そうです。自由人の集まりなんです。
「自由だなぁてめぇらほんとに」
「それについては激しく同意するぜ」
「主、ドヤ顔しながら言うこっちゃないぞ」
おぶってから数秒で寝入るジオに嘆息しつつ、ドヤ顔を決めながらギルとキリエの話を聞く。
「あぁ話を中断して悪いな。まぁ簡単に言えば、あんたが俺たちを返そうが返さまいが、ハクレンさんがやってきて、俺たちは助かるだろうよってこった」
「ふむ。それが事実だとして、簡単にやらせるとでも?」
「さぁな?その辺はあんたらの実力次第だろ」
「ま、ともかく、そこの無能に勝ってしまったのは事実ですし、返してあげますよ」
「おっ。だってよカズマ。良かったな」
無能と呼ばれる事はスルーするんだな。
「あぁ……一つ聞きたいんだがキリエさん」
「なんです?」
「アリス達は無事か?」
「貴方の……仲間達ですか。どのくらいの範囲で?」
「とりあえず、アリスと、アリスと一緒にいる人間を調べてくれ」
コクリと頷くと、キリエは耳に手を当て、目を閉じた。
「……コール《マーズ》……マーズ。ユーザー名カズマ。コンパニオン名アリス。周囲で生きている生命体、死亡者を調べて」
「やる気は無いけどこの場でキリエ襲ったらどうなるかな?」
「さぁな?予想よりてめぇら強くなってやがったし、何となく倒せなくも無いが、ここがキリエの召喚獣の中だということを忘れるなよ?」
「あーそうなんだよなぁ」
「……あんまり変な事言ってると教えてあげませんよーう」
「あ、あぁ!?すまん、教えてくれ!!」
「今、全ての召喚獣の戦闘を止めさせました。ヴァルキリー、アリス。そしてその他大勢生存を確認。生命維持の難しい者にはエリクサーを送りました」
「はぁぁぁ……良かった……」
「というか、ヴァルキリーであるならば、装具化すれば良かったじゃないですか」
「装具……あ。あ、あぁー!?忘れてた!」
「ご主人うるさい〜」
「す、すまん」
妖精ってか、所謂最初のパートナーに選んだ子ってどんなに離れててもアイテム化ができるわけだが、いやぁ、忘れてたわ。
「……アイテム化ってどうすりゃいいんだ?アリス自身からしてるのは見た事あるが」
「ヘルプも何にも見てないんですか貴方は。まぁいいでしょう。妖精の名前を呼んだ後に、アイテム化と言えば良いですよ」
「サンキュー。つかふと思うけど、お前ら敵やってる割には親切だよな。フィルといい、キリエといい」
二人を並び見て、正直な感想を述べてみると、キリエは称えなさい。と、ない胸を張り、フィルには舌打ちで返された。
「さて、と。アリス!アイテム化!」
フッと目の前に天使のような紋章が彫られた、片手で持てるタイプの盾が出現した。
『ん……?あれ!?カズマ様!?』
「おおーアリス!ビバアリス!サンキューアリス!!」
それを両手で抱き締める。……硬い。
「アイテム化、解除?」
「わわっ」
抱き締めたまま、アリスのアイテム化を解き、再び抱き締めるも……硬い。この鎧が憎い、憎いぞぉ。
「カズマ様、今、何故かモンスターが全員いなくなって、回復薬が……!?」
「と、取り敢えず終わったからもう少しこのままでよろしく」
「……恥ずかしぃ……です……」
「はーい見ていて恥ずかしくなるし、厄介なのが入ってきてるので、中にいる皆様を一階に送りますねー」
「「えっ」」
「はいサヨウナラ。今度は正しい階層で、会いましょう」
俺たち全員の足元に光り輝く魔法陣が現れ、キリエが意味深な笑みを浮かべたのを最後に、視界が光に包まれ、次の瞬間には、俺がこの世界に入って初めに見た野原と傷だらけながらも、生還できたことに喜ぶプレイヤー達がいた。
「とまぁ、俺達に起こった事はこんな感じだ」
「大変だったんですね……。でも、無事で良かったです」
こちらに戻ってから取り敢えず、ギルドホームに戻り、シロ達にあれこれあった事を話し合っていた。
「しかし、あれだな?ジュン。お前はまたチートというかなんというか……」
「でもこの力とハクレンさんのお陰で、アークヒュドラを退く事が出来ましたし……」
「まぁ、あれだ。皆無事で良かった……だけど。これからも……ってわけにはならないみたいだなネコル。なんでさっきから喜んでそうで悩ましい顔になったりコロコロ表情変えてんだ?」
「あ、いや、そのぅ」
「ネコル。悩んでいても仕方がないよ。カズマさん。僕たちが話さなくても、すぐに分かる事ではあるんですが一つ、いいですか」
と、神妙な顔をしながら話しだしたのはシロ。
「おう」
「ここ二週間ほど、カズマさん達がいなくなってから、殺人ギルドが動き出しました。上位ギルドの不在を良いことに、階層を勝手に進め、十層まで到達しました」
「割と進んだんだな」
「そこまでなら良かったんです。それからですが、このゲームで最初に見られる大きな国、王都だったんです」
「十層が?ゴブリンロードとかはどうしたんだよ?」
「はい。ゴブリンロードは王都の北西三キロ程の大きな森に住み着いているようで、それを王都の民が定期的に狩っていたそうなんですが……や、それで、ですね。彼ら殺人ギルドと王都の市民が敵対してしまいまして」
「……?」
「王都に入れなくなっちゃったんです」
「んーそれは辛いな。だけど大丈夫だろ。一応王都に入らなくてもダンジョンは攻略できるだろ?俺たち大分強くなったし、下階層なら俺とギル達だけでも多分クリアできるぜ」
「……違うんです。次の攻略しないといけないダンジョンは王都の中にあるんです」
「「「えっ」」」
す、すると……あれだ。
「進まねぇじゃねぇか!?」
「そうなんです。殺人ギルドの方々も、相変わらず敵対したままで、僕たちが歯向かっても、狙われてしまったら流石に困りますし。先駆者の集いの方々が真正面から殺人ギルド相手に戦いを挑んだんですが、一人、明らかに異質な人がいまして、その人に全滅させられちゃったんです……」
「嘘だろ……殺されちまったのか」
「いえ、それが何故か命は奪われずに、その場に放置されただけだったらしいです。とにかく、そのような状態で、どん詰まりってわけです」
「おぉ……どうしようか」
「他にも色々あったんですけど、それはまた明日にしましょう。カズマさん達も疲れてるでしょうし」
皆、下手したら俺よりも疲れてるな。疲れてるってかやつれてる?……殺人ギルドか。アリス達に危害が及ばないようにしねぇとな。
「ちなみにギルド名とかわかるのか?」
「終焉です」
「終焉……か」
「幾つかの殺人ギルドが合同してできたギルドらしいですけど……」
「ま、一日休んでから、とりあえず王都まで行ってみようぜ。ジュンもいいか?」
「はい。僕は大丈夫です」
「何かあったら厄介だから高レベルチームで行くぞ」
「高レベルでも主は弱いけどな」
「うるせぇよ!!」
「ご主人うるさい」
「はいごめんなさい」
一難去ってまた一難。とは言っても俺難ありすぎじゃないか?
「とりあえず皆。今日はゆっくり休んで、明日に備えろ!!」
「「はい!!」」
「ふと思うんですけど、このギルドシロ君がマスターですよね?」
「アリス。そこは突っ込んだらいけない」




