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エピローグ

 ヨークタウンでの勝利により、和平交渉が大幅に進展した。

 と言っても和睦成立まで、さらに二年を要したのだが、それでもヨークタウン以降、激しい戦闘は行われなかった。


 そして一七八三年九月三日、パリ講和条約が締結。


 この条約が締結されたことにより、ようやくアメリカは独立を果たしたのだった。




 その後、イギリス軍の主要人物であったトマス・ゲイジ将軍はそのまま軍人として生きていった。

 ウィリアム・ハウ将軍は政治家となった。そして兄のリチャード・ハウ提督の死と共に家督を継いだという。

 最後のイギリス軍総司令官となったヘンリー・クリントン将軍は、ハウ将軍と同じく政治家になった。晩年、ジブラルタル総督に任命されはしたものの、皮肉にも着任前に死去したらしい。

 チャールズ・コーンウォリス将軍はそのまま軍人を務め、インド総督やアイルランド総督に任命されている。さらにその後、ナポレオン・ボナパルトと条約を締結した。つまり、コーンウォリス将軍は、ワシントンとナポレオンという二人の偉人と関わった、とても数奇な経験をしたのだ。

 サラトガで大敗を喫してしまったジョン・バーゴイン将軍のその後は、他の将軍と比べるとかなり珍しい。彼は本国に帰還した後、政治家になったが、それと同時に劇作家としても活動した。劇作家としては結構な成功を収めたらしい。




 大陸軍の主要人物の一人、ラファイエット侯爵は、アメリカで勇名を挙げた後、フランスに凱旋。フランス革命では民衆の側に付き、そこでも重要な役割を果たした。そして彼は、『両大陸の英雄』と呼ばれるようになる。

 サラトガの戦いで勝利をおさめ、フランスとの同盟を導いたホレイショ・ゲイツ将軍は、終戦の翌年に退役。メリーランドで男子寄宿学校を運営した。晩年はマンハッタン島へ移住し、ニューヨーク州議会議員も務めた。

 ジョージ・ワシントン司令は、アメリカの政治システムが整えられた後、初代アメリカ合衆国大統領となった。その時に行われた大統領選挙の得票率は、一〇〇%に近かったという。




 アメリカが正式に独立した後、僕はニコラを連れてマサチューセッツの自宅に帰っていた。

「ふぅ……久しぶりの我が家だ……って、ん?」

「どうした、ビル?」

「人の気配がする……用心しろ」

 僕達二人は拳銃を構え、警戒しながら家の奥へと進んでいった。

 そこで見たものは……。

「やあ、お帰り、ビル。思ってたより遅かったじゃないか」

「あら、そこにいるのはニコラちゃん? 大きくなったわねぇ、何年ぶりかしら?」

 なんと、フランクリン外交官と共にフランスへ行っていたはずの父さんと母さんだった。

「父さん、母さん、いつ帰ってきたの?」

「いや~、手紙は出そうと思ったんだけどな。でもお前、軍務でいろんなところを転々としてたじゃん? だから、出したところでお前のところに届くかわからなかったもんで」

 まあ確かに、父さんの言っていることは正論だな。

「ほら、あなた達、いつまでもそんな物騒なもの出してないで。少し落ち着いたら?」

 母さんにそう言われて、僕とニコラは銃をしまった。

 で、テーブルの席に着いた後、父さんが切りだした。

「ところでさぁ、お前、これからどうする? このまま軍人としてやっていくのか?」

 実は、これからの事は色々と考えていた。そして、すでに結論は出ている。

「僕は……政治家になる」

「ほう、政治家……ねえ」

「ああ。これからはアメリカは、一つの国としてやっていくんだ。そうなれば、様々な危機に直面する。その危機を解決する方法の一つが戦争だけど、それはあくまで最終手段。しょっちゅうやるわけにはいかない。だから、軍人では危機から国や家族を守るのには限界があると思う。そういうわけで僕は、政治家として国と家族を守ろうと思うんだ。逝ってしまった者のためにも」

 しばらく沈黙が続いた。それを破ったのは、父だった。

「そこまで啖呵を切ったんだ。途中であきらめたら許さないからな」

「ふふ、がんばりなさいよ」

「私も応援する」

「みんな……」

 その時、窓から心地よい風が吹いた。

 その風に誘われるかのように、僕とニコラは表へ出た。

「いい風だな……」

「ああ。私達の門出を、祝福しているようだ……」

「私『達』? それに『門出』?」

「な、なんでもない!」

「……僕こそ、妙なこと聞いて悪かった」

 なんか少々変な気分になってしまったが、今の状況を端的に表す、いいフレーズが思いついた。




 ――風と共に、愛す――


いかがでしたか?

最後の「風と共に愛す」の一文は、この小説の原題です。改稿しようとも思ったのですが、これ以上にいいフレーズや終わり方が見つからなかったので、そのままにしました。


また、この作品全体に言えることですが、本来の歴史であれば出てくるはずの人物が出てこないパターンが多々あります。これは、歴史通りに人物をすべて出してしまうと、筆者がさばき切れるキャラクター数を大幅に超えてしまうからです。不快に感じた方、申し訳ありません。


さて、この作品も、以前に書いた2作品同様、評判が高ければシリーズ化も検討します。しかし、歴史を扱うという作風の都合上、続編は新しいキャラを立てて新しい世代を描くという方針になる確率が高いです。ご了承ください。


では、また次回作でお会いしましょう。

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