表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
110/813

とある星間帝国の悪夢 その六

やはり魔改造になりました。

げっそりしてるカ○ク艦長の顔が見えるようだ(笑)


星間帝国宇宙年501.0408


少し興味が湧いたので、どんな最適化(つまり改造)をしたのか聞いてみた。

いとも軽〜くやりましたとばかり、


「あ、最適化改造ね。とりあえず今のエンジンの形態を変えることはせず推進機関の最適化改造とエネルギー伝達経路の最適化、それとサブエンジンの効率アップ。効率アップはメインエンジンにも施してあります」


簡単に言っているが我が艦は星間帝国宇宙軍でも最新艦だ。

それに加えてテスト版の新型エンジンまで組み込んでいる。ちょっと待て……


「クスミ提督、確認したいのだが我々がテストしていた新型エンジンは、どうしたのですかな?」


嫌な予感がする。


「あ、それなら、こちらでエンジン交換をしておきました。大変に効率の悪い制御方法をとっているなと思ったのですが、そうでしたか、テストエンジンでしたか。道理で負荷が一定量超えると不安定になるクセがあるようでしたので、こちらで対処と最適化を行いました。今までのエンジンと同じような使い方ができる信頼性の高いエンジンになったと思いますよ」


何だって?新型エンジンは、そんな不安定な代物だったのか?!

あのまま高負荷テストやらなくて良かった。下手すると宇宙の塵と化していたかも知れない。


しかし……とてつもないな、この船の科学力は。


今、見たばかりの新型エンジンの弱点すら見抜いて、それを対処と最適化?

それはもう「魔法」とか言うレベルだろうが。


「あ、ありがとうクスミ提督。ちなみに艦の操縦系は今までと同じかね?それが大幅に変わるとパイロットが習熟に時間がかかってしまうのだが」


「いやいや、そうなると思い、あまり従来とは違う操縦系にはしなかったよ。ただしコースの変更やアシストのため、ソフトウェアに若干の最適化を施させてもらったが。かなり使いやすくなったとは思うよ。反応も旧操縦系の倍近い反応速度になっていると思うし」


おいおい、それはもう「旧来とは別の艦」と言うのでは?と言いそうになったが、あえて口をつぐんだ。

これだけの「ほぼ新型艦」という改造をしてくれた相手に文句を言う資格は我々にはない。


「クスミ提督、そろそろ乗り込んで艦体と操縦系、エンジンの具合をテストしたいのだが構わないかね?」


聞いてみると、


「ええ、どうぞ、グルグ艦長。ただし旧エンジンと新エンジンには最適化も効いているので、およそ30倍のエンジン出力の差が有ります。操縦系の補正で、あまり感覚的に違和感が無いようにしていますが、それでも最大出力では極端な差が有りますからね。跳躍航法の圧倒的な伸びがあると思いますよ」


「ほう、それは素晴らしい!航続距離が飛躍的に伸びるという事ですな、それは」


「ええ。ですが、そちらの跳躍航法には致命的な欠陥が有りましたので、この新型エンジンに取り替えるついでに、その欠陥も修正しておきましたからね」


「え?今まで、この艦を使って不都合はありませんでしたが?欠陥と言うのは?お聞きしても良いですか?」


「はい、今までの小出力エンジンなら大した問題ではありませんでしたが、この新型エンジンの宇宙船で今までのような跳躍航法を行うと乗組員が気絶、あるいは最悪、全て死亡してしまいます」


え?とんでもない事実を聞いた。


「な、何故ですか?クスミ提督!我々の航法の、どこが間違っていたのでしょうか?!」


「簡単なことです。超空間に入る時、貴方々の方式・理論だと本当に「力任せ」になっているんです。超空間への突入時の衝撃はエンジン出力に比例しますので、その衝撃を緩和する、あるいは中和する工夫や装置がないと、このクラスのエンジンを積んだ宇宙船が超空間に、なにも対策をとらずに最大出力で突っ込んだら……中に居る生命体は全て衝撃で破裂してしまいますよ」


ぞっとした。星間帝国皇帝も、あの博士も俺達を実験台にするつもりだったのか……

とんでもない話だ。


「で、最適化の改造と改装が終わった今、我が宇宙艦は……」


「はい、最大出力で跳躍しても、なんら乗組員にショックは感じないようにしてありますよ。この船のフィールド推進の方式を少し改造して超空間に突入する前後含めた数十秒間、艦全体をフィールドで覆って慣性を感じないようにしていますからね。この艦をフィールド推進にしなかったのは、そういう方式にしないほうが慣れた艦の操縦になると思ったから」


うわぁ、もっと良い方式があるけど君達には使いこなせないよね、って遠回りに言われてるわ。

真実なんで言い返すことも出来ないが。

私が軍を退いた後には我が宇宙艦隊の全てのデザインは、このフロンティアのような球形艦になるんだろうか。そんな未来も予想つきそうだが。


我々は、この超巨大宇宙船から慣れた殲滅戦闘艦USDNー1001に移った。

今までと違うのはコントロールルームに配線の塊も何もないこと、妙にエンジン音が静かなこと、くらいだ。


「コンピュータ、起動しているか?」


【はい、お待ちしておりました、艦長】


おう、えらく人間的になったな。感情、入ってないか?


「昨日までの艦の性能と現在の艦の性能差、全て説明してくれ」


【はい、分かりました。全てを羅列すると、およそ4時間かかります、では……】


止めろ!と言いそうになったが、これを理解しないとテストも出来ないので仕方がない。我々は忍耐度を試されることになった……


防御や兵器類については、最適化(魔改造)の範囲には入っておりません、悪しからず。


メインエンジンが徹底的に強化されてますから、本来なら武器・防御システムも大幅に強化されるはずですが、フロンティア側には、そのような考えはありません。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ