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ストーニポイント奪回戦

 モンマスでの追撃戦の後、僕達はニューヨークの北に位置するホワイト・プレインズでイギリス軍と対峙したまま、こう着状態に入っていた。

 その数日後、僕は司令に呼び出された。

「お呼びでしょうか、司令」

「来たか、大尉。ところで、大尉はストーニポイントを知っているかね?」

 ストーニポイント……確か、ニューヨーク市の北、ハドソン川岸にあり、しかも渡し船の終着点であるため、軍事的にめちゃくちゃ重要な場所だ。

「はい、知っています」

「うむ。実は、そこがイギリス海軍によって奪われてしまったのだ。何とかしてやりたいが、今私が動けば、すぐに対峙しているクリントン将軍の部隊が追撃を仕掛けてくるだろう」

 なるほど……大体見えてきた。つまり、クリントン将軍は追撃戦に持ち込んで僕達を撃破するため、おとりとしてストーニポイントを占領させたわけか。

「そこでだ、君が部隊を率い、ストーニポイントの砦を奪回してもらいたい。なお、絶対にイギリス軍にバレないよう行動すること」

 確かに、もしバレれば戦力を割いていることを悟られてしまい、攻撃する機会を与えることになるだろう。

「わかりました。それでは、すぐに準備します」




 一七七八年七月十五日、ストーニポイントに到着。そして砦を、ハドソン川に面している場所以外の三方向から攻めることにした。

 僕が部隊全員にいい含めたことは、二つ。

『静かなること林の如く、知りがたきこと影の如し』

 この事を頭に叩き込ませ、砦に近づけさせた。

 そして、いい感じに近づいたところで、命令を下す。

「今だ、『侵略すること火の如く』! 全軍、突撃!!」

『うおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』

 突撃命令を下した瞬間、砦の周辺が一気に騒がしくなった。

 この声でようやくイギリス軍は包囲・攻撃されていることに気がついたようだ。しかし、時すでに遅し。

 気付いたのはいいが、イギリス軍内に混乱が生じているようだ。それは時節、砦から漏れる声を聞いていればわかるし、そもそも突然攻められた軍隊がどうなってしまうかぐらい、予想するのは容易だ。

 程なくして、イギリス軍は降伏した。

 敵の降伏を受け入れた僕は、部隊全員に砦の破壊を命じた。占拠する施設がなければ防衛設備を整えるのは大変だし、防御力も砦と比べれば弱くなる。それゆえ、二度とおとり目的で占領しようとはしないはずだ。

 砦を破壊した後、僕達は七月十五日にホワイト・プレインズへ帰還した。


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