ep44:自覚のないフレネミー
陽光……らしきものに、草原。
そしてそこら中を漂う魔物たち。
……入口は、自動ドアみたいなやつだったのになぁ。
開けた道路にポツンと立っていた、奥行きの見えない自動ドアを思い出す。
……うん、今考えてもよくわかんないね。
蹴っても殴っても引っこ抜こうとしても魔力で爆発させても、ビクともしなかったし。
ダンジョンが異質なモノ、という認識自体はあったけど、こうも現実感がないと、実感せざるを得ないね。
扉を潜ったと思ったら、何故かそこには、別の外がある。
本当、変な空間だね。
魔物の死体を足蹴に、そんなことを考える。
綺麗な草木は、赤色に染められるも、少し時間が経てばそれらは綺麗さっぱり吸収されていた。
不法投棄は大歓迎のようだ。
ゴブリンの干し肉を地面に埋めておく。
ゴブリンが実る木とかが出来るのかな。
◇◆◇
現在地は、自動ドアダンジョンの一階層。
草原が広がり、太陽が爛々と輝いている。
確か……ダンジョン内部の調査。
並びに、魔物の相当。もしくはダンジョンの完全攻略、だったかな。
銃口を突き立てられながら、淡々と説明してきたあの狂人ゴリラの言葉を思い出す。
公的機関からの依頼だから、報酬の支払い、ただそれのみに関しては、信用出来るとかなんとか。
つまり、その他は信用出来ないし、信頼なんてもってのほかって訳かな。
……まぁ、なんでもいいか。
別にお金とか命が欲しくてやってる訳じゃないし。
「では、次の階層に進むぞ」
淡々と、冷たい声が響く。
◇◆◇
他のダンジョンがどうなっているのかは、あまり分からない。
目の前に広がる景色。
そこは、開けた場所だった。
土が、円状に禿げていて、その周囲を、木々が囲んでいる。
その奥には、上がって直ぐだと言うのに、次の階層への階段が見えていた。
ボス戦のようなモノ、ではないように思える。
開けた場所には、魔物も何もない。
……石ころを、投げ入れる。
何も反応はない。
……ゴブリンの干し肉を、投げ入れる。
またも、反応はない。
強いて言うのであれば、背後のメンバーたちが嗚咽を漏らしたくらい。
もっとも、橘だけは顔を青くしただけで、特に声を漏らしたりはしなかったけど。
……何か訓練でも受けてたのかな?
周囲を、見渡す。
特にこれといった発見はない。
開けた場所に、一本道のような、草の禿げた土地。
その周りは木々に囲まれ、薄暗い。
安全かどうかは明白だ。
そこは、開けていて、とても見渡しが良い。
土の質感も、僅かにある砂利も、何処から来るのかも分からない風に吹かれる、草花も。
──全てが、鮮明に見える。
思わず、右目に手を当てる。
危険は見当たらなかった。
橘以外のメンバーは、何かを感じている様子はない。
少し険しい顔つきをする橘。
その様子は、いつの日か見た顔つきに、なんだか似ていて──
──空気が、悲鳴を上げるような音。
瞬間。
幾何学的な模様が、禿げた地面いっぱいに広がっていて──
「全員! 逃げ──」
──視界が、光に包まれる。
橘の声が、意味を成すことは無かった。
…………。
……ふふ、フハハ。
あの地面は、あの開けた地面は、なんの濁りもない、何の変哲もない、ただの地面だった。
つまりは、毒となるものが、何もない訳で……。
……どうしよっかなァ。
気づいてたけど、あえて言わなかった、なんて言ったら、橘怒っちゃうかな?
フハハ!
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ep44:自覚のないフレネミー
ストック……あは、あはは、アハハハハ。




