FSOアップデート!
ちょっと短いです!
てかお気に入りが前よりも早い、
そして多い!
ありがたやありがたや〜。
洞窟を出るとポーンとあの忌々しい放送の音が鳴った。
「今度はなんだよ全く。まだワイバーン戦から一日も経ってねぇぞ……」
「ここから私達も何も知らされてませんし」
『ワイバーンは討伐されたようだね。今回一番の貢献者は反乱の軍団総隊長ベルゼ殿だ。おめでとう。賞金はベルゼ殿のアイテムボックスに贈らせてもらったよ。あとは先の説明通りに贈らせてもらった。さて。次は特別賞をあげようと思う。ワイバーン救助という、命がかかっている身では中々できないことを一番最初にやってのけた人間に贈らせてもらった。その名は……まぁ言わない方がいいのかな?っとついでに一つ。今日またFSOをアップデートするよ。というか、したよ』
「なんかコイツの話し口調ムカつくな。前のGMと違うな?つかアップデート?何をしたんだ?」
「……どうせ嫌でもすぐにわかりますよ」
「そうだな」
『いやぁ。このまま偽りの顔でプレイしていてもつまらないかなって思って、顔を本人そのものに戻すよ。その時に使ったポイントはステータスに反映するようになってるよ。そして、より現実に近づけるために、本当の痛みを味わえるようにしといたから、これから戦う時は気を付けた方がいいよ』
「なんだと?そしたら」
「痛覚までも表現されてしまうということですか……」
と、GMの話を聞き、狼狽えていた俺達を光が包んだ。
次に周りを見た時……。
「おま……」
茶髪に、少しだけ赤毛の混ざった髪をポニーテールにしている、背の高い可愛い女の子が目の前に立っていた。
「はれ??」
「……こっちのが可愛いじゃん」
素顔に戻ったヘレナを見て、自然に出た一言である。
「嘘、元に戻っちゃってるの?」
「そうみたいだな」
「でも、カズマさんは全然変わってないし……バグ? 」
「ひ、ひでぇ!ヘレナまでポイント使ったと思ってたのかよ!」
「だ、だってそんな顔なのに、こんな口調って……普通もっとクールな感じが……」
「それ多分皆思ってるだろうけど言うな!これが俺だから!」
「それにしてもヘレナさんの元の姿は綺麗ですねー」
「はぅ……」
アリスがヘレナを見ながら呟く。
まぁ確かにそうなんだよな。なんで素顔にしなかったんだか。つかアリスが言うと嫌味になりそうだけど、純粋な目をし過ぎて全然嫌味に聞こえねぇ。
「まぁ……とりあえず立ち話やめて、早く街に行かね?さっきの話もあるし、魔物に襲われるのもまた面倒だろ」
「そうですね。ギルさん。またお願いしますね?」
「おう」
「ま、また飛ぶのかぁ……」
「出来るだけゆっくり飛びますから、大丈夫ですよ」
「ありがとうございます、セイルさん」
よしよし。なんだかんだで交流を深め始めているようで何よりだ。
しかし。アリスが強過ぎてよくわからないのだが、シュカ達はどのくらい強いんかな?
ステータスでも見るか。
シュカ
Lv18
種族ワイバーン
HP3200
MANA200
STR250
DEF180
INT80
DEX200
VIT250
スキル
擬人化 自然治癒加速 火耐性中
「おおーう?強いっちゃ強いけど、これ見るとアリスの強さが規格外過ぎね?レベ1の時点でHPとか余裕で越しちゃってるじゃん。つか、アリスのHP尽きることあるのかなってそんなことさせねぇし」
「主よ。一人で何を言っているのですか?もう行きますよ?」
「あ、了解!」
シュカが光に包まれ、その中からワイバーンが現れると、態勢を低くし、乗りやすいようにしてくれた。
「よっこらせっと」
『では、しっかり捕まって下さい!』
「おう!」
俺やアリス達を乗せたワイバーン三体は大きな翼をはためかせ、大きな空に飛翔した。
「うわぁああああ助けて助けっ」
「ボボッ」
「来るな来るな来るなぁあああ!」
「一閃!」
ザシュッとトレントを斬り倒し、叫んでいた青年に手を伸ばした。
「あ、ありがどううううう」
青年は号泣した。そしてーー
「わ、ワイバーン!?うわっ死にたくねぇよおおおお」
再び号泣する青年。
「はぁああああ。全く。せっかく空の旅を楽しめるかと思ったのによー」
そう。空に飛翔したのは良いが、魔物との戦いでビビりまくっているプレイヤーが腐る程いるのだ。それを今助けながら動いているわけで。
「アリス、悪いけどまた頼むよ」
「いえいえ。こんなことくらいなら全然良いですよ」
天使のような笑顔を浮かべ、青年にヒールを掛けていくアリス。
「あ、ありがとうございます!ありがとうございます!」
「お礼なら、私よりも、カズマ様にお願いします」
「はい!えと、カズマさん!ありがとうございます!」
「いや、良いから、もう良いからのんびり行こうぜ」
「セイル。ギル。飛んでこいつみたいの見つけたら助けてやってくれ。シュカは人型で俺達と一緒に行動。ヘレナは見つけ次第回復か支援魔法で援護してくれ!敵が一体の場合は俺がやるけど、複数いる場合はアリスも頼む」
「はい!」
これから街までどのくらいかかるかな……。全くGMめ。
二層にある弱小ギルド。名を不思議の国のアリスという。そのギルドホームで、三人の少年と一人の少女が焦りと不安を露わにして話し合っていた。
「トラン、ネコル、クインス。どうするんだよ!?」
「だって、試合だってレッドゾーンまでで止めてくれるってなってたし、こんな、ほんとに痛い思いするようなことになるなんて、思ってなかったんだもん!それに、シロだって乗り気だったじゃない!」
とクインスと呼ばれた少女は、涙を両目に溜めてシロに言った。
「僕だってこんなことになるなんて思ってなかったよ!でも最後にあいつらがほんとに良いかどうか聞いて来た時に、僕はやめようって言ったじゃないか!」
シロもそれに反抗して怒鳴るが、その声も不安で小さくなっている。
「シロ、クインス。落ち着けよ」
「そうだよ、決まっちゃったことは仕方ないよ……」
「なんであんた達はそんな冷静なのよ!そりゃあトランは比較的レベルは高いけど、それでもあいつらには全然届かないじゃない!ネコルだって生産職だから戦わないってわけにはいかないんだよ?!」
「それでも……仕方ないよ」
ネコルは俯き、そのまま引き下がった。
「とりあえず。俺はレベル上げに行った奴らを迎えに行く。シロは一緒に来るか?」
トランはシロに外にでて話そう、といった目線で訴えかけるが、シロは首を横に振り、拒否した。
「そうか。じゃあ行ってくる」
「……」
トランはそう言って、ギルドホームから出て行った。
「一度、落ち着いて、ゆっくり話そう?まだ、何も打つ手がないわけじゃないんだし」
「「うん……」」
ネコルがそう言うと二人は静かに頷き、それぞれの部屋に戻って行った。
「トラン、早く帰ってこないかな……」
ネコルの呟きに応える者は誰もいない。
そして、この時の三人は誰一人として予想はしていなかった。トランと共にやってくるアリスという存在を。
ちなみにアリスが異常な強さなのは理由があります。それはこれからちょっと先の話で出す予定なので、それまでお待ちください!
読んで頂きありがとうございます!