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勇者ジュン登場!

主人公の出番が一切無い回が続きます

アリス達の横の壁から飛び出してきたのは、勇者の少年ジュンと、その妖精メイ。あとその後ろに獣人族の少女ポチがいた。


「アリスさん?」

「ジュン君?」

『何奴ッ!?』

「わわっ?!あっれぇ!?なんでアリスちゃん達がいるの?!」

「ポチまで?!」

『戦いの途中に横槍とは、何者だ貴様らァッ!!』


吉之輔が刀をジュンに向けるが、ジュンは気にした様子もなく話し始める。


「もしかしなくても、あのGMさんにここに飛ばされちゃったんですか?」

「あ、はい」

「そうですか……とりあえず協力して、ここを抜けましょう」

「いや、どうしてそんなに冷静なんです?」

「うーん。何となくですね」

『何を私を前に話しとるかーッ!』

「ハッ」

「えっ?」


吉之輔が刀を振り上げた瞬間、ギィンッと剣がぶつかり合う音がして、吉之輔が吹き飛んでいた。


『な、何が起こった?』

「やるよ、メイ」

「わかったわ!風よ斬り裂け!ウィンドカッター!!」


吉之輔が体勢を立て直すよりも早く、メイが風の刃を放ち、そのすぐ後ろをジュンが追随する。


『そのような魔法がッ?!』


風の刃は吉之輔を助けようとしたユニコーンの前足を切りつけ、大きく転倒させる。


『ユニコーンッ!?』

「はぁぁッ!!」

『グハァッ』


ユニコーンに気を取られ出来た一瞬の隙を突きジュンが光り輝く剣で胴を斬り、更に剣を返して逆袈裟に吉之輔を斬ろうとするも、正気を取り戻した吉之輔の刀に防がれ、そのまま後退する。


「アリスさん。大丈夫ですか?」

「え、えぇ。ジュン君は……大丈夫そうですね」

「はい。とりあえず僕とメイであの落武者を倒しますから、アリスさん達であの馬を倒してください。話はそれからにしましょうか」

「ええ。わかったわ」


アリスは一連の動きを見て、そう負けることはないだろうと判断し、シュウ達と馬を挟撃し始める。


白聖びゃくせい。僕に力を。メイ。あのデュラハン、奇襲だったから斬れたけど、これからはそうは行かない筈だ。援護、頼むよ?」

「わかったわ。任せて」

『ククク……戦場で死に、デュラハンとなって甦らされてから、このダンジョンでひたすら修行して、現れた強者。拙者は嬉しいぞ』

「そうですか。僕は面倒なので、早く終わらせたいです」

『面倒か。まぁ良い。行くぞ』


吉之輔は刀を正面に構え、ジッとジュンの目を見て止まる。


「……ッ」

『ふぬッ』


ジュンはジリジリと距離を詰めて行き……五メートル程近付いた時、加速し、左下段から剣振り上げるようにして斬りかかる。

吉之輔も即座に反応して、剣を受け流し、カウンターで胴を一閃するも、ジュンはすぐさましゃがんで刀を避け、剣を突き出す。それを吉之輔は身体を半身にして避け、その剣を掬い上げるようにして払い、袈裟斬りにジュンを斬ろうとする。


『技術においては拙者の方が上のようだなッ』

「そうみたいですが」


だが、それは成されずに、一瞬で作り上げられた岩の壁に阻まれる。


『無粋な』

「僕は一人で戦う気はありませんので」

「まだよ!ロックスパイク!」


その壁から複数の棘が飛び出し、吉之輔を襲う。それも、吉之輔は刀で全て打ち落とし、刀へマナを這わせて壁を斜めに一閃。そしてぐるりと回って蹴りを当てて壁を蹴り飛ばす。しかし、そこにジュンの姿はなく、


『後ろかッ』


吉之輔が振り向くよりもやや早めにジュンは後ろに回って、


「シャイニングスラッシュッ!!」


光の剣で斬り上げる。その一撃を咄嗟に刀で防ぐも、体勢を崩してしまう吉之輔。それを今のジュンが見逃す筈もなく、一閃。結果、吉之輔の腕を斬り飛ばした。


『ぐうッ』


吉之輔はよろめきつつも距離を取ろうとするが、足元が氷に包まれ動かなくなっていることに驚愕し、抜け出そうとするも、


『何ッ!?』


ジュンの剣で両足の膝から先を斬られ、地面へと落下する。


「止めだ」

『まだだ!ユニコーンッ!』


ジュンの剣が吸い込まれるように、吉之輔の胸を刺すと同時にユニコーンが、ジュンを突き飛ばし、黒いオーラをドーム状に展開して吉之輔わ、包む。


「うぇ?!」

「ごめんなさいジュン君!突然私達を無視して走り出して……」

「だ、大丈夫です。だけどこれは一体?」


少し距離を取り、黒いドームについて話す二人の疑問を解消しようと、シュウが先程解析で得た情報を話す。


「なるほど……スキルの説明かなんかは見たんですか?」

「いや、そこまではわからない。だが他にも厄介そうなスキルがあった。奴はまだ本気ではないだろう」

「というか見たなら先に言いなさいよ馬鹿修二!!」

「あだっ?な、何をする!?」

「まぁねぇ〜確かに先に言ってくれれば……どのみちジュン君がいなきゃなんともならなかったかもしれないし、今回は問題ないわねきっと。でもそれは結果論。もしかしたらその力で皆やられちゃったかもしれない。だから、次からはちゃんと言ってねぇ?」


ニコッとカナデが笑うと、ブルリとシュウが身体を震わせ、コクコクと頷いた。


「……長いわね。ジュン君もう一回穴開けられない?」

「んー多分できるよ。できるけど、コイツ倒したら、ボス倒したって判定ついて出れそうな気がしない?」

「それは、そうかもしれないけど」

「というか、アリスさん。カズマさんはどこにいるんですか?」

「カズマ様は……わかりません。ただ、亡くなってはいません。それは確かです」

「そうですか」

「それより、そろそろ用意したほうが良さそうよ」


メイがグニャグニャと歪みながら大きくなるドームを見やる。


「出てきた瞬間にデカイの喰らわせてやる」

「スフィア。用意を」

「そうだね。メイ。念の為に防壁を作っておいて」

「わかったわ」

「私はどっしよっかなぁー?エクスプローションでいいかなー?」

「《纏》」

「というか何故わざわざ待ってたんでしょう私達」

「……来るぞ!!」


ドームが割れ、黒いオーラを発しながら出てきたのは馬は消え、矢も刺さっておらず、髪も結って、侍然とした首のある泡立吉之輔。


「エクスプローションッ!」

「す、スフィア!って、ええー?」

「神技、天刑ッ!」

「グラビティスマッシュ!」

「滅せよ、ルインフレアッ!」

「真空竜双刃」

「シャイニングスラッシュ!!」

「はいはい。ストーンウォールねー」


それぞれ用意していた魔法で出てきた吉之輔を迎え撃つ。だがそのどれもが弾かれ、外れるのを見たアリス、ジュン、シュカの三人が同時に飛び込み、吉之輔と剣を交える。


「遅いな」


吉之輔は冷静に最小限の動きで、三人から繰り出される攻撃を躱し続け、一言の後に一太刀。


「くぅ……!」

「ミラージュフレアッ!」

「スフィア、動きを止めて!」

「ほたるん!三人を助けてあげて!」

「ーー影斬り」


と、呟き、吉之輔の刀の影と、シュカの影が交差し、シュカの腹部を斬り裂いた。


「な、に……!?」


コプッと血を吐き出し、アリスとジュンにその場を任せ後退するシュカを二人を相手しつつも追う吉之輔。


「シュカちゃん!?ポーちゃんポーションある!?」

「任せて!」

「回復するわ!光妖精たる私が命ずる。光よ!傷を癒す雨となって降り注げ!ホーリィレイン!」


メイの唱えた回復の魔法により、光の雨がシュカを含め、味方全員に降り注ぐ。


「続いていくわよ!光妖精たる私が命ずる!傷を為した者を一条の光となって貫きたまえ!ホーリィレイッ!!」


メイの指先からメイと同程度の大きさの光線が放たれ、ジュンとアリスの隙間を縫って、吉之輔に到達する。それを吉之輔はマナを刀に入れて、斬る。


「甘いわ!」


光は分岐し、メイのコントロールにより、屈折し、再び吉之輔へと襲いかかる。


「いくら増えようとも同じ事!」

「させないよ!」「させません!」


それを吉之輔もまた刀で斬ろうとするも、ジュンとアリスに押さえつけられる。


「空歩」


それをすぐに鞘で殴りつけ、二人を離れさせ、迫り来る光を宙を歩く事で避ける。


「屈折屈折ぅー!」


メイは指揮棒を振るうように指を振るい、それに合わせて光も曲がり、吉之輔を追い掛ける。


「面倒だが……」


ゴウッと黒いオーラが発せられ、光が飲み込まれ、打ち消されてしまう。


「顕現しろ。一角獣ユニコーン


宙を歩きつつ、使っていた刀を鞘ねとしまい、虚空から柄から刀身に至るまで、全てが黒に染まった剣を取り出し、地にいるアリス達を眺める。


「さて。拙者がこれを使うからには貴様らには全員死んでもらわないといけないな」

「いや何でよ!?」

「拙者が全力を出して殺せぬ者等存在しないと証明する為にだ!!」


吉之輔が空を蹴り、一瞬でアリス達の前に現れ、


「ーー居合、零の型」


鞘が無い状態での居合斬りが放たれ、アリスが僅かに反応し身体を反らせて避けることが出来たが、ジュンは反応出来ずに構えてた武器を弾かれてしまう。


「鞘が無い。それ故に、ある状態とは違い、鞘から取り出す際のラグが一切の無い最速の居合。貴様らに防げるものか」


吉之輔はアリスの腹部を蹴り飛ばし、武器を弾かれ、戸惑ってしまったジュンをその場で突き刺そうとした瞬間、炎に包まれる。


「離れろッ!!」


シュウが発した怒号にハッとしながら、ジュンが弾かれた武器をとって後退する。吉之輔は炎を刀を振るって吹き飛ばし、炎を使ったシュウの近くまで移動し、影斬りを発動させ、シュウの影に刀の影を突くもそこに影は無くなり、代わりにシュウと吉之輔の間に限りなく明るい炎が出現していた。それにより両者の影が強制的に外側へと伸び、結果影が届くことはなかったのだ。


「皆!常にこの炎を中心にして戦え!!そうすればよっぽどのことが無ければ影を斬られずに済む!」

「それも貴様を斬れば、問題はない!!」

「させん!」


吉之輔が僅かにイラつきを見せ、シュウに向かって踏み込むも、傷の癒えたシュカが間に割り込んで剣を自身の剣で受ける。


「小癪な……!」

「神技、天刑ッ!!」


その間に体勢を立て直したアリスが雷を吉之輔へと落とす。


「ぐっ……!邪魔だ!!」


それを剣を振るった衝撃波で相殺し、勢いを殺さずにシュカを向かって左足で後ろ回し蹴りで蹴り飛ばし、左右から迫るジュンとカナデの剣を一角獣ユニコーンと元から持っていた刀で受ける。


「エンチャントグラビティ!!」


カナデは重力魔法で剣撃を重くし、僅かだが、吉之輔の体勢を崩すことに成功する。そして吉之輔の鳩尾をメイのホーリィレイが撃ち抜き、更に傷口に機を見ていたスフィアが無理矢理入り込む。吉之輔は自身の中に異物が入ったことで不快感を抱き、顔を顰めながらも二人を弾き飛ばす。


「ぐ、ぐぼぉあッ」


その隙を突いてアリスが一撃。炎の拳を脇腹に当てて吉之輔を殴り飛ばした。


「ぐっ……グググ……ガァァァアアアああああああああ!!!!」


吉之輔の中へと入り込んだスフィアが漸く身体中に回ったのか、吉之輔が叫び、苦しみ悶え、地面を転がり回る。


「ぐ、ぐぁぁッがぁぁッ!……調子にぃ……乗るなァ!!!!」


ブォアッと吉之輔を中心に黒いオーラが吹き出され、アリス達を吹き飛ばし、自身も苦しみつつ、全身に力を込める。


「うぐ、ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおあああああああああああああああ!!」


吉之輔は咆哮し、影斬りを発動させ、自身の影を突き刺す。


「スフィア!!?」


その瞬間、スフィアが傷口から飛び出し、アンパイの元へとうにょうにょと近づき、アイテム化してアイテムボックスへと戻る。


「くっ。ふーっふーっ……」

「神技、瞬神!」


息を荒くして、膝をついた吉之輔へと走り出すアリス。その後ろをシュカも追随して行く。


白聖びゃくせい。光は今、剣と成らん。ホーリィブレイドッ!」


それに遅れて、更に光り輝く剣を持ち駆けるジュン。


「シャアァアッ!!」


吉之輔は一角獣ユニコーンを逆手に持ち、冷静さを感じられない怒気を孕んだ形相で、アリス達に斬りかかる。


「なぁ!?」

「アリスッ!?」


先程とは打って変わって型も何も一切ない力任せの一撃。しかし、力は衰えるどころか、大きく増しており、アリスの持つ剣を破壊してしまう。瞬神を発動させているアリスは驚きはしたものの、すぐに拳に切り替えて、殴りつけ、シュカもまた風を纏った刃で吉之輔を斬りつける。

だが吉之輔はそれらを受けながらも、気にした様子もなくアリスを斬りつけ、シュカの首を掴んで握り締める。


「ハァアッ!」


両手の塞がった吉之輔の前に光の剣を持ったジュンが現れ、一閃。回転して更に勢いをつけて、吉之輔の両腕を斬りとばす。


「ガアッ」


吉之輔は無くなった腕を気にすることなく、ジュンの首に食らいつこうとするも、メイの魔法で一瞬にして足元から首まで氷漬けにされ、漸く動きを止めた。


「アァ……ァ……」

「漸くですね」

「ジュン君が来てくれたから勝てたようなものです。最後の一撃は貴方がやってください」

「そうね〜。彼が来てくれてから、確かに助かったものね〜」


カナデ達も近寄り、賛意を示し、再び離れる。


「じゃあこれで、終わりだッ!」


一閃。吉之輔は首を斬り飛ばされ、絶命し、その場で立ちつくす。


「ッ……」

「大丈夫?ジュン」

「……いや、やっぱり、人を殺すのって凄く辛いなって」

「人っていうか人型の精霊だけどね。それにしても変よねこの侍。さっきまでデュラハンだったのに、馬と合体した時から人間になってたし」

「とにかく〜皆無事で良かったわ〜」

「そうですね」

「私は特に、メイの魔法とポチのポーションが無ければ危なかったからな。感謝する」


と頭を下げるシュカ。


「というか私達全然役に立たなかったわね」

「松下は仕方ないだろう。盗賊職だからな。それに比べて俺は……」

「シュウ君〜そんな事言ったら、私だって〜」

「私に至ってはポーション投げつけてただけだからね!?」


と暫く浮かれながらも話し、アリスが本題を提示する。


「で、そろそろジュン君が何故ここにいるのかって事を話したいのだけど。ポチさんはまだわかるけど、ジュン君は居残り組でしょう?」

「うーん。色々あるんですが、それは一週間程前まで話が戻ります。取り敢えずそこから話しますよ。警戒しつつ、だけど座りましょうか」

「あ、プチストーンウォール!」


メイが魔法で各々の後ろに小さな石の椅子を作り上げる。


「これで良し」

「ありがと〜」

「感謝しなさいっ!」

「うん。ありがとう、メイ」

「む、むぅ」


それらに座り、ジュンはこれまでの事を話し始めた。







カズマ「そんなわけで出番のない俺がここに登場するぜ」

ギル「おまけで俺もいるぞ。主程出番には拘らないけどな」

カズマ「いや出番大切だよ!?俺主人公だよ!?ただでさえ弱いのに、出番までなくなったら」

ギル「長くなりそうなら離れて話してくれ主」

カズマ「前々から思うけど主に対する態度じゃねぇよな!?」

ギル「まぁな!!」


カズマ&ギル「次回に続くぜ!」

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