表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョン が あらわれた  作者: 黒白のアレ。
PHASE2『大厄災』
20/67

ep18:堕ちる


「すーーー……はぁ」


 思い切り空気を吸い込み、気の抜けるように、小さく吐き出す。


 白い光を放つ円は、半分ほどその姿を隠し、周囲は赤く色づいていた。

 風は強く吹き荒れ、秋分を迎えた冷たい風は、ボクの服をはためかせている。


 目線の先は、魔物と人。

 後は、壊れ崩れた建物と瓦礫の数々。


──まだ崩れていなかった、何処かの建物の屋上の頂点。

 

 電波を受信するために建てられたのであろう、先端の細いそこに、バランスよく、ボクは立っていた。


 バカと煙は云々と言うのならば、ボクは馬鹿なのだろう。バカでいい。

 景色を直に一望出来るこの場所は、気分を高揚させる。


 眼下の景色では、

 ある人は魔物や崩落から逃げ、

 ある人はバールのようなものを持ち、魔物を嬲り殺し、

 ある魔物は人を食い殺し、

 またある魔物は、凡そ人とは呼べないほどの身体能力で攻め寄る大男から、涙ながらに逃げ惑っていた。



「……良い、景色だね」


 口端が、広がっていく。

 誰に話しかけるでもなく、誰もいない、虚空に。


 混沌があって、秩序があって、それが入り乱れていて。


 きっと、他の場所でも、

 他の国々でも、同じ事が起きているんだろう。


 冷たい風を、この異常な世界を、大きく、包み込む様に、両腕を、広げる。


 顔を、少し上げて


「ふはっ、フハハ、フハハハハ、フハハハハハハ!!」


 笑いが込み上げてきて、止まらない。


「なんて! 楽しい世界なんだ! フハハハハ♪」


「ダンジョン、なんて言う、空想や妄想でしか無かった絵空事が現れて、さらには魔物、ステータス、レベル、魔力なんてものまで現れて!」


 感情が昂っていく。体内を巡っていた〈魔力〉が、渦巻く。口元が、三日月型に裂けていく。


「そうして……今まさに! ダンジョンから魔物が進出しているッ!」


 人目なんて気にもせず、『楽しい』という感情を、惜しげも無く、吐き出すように。


 手のひらを、天へ向けて。


「なんて、なんて楽しくて! 可笑しい世界なんだ!」


 感情が、最高潮に達する。

 それは精神にまで影響を及ぼして、魔眼の機能を鈍らせた。


 魔物の眼、ポイズンスライムの眼は、それを毒と認識できなければ、濁ることはない。


 視界の中の景色は、とても綺麗で、鮮明で、曇りのひとつもなかった。



 …………。


 ……寒っ。


 この季節にTシャツ一枚は、さすがに間違えだったかな。


「ぉ、あっ」


 突然の強い風に、変な声が漏れる。

 そして、落っこちた。


 ……当たり前か、あんな狭い場所なんだし。


 顔面から、姿勢を帰る間もなく、真っ逆さまに、そして一直線に、堕ちる。


〈魔力〉が使えなかったら、またお寝んねしていたところだった。


 フハハ。



────────────────────

ep18 堕ちる


ということで『大厄災』編スタートです。

奇行癖のある主人公ですが、どうか暖かい目で見てあげてください。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ