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王都攻略戦が唐突に始まったんだがどう思う?

翌日、馬鹿でかい壁に囲まれた、王都の門の前に俺たち、不思議の国のアリスと、何故かついてきた先駆者の集いのシリウスとカナデさんと、ワイバーンのアルディア。んで今まで見たことは無かったが、反逆リベリオン軍団アーミーのギルドマスターのベルゼ。所々に明滅する紅い線の入った黒い鎧を着た女性で、紫色の髪をポニーテールにしていて金色の瞳、パッと見洋風の顔立ちをしている綺麗系の女性。髪はどうだろう?染めたのか?流石にリアルで紫髪はなかなかいないだろうし。それと、あと絶対違うと言い切りたいけど、めっちゃ細くなって背が伸びてイケメンになったライトと苦笑いしているアキト。で、またワイバーンのベクターが無言で佇んでいた。

そんでもって全員門前払いになって困惑。というか門の前の橋すら掛かってない。


「どうする?」

「どうしましょうか……」

「……」

「人族は面倒だなぁおい。門なんて吹っ飛ばしちまおうぜ主」

「おま、いきなり何て事を!?」

「だってなぁこのままじゃ進まねぇじゃねぇか?俺たちが今やってる事だって、てめぇらとかがやってんだろ?えっと」

「クインスよ!あんた本当に忘れたわね!?……そうね。シロもやってるし、他のギルドの方も何とか入ろうと試みたけど、誰一人入れなかったわ。挙げ句の果てに、下位ギルドが徒党を組んで、王都に入ろうとしたのだけど、一人の青年に全滅させられたわ」

「マジかよ」


東西南北の四方に門があるのだが、そのどれもが固く閉じられており、いくら呼びかけてもなんの反応もない。


「何したらこんなことになるんだよ」

「私のギルメンの話だと、終焉の者達が、入ると同時に歓迎していた王都の民を数人殺して、王都を自分達の物にしようとしたことからこんなことになっているらしいわ」

「何考えてんだ……てか、ちゃんと捕まったのか?」

「その場にいた王都の、所謂冒険者に取り押さえられ……そのまま」

「そっか」

「そいつら首落としちまえばいいんじゃね」

「だから発想が恐ろしいわ!!」

「しかし、ここで悩んでいても仕方あるまい」

「ギル達で城壁の上まで言って話し合い……とかできないかな」

「それはダメねぇ〜。ギルドの子達の話だと、小さな小鳥の妖精すら撃ち落とすように矢を放ってきたらしいわ〜」


カナデさんが首を横に振りながら言い、シリウスが嘆息する。


「うっわー」

「武力行使しようぜ!」

「どんだけ戦いてぇんだよギル」


すぐにでも行動できます!!って感じに弓を構えて、ニヤニヤしているギルをみていて、正直俺も武力行使でも良いんじゃねぇかと思ってしまう。いや、とりあえず門ぶっ壊すだけな。血みどろの戦いとか嫌だしな。


「こうも何も反応がないと、どうしようもありませんしね」

「やるか!?」

「そうだな」

「ええー皆さん本当にやるんですか?」

「アキト。お前も準備しろ」

「はいはい」

「ギルマスも」

「……」


シリウス、カナデさん、ライト、アキト、ベルゼがそれぞれ武器をとって構える。


「俺たちもやるかー仕方ない」

「はい」


因みに今回の不思議の国のアリスのメンバーはエースとジュンにクインス。それと俺とアリスとワイバーン三人組と、ジオだ。

まぁうちのギルドの中で唯一の純魔法職クインスにようご期待ってな。


「俺の新しい力みせてやるぜぇええええええっ!」

「エース君は元気だねぇ」

「本当にやるの?何かあったらどうするの?」

「まぁ何かあったら妖精の中の妖精、このメイ様にお任せよ!!」

「メイちゃんはあんまり信用できないのよね」

「な、なによー!?」

「さてさてさて。鬼が出るか蛇が出るか。わからんけど一丁あの門を吹っ飛ばして見せましょう!アリスさん、お願い致します」

「ご主人人任せ過ぎでしょ」

「俺じゃあちょっと傷付けるぐらいで終わるからな!適材適所だ!」

「では主の役立つ所はどこですか?」

「ん、そりゃあ……煽り?」

「では皆様行きますよ!!神技、天刑」

「シャインブラスター!!」

「飛剣」


俺の言葉を完全に無視して、アリス、シリウス、ライトがそれぞれ門に向かって技を放つと、パキンッと音を立てて門の手前で、光が発生し、その技を打ち消していた。

よく見ると薄く青い膜のような物が王都を包んでいた。


「ふむ……結界ですか。ではなくしてみましょう。光よ。私を阻むもの全てを打ち消したまえ!イレイザー!!」

「それを日本語では消しゴムという」


腹いせとしてそんなことを言ったらキッと睨まれたので目をそらす。

しかし、消しゴムとちょっと馬鹿にしてみたレーザーだが、結界に直撃し、当たった部分からジワジワと侵食していき、結界を完全に消していた。

ふふんとドヤるシリウスを横目に再度アリスとライトが技を放つと、門が吹き飛び、わらわらと兵士が見えてきた。


「あーこんにちは。王都民の皆様。ちょっとお話ししませんかね?」


と、最上級の笑顔で声を掛けるも、返ってきたのはビリビリと感じる敵意だけであった。


そりゃそうだ。むしろこれでそれ以外の反応があったら笑うわ。


「さぁ次の案はあるかー?シリウス」

「いや、これ選択肢ありますかね?」

「話す気もなく、閉じこもっていた奴ら相手だからな。仕方ないだろう。ただし不殺でやれ」

「おう。まぁそれが可能なレベル帯だからな。このチーム」

「ワイバーン隊は俺、ギルが指揮を執る。いいな!」

「「「「はっ」」」」

「おう頑張れ頑張れ〜」


門前の橋が架かり、王都の兵がざっと……何人だろうか。四……?五……?百人くらいいんのかな?出てきちゃった。兵士の先頭には見たことある顔も……姫騎士の…………名前忘れたわ。あと、アーサーと苗字が一緒な奴。


「な、なぁこれ勝てる?勝てるかな?」

「人任せ星人。大丈夫でしょう。カズマさん達は龍の国で修行したんでしょ」

「ま、まぁな!」


何故レベルの低い筈のクインスの方が自信があるのか問いたいが、レベル以外も何かしら上がってる筈なんだ。い、いける。いけるぞ!!


「セイル。主が変な顔してるし多分なんかやらかすから、ちょっと見てろ。危なくなったらフォローしとけ」

「はい」

「シュカはクインスを守れ」

「はっ」

「アルディアとベクターは……久しいな。フロアマスターんとこじゃあ挨拶もなかったしな」

「お久しぶりです」

「腕は衰えてないだろうな?」

「アルディアはウチと違ってぽけっとしてるが、大丈夫か?ほんと。ベクターは……テメェはいつも通りだろうな。俺の腕だって衰えちゃいねぇよ。寧ろ制限無くなって、強くなったぐらいだわ。さて。アルディアはカナデと一緒に全体の補助。ベクターは前線の維持に励め」

「貴様はどうするのだ」

「俺はまぁ遠距離攻撃の撃墜ってとこだな」


ギルが、ギルが隊長してる!!

やればできる子だったんだなぁ。


「聞こう!!貴様らは何故王都に攻撃を仕掛けた!!返答によっては、死罪も止むなしだぞ!!」


姫騎士が一歩前へ出て、俺たちへ向かって声を掛ける。


皆でシリウスとウルスラグナを見つめると、二人が一言か二言くらい言葉を交わし、シリウスが前へ出て話し始める。


「我々は貴方方と話をする為に、その門を打ち壊しました。その賠償は私が責任を持って致しましょう」

「貴様らは、我々が門を開いた時に何をしたと思っている!?いの一番に、歓迎していた我らの民を斬り殺したのだぞ!!その同類と何故言葉が交わせるというのだ!」

「彼等と我々は同類ではありません。貴方方から見れば我々は異物で危険なモノという、共通の括りであるのでしょうけど、我々はあの人殺し達とは違います」

「だからどうだというのだ。貴様らはそう言って平気で嘘を付くではないか。一人は笑顔で、我らの同胞を騙り入ろうとしたこともある。一人は我らの民を人質にし、思い通りにならなければ傷付け、最後には……殺していた。そんな者らの話をどう信じろというのだ!!」


おうおう。こりゃアレだね。無理だね。いや、姫騎士さんは話が通じそうだけど、周りの兵士の敵意がどんどん膨れてるわ。もうこっえーもん。普通にこえーもん。よく話してられんなシリウス。


「では、どうしたら信じてくれますかね?」

「……ならば「そのような奴らの話など聞かずとも良い!!」っ!勇者殿……」


兵の間をすり抜け、姫騎士の前に出た金髪碧眼の青年が、姫騎士の言葉を遮って言い放つ。

つか今勇者って言わなかったか。


「私は王都クリスタロスの勇者!!王都の民を害する者共よ。私が成敗してくれる!!」

「そんな勝手な……」

「これは神からの啓示でもある。メローナ殿は下がっていてくれ。私達四人と勇士部隊が彼等を退けてみせよう」


勇者を名乗った青年を含み、兵の中から四人前へ出て構える。


「ちょ、ちょっと待ってください。我々には戦う意思はありません!門を吹き飛ばしたのは笑って許してもらえるとは思ってませんけど、話し合えるならば、話しあっ!?」


勇者が剣を振るい、シリウスの足元に斬撃を飛ばし、ニヤリと笑う。


「神は貴様らを断罪せよと仰っておられる。私はその命に従うのみ」

「下がれシリウス。このような奴には言っても無駄だ。俺が相手をする」

「一騎打ちか?だが、それは断らせてもらう」


ライトがシリウスを庇うように前へ行き、刀へ手を掛けると、勇者が左手をあげた。


「賢者、それと、勇士部隊の諸君」

「や、やべぇ、皆、何かしらで防げえええええええええ!!」


勇者が手を下ろし、身の毛もよだつような な笑顔で、一言。


「放て」


壁の上で待機していたらしい、魔法使い達の一斉射撃が始まり、周囲に爆音が響き始めた。





「結界結界結界結界けっかっいいいいいいいい!!」

白聖びゃくせい斬り込むよ!!」

「《炎龍化》ァッ!!」

「「「《纏》」」」

「双風斬」

「水流斬ッ」

「擬似メテオレイン!!」

「皆すげぇ……」

「カズマさんの結界……脆すぎじゃない!?みんな修行してたっていうけど、何してたのよ!!」

「んな事言われてもなぁ!?」


うちの面々はともかく、シリウスは自分に当たりそうな魔法を光弾で撃ち抜き、ライトとアキトは斬撃を飛ばして破壊。ウルスラグナは微動だにせず、二人に守られている。

さらにアルディアは恐らくマナを皆に供給し、結界や魔法を維持できるようにし、ベクターと今駆け出していったジュンがアレクと斬り結んでいる。

そして、恐らくだが、少しずつ戦域が広がってるようで、仲間の位置が遠くなっていく。


「主とクインスは下がって。私が防ぎます」

「僕はご主人が危なくなったら助けに入るからね〜」

「あ、さんきゅ。ってお前なぁ」

「ありがとうございます」


シュカが魔法を斬撃で破壊し、ジオがあくびをしながらも、俺たちに直撃しそうな物を氷弾で弾く。その間に一息つけて周りを眺める。


「ん?クインス。あそこ、なんかいねぇか?」

「どこですか?」

「あれ、消えた。どこだ?」

「何変な事言ってるのこの状況で。燃やすわよ?」

「こえーよ!お前の発言も!!」

「やぁ」

「うわぁお!?」

「大地の力よ、私にあだなす者を打ち砕け!アースインパクト!」

「破魔」


俺とクインスの前に金色の刺繍の入った白のローブを着、金髪オールバックで赤目にモノクルという、厳ついのか、知的なのかよくわからない見た目の男が出現し、その男に対して即座に魔法をクインスが発動するも、男がその魔法に手を向けると、魔法がその場で消失し、クインスが驚きつつ男を睨む。


「魔法の構築が遅いな。この様にやれば良い」

「させない!!」


シュカが降り注ぐ魔法を破壊しつつ、俺たちの前に来ると同時に、男の掌に魔法陣が出現して青い炎が放出された。


「ウィンドスラッシュッ!」

「穿て」



それをシュカが風の刃で斬り伏せると、その炎の中から、両手に魔法陣が展開されている男が飛び出し、シュカの腹部に手を当て岩石を発射する。

それを超人的な反射速度で半身になって避けつつ、剣を逆手に持って男の首元を斬りつけるも、キィンッと音を立てて弾かれてしまう。


「爆ぜろ」

「ぐうっ!?」


男とシュカの中心で小爆発が起こり、二人を遠ざけると、男は間髪入れずに魔弾を連射し始める。


「結界!!」

「ふむ」

「助かりました」

「や、すぐに破られるけどな」


シュカの横に立って結界を出現させ、数発の魔弾に破られそうになりながらも後退する。


「あいつ、強いのか?」

「ええ。普通ではありませんね。先程賢者と呼ばれていましたし」

「あっ賢者なのか」

「爆ぜろ」

「ぐっ!?」


結界を容易に破壊し、賢者は尚も歩みながら魔弾を撃ち続ける。


「魔弾は私が捌きます。主は氷弾で牽制しつつ、斬り込んでください」

「任せろい!」


シュカが賢者に向かって駆けて行き、そのすぐ後ろに追随し、氷弾を放つ。


「その程度ではな」


賢者は新たに四色の光弾を一つずつ浮かべ、そこから魔弾を放ち始め、自由となった片手で氷弾を防御し、もう片方の手から継続的に雷撃を放つ。


「私をなめるなよ、人間」


シュカはそう呟き、向かい来る光弾を風を纏った剣で破壊し、雷撃を風の結界の様なもので阻み、徐々に前へと進む。


「ふむ。ならば、裂けろ」

「マジかよ!?」


賢者は雷撃を解除し、ローブの中から小さなナイフを取り出し、スッと平行に振ると、虚空から明らかに殺傷力のありそうな光の刃が、連続して放たれる。


「攻撃は最大の防御よ!バリアブルチェイン!」


後ろからクインスがよくわからん魔法を使い、左右を光り輝く白い鎖と、黒い靄のかかった鎖が通り過ぎ、白い鎖は俺たちの前へ出ると分裂して光の刃を阻む様に並び、黒い鎖は、賢者を囲む様にジャラジャラと音を鳴らしながら分裂する。


「阻め」


黒い鎖が襲いかかると同時に、賢者は淡い赤色の結界を作り出し、それを防ぐ。


「破魔」


そして賢者が破魔を発動して、賢者の周りにあった光弾や鎖が全て消失した。


「まだよ!!」

「空脚」


ボゴッと音を立てて黒い鎖が賢者の足元から飛び出すも、賢者は直ぐに察知して空へと駆け上る。


「チィッ」

「はぁぁ!!」


シュカが追撃し、直前に賢者が発現させた結界を斬りつけながら、賢者を叩き落とした。


「良い連携だ、だが……!?」

「幽静斬鬼龍ッ!」


賢者が二人に手を向けたところで、インディスティンを解放し、ミスリルソードをアイテムボックスから取り出して斬りかかる。


「龍、だと!?」


賢者は俺の予想だにしなかったであろう攻撃に対して、少々平静をなくしつつも、確実にインディスティンの追撃を回避し、魔法で作り出した岩で、俺の剣を受け止める。


「弾けろ!!」

「結界!んで、終わりだ!」


その岩が弾けると同時に俺は結界で破片を阻み、その隙を狙って剣を突き出すと、賢者が、消えた。


「破魔」

「主!!」

「捕えよ」

「なっ!?」

「なら私が!」

「吹き飛べ」

「きゃあっ!」


俺の真後ろに出現した賢者が、まずインディスティンを破魔で消し飛ばし、俺を助けようとしたシュカを、蔦で絡め取り、衝撃波のような物で魔法を発動しかけていたクインスを吹き飛ばした。俺の背中にゆっくり手を当てる。あ、これもしかして、死ぬ前の遅くなるやつ……


「……穿」

「させないよ」


今までほぼ無干渉だったジオが、横から拳大の氷のつぶてを二、三発ほど賢者に撃ち込んでくれた為に、俺は死を逃れた。


「じ、ジオー!!」

「ご主人、そんな涙目にならなくても」

「助けるのおせぇよ!こえーよ!あれ一歩間違えたら死んでたぜ!?」

「なんだよー褒めておくれよー。なんなら助けない方が良かった?」

「んなわけねぇだろ!助かったよ」

「んー?」


物足りないといった顔で、睨むので、キメ顔でもう一言。


「ありがとうな」

「もう一声」


もう一声って。


「ジオ、今のは本当に助かったよ。ありがとな」


さっきのを続けて言っただけだが、一応撫でを追加したぞ。

……正直アリス以外にやるのは、最近抵抗出てきたんだよな。なんでか。


「ふふん」


満足してくれたのか、ピコピコとケモミミを動かしながら、嬉しそうにはにかむジオ。いや、本当何が嬉しいのかわからんが。


「茶番は終わりか」

「ん?」

「待っててくれたのかよ」


賢者が呆れたような目で、俺達を眺めていた。


「この間に主を攻撃すればよかったものを」

「誰か治癒魔法使えない?」

「俺が使えるぜ」

「カズマさんだと、長い時間をかけて切り傷をカサブタにする程度しか使えなさそうなんだけど」

「自然治癒程度と!?」

「そのくらいならあの白い子がやってくれてるバフでなんとかなるし」

「……もういい。やる気がないなら、消えてもらおう」

「いや良くねぇし、消えねぇからな!」

「我が望むは、邪なる物を消し去る聖なる焔」

「なんか始めてるし、やらせねぇよ!?」


賢者と俺たちの距離はほんの数メートル。それを跳脚で全力で詰め、インディスティンで一閃するも、賢者の姿はなく、周りを見渡しても、今度は何処にもいなかった。


「何処だ!?」

「はぁ!」


俺がきょどっている間に、宙にいる賢者を感知したシュカが飛び上がりながら、風の刃を飛ばすも、また更に賢者は消え、今度は俺たちが先程いた場所に、詠唱をやめることなく存在していた。


「なめやがって……ペネトレイトスラスト!!」


俺は再度跳脚で、賢者の寸前まで跳び、技を放った。が、賢者はそれを予知していたかのように容易に避け、


「我が力を贄とし、その焔をこの者らに与えたまえ」


詠唱を終わらせた。


「くっそ、やべ、結界ぃ!!シュカ、クインスを守れぇ!!!!」

「ご主人!!」


振り向いたところで、ジオが駆け出すのが見える。


「セイグリッド、フレイム!!」


そして、あるだけで目を焼かれるのではないかと思える程の眩しい炎が、俺の結界をいとも容易く突き破り、俺の身体を包み込み、


「ん?」

「あれ、ご主人?」

「はっ?」


その炎は、俺を焼く事なく、燃え尽きた。


「……ま、まさか」

「お、俺なんも燃えてないんだけど」

「あ、あれぇ?ちょっと僕も焦ったんだけどなぁ。マナの質といい、魔法の質といいで」

「カズマさん大丈夫なの?馬鹿だから燃えなかったの?」

「ば、馬鹿な。そんな筈は……何故だ、何故死なない。クソ、解析!!」

「あっ」

「…………」


鑑定の上のスキルの、解析を使った賢者だったが、俺を見たままピタリと固まってしまった。どうしたってんだ?


「おーい。大丈夫ですかー?」

「……お、おかしい。これはおかしい。ゆ、勇者を呼ばなくては……だが、こんな、こんな事があっていいのか……?いや、これは勇者には言わない方が良いのか。しかし……」


賢者が頭を抑えながら長い自問自答を始めてしまった。ぶつぶつと良くわからない事を話し出している。


「……よし。とりあえず行くとしようか」

「あ、あのー賢者さん?聞いて」

「跳脚!」

「ホワッツ!?」


賢者が突如跳脚で俺の目の前まで来て、俺の肩に触れた。

シュカ達が慌てて賢者に剣を向けるが、


「一緒に来てもらおう」


賢者がそう言うと、フッと世界が暗転し、賢者と二人で埃臭い図書室のような場所に、立ち尽くしていた。





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