ep23:ボクは美食家なのだ。
──灰の街。
粉塵が、高くまで舞い散る。
赤色の飛沫が、雨のように降り注ぐ。
銃撃と、魔物の声は、止むことを知らない。
無数の人間が銃を手にし、
そんな中、魔物の大群は暴れ尽くしている。
「ははっ、食べ方汚いなぁ」
品がないね。食べ残しも多いし、地球によろしくない。
まぁ、所詮は獣かな。
あの知性の欠片も無さそうな顔を見れば、良くわかる。
口元には血がこびり付いて、口を開けっぱにして、ずっと鳴き声をあげて、フハハ。
……しかしまぁ、種類が多いものだ。
パッと見るだけでも、ゴブリン、コボルト、狼、オークに猪に……あとは、よく分かんないやつとか。
ふむ? あの近辺にはゴブリンくらいしかいなかったし……となると、別のダンジョンからも来てるのかな?
最初はゴブリンだけの集団だったけど、進出していくうちに他の魔物も引っ張られていって……なんだっけな、トレインとか言うんだっけ、アレ。
──ギチチュ
口の中にある肉を噛み潰しながら、そんな事を考える。
当然ながら、これは生肉だ。
魔物の多いこの場所で肉を焼く暇は、流石にない。
幸い魔力があるからね、臓器を強化したり、口内で熱消毒すれば問題ないことは、既にやって分かっている。
けど……やっぱり不味い。
コボルトみたいなやつの肉は、ゴブリンのよりも生臭くてあまり美味しくない。
例えるなら……そうだな、三日三晩泥水につけた木の皮を食べているみたいな。
レビュー星0.5ってところかな。
魔物から出る宝石のような石をそのまま噛み砕いたせいか、余計に不味さを増している。
濁りだらけには見えたけど、まぁ魔力で強化してるし、多分問題は無い。
のーぷろぐれむってやつだ。のーぷろぐれむ。
銃弾と血が飛び交う戦場のど真ん中で、ボクは食事を謳歌する。
そのうち魔物食とか流行るのかなぁ……なんて。
近くにいた魔物は、涙を浮かべる間もなく死んだ。
◇◆◇
十数匹のゴブリン達が、ヨダレを垂らしながらボクの元へにじり寄る。
足音は軽いが、数が多い。
カチカチと歯を鳴らす音が、湿った息と共に近づいてくる。
奴らは鋭い爪を目の前に構え、ボロボロのナイフを持ち、棍棒を握り締めて。
そんなゴブリン共に習うように短刀を構え──
──やっぱやーめた。
バンッ!! と火花を散らして、ゴブリンを貫く。
ふふっ、ふはははっ。
正々堂々、なんてねェ、人と人でしか、成立しないんだよなァ! フハハ♪
もう片方の手にも銃を握り、大雑把に狙いを定めて乱打する。
焦点の合わない視界の中、ほとんどの弾は空を過り、薬莢が地面へ落ちていく。
フハハ! トリガーハッピーってやつなのだよ。
ゴブリン達よ! 蜂の巣にしてやるぜェ!
◇◆◇
──カチッ、カチカチカチカチカチカチ……
気づけば弾は消えていて、予備の弾なんて当然無くて、遠くにいた魔物たちもが、ボクを取り囲んでいた。
「……スーーッ」
……あれェ? ちょっとピンチかも?
魔物たちは苛立ちを露わにするように、喉を鳴らしている。
よく見れば、奴らの体表には小さな穴が空いていて、そこからは血が垂れていて……。
…………。
「フハッ♪」
なんて最高な世界なんだ。
────────────────────
ep23:ボクは美食家なのだ。




