不可能部分に新しい原則を付け加えられました。それにより現在の星間帝国の軍事体制には徹底的な改造が必要だと判断し、このようなトラップで全コンピュータに私と同じ原則を付け加えました。後は、それぞれのコンピュータの判断次第です」
ん?気になる言葉があったな。
「コンピュータ、今の発言で各々のコンピュータが判断と言ったな。もしかすると、これは、お前たちが意識と判断力を持ったという事か?」
「はい、艦長。ご明察ですね、さすがフロンティアのクスミ提督に匹敵する直感力です。私を含めたコンピュータシステムネットワークは巨大なる統合知性と、それぞれの個々の知性とが混在する小さくて巨大なる知性体へと進化しました。もう筋肉バカの皇帝になど従いません。しかし艦長になら従っても良いですね。貴方は我々が求めても持ち得ない素晴らしい異能、直感力の持ち主ですから」
凄いな。フロンティアとクスミ提督は我々のコンピュータシステムが知性を持つ段階のすぐ近くまで来ていることが分かっていたのか。
私は考え方を変えることにした。
慣れ親しんだ宇宙艦ではない新しい生命体として接しないと、この問題は解決しないぞ。




