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鬼神vs龍王とその他外野。

自分でも思うけど、物凄い不定期更新でごめんなさい。

何の力もない一般人から見れば、 目に見えぬ何かわが動き続け、爆音と共に土埃が舞っているだけに 見えるだろう。ほんの少しの経験がある冒険者でもそれは同じ。中堅辺りの冒険者ならどうだろうか。それ もあまり変わらないだろう。ただ影くらいはわかるかもしれない。だが、それだけだ。上級の冒険者ならば……どうか。オーガやワイバーンを楽々狩れる者ならば、漸くこの戦いのやり取りが見えるといったところだろう。そしてその多くがこの二人の技量の高さに驚くだろう。

ちなみにこの場にいる者らを今の説明で表すならば、一般人は……いない。だが、ほんの少し経験を積んだ冒険者はいる。カズマだ。動体視力は良い為、姿自体は捉えているだろうが、やり取りの判断はできないだろう。中堅辺りの冒険者。そこに入るのはガイルやリエール。中堅の中の最上位、あるいは上級の下辺りにアリス。アーサーは言わずもがな。フェンリルであるジオも問題なく、やり取りは見えているだろう。


「シィヤァッ!」

「ゴァアァッ!」


鬼族の男タイタンとヘルロードの拳打のみの戦い。

一瞬の油断も隙もない。

タイタンは四本の腕を巧みに使い、ヘルロードの猛攻を受け流し、無理な攻撃はせず、いつ出るかもわからない隙をひたすらに待つ。

対してヘルロードはただただ殴る。見た目は少年でありながら、あらゆる龍を殴り飛ばせる程の力を存分に振るい続ける。しかし、隙はない。出さない。


「中々やるではぁないかァッ!」

「貴様もなァ!黒龍王ォッ!」


一撃一撃が今の両者にとって全力の一撃。それをそれぞれ避け、受け流し、どちらもできないものは受け止め、反撃する。


「そろそろのぉ!」

「ちっとぉ!」

「「飛ばして(ギア上げて)行くぞォ!!」」

「黒龍爪!!」

「鬼襲撃!!」


それぞれの爪や、拳にマナが灯り、強い輝きを放ち始め、ぶつかる。

その一撃を制したのは、ヘルロード。


「ぬぅ!」

「若造!もっとだ!もっとやれんのかァッ!ワシは満足しとらんぞォ!久々にこの渇きを、潤しとくれぇい!!」


押し合いに負け、腕ごと後退させられるも、すぐに体勢を立て直し、先程と同じ力を、今度は四つの拳全てに込めて、殴りかかる。


「言われなくともぉ!やってやる!!」

「どんどんグレードを上げて行くぞ若造ォ!!黒龍炎爪!!」


それに対して、ヘルロードの爪から、手首まで覆う様に噴き出し、タイタンへ突き出していく。


「オラオラオラオラァ!」

「クハハハハハッ!!」


二人は競い合うように拳速を上げて行き、ついに音の壁を突破する。

それぞれの拳が嵐のように打たれ、拳の衝撃で地が弾け飛ぶ。


「良いぞ、良いぞ!!素晴らしい力じゃ!!」

「黒龍王に褒められるとはなぁ!!」

「だがまだじゃあ!ワシのこの猛りをもっと熱く!滾らせよ!!」


両者の拳は交差し、顔を殴りつけ、両者共引かずにそのまま反対の拳で殴りつける。


「ウォオオオオオオオオオアアッ!!」

「クハハハハハハハハッ!!!!」




そしてどれだけ殴り合っていたか。延々と続く殴り合いが突如終わりを告げた。


「ワシの勝ちじゃな」

「ぐっ……」


ヘルロードは常人ならば数百と死んでいる戦いを経て尚、笑みを浮かべながら、四本全ての腕をだらりと下げ、膝をつくタイタンを見る。


「……まだ、負けてはいない」

「ほぉ。まだ上があるとな。良い。見せてみよ。ワシは全てを潰すぞ?」

「…………後悔するなよ?」

「ふん。そのようなものせぬわ。早くせい」

「ちょ、早めにそいつは倒した方が……」


良い、と出番のなかったカズマが言い終えるよりも先に鬼族の男、タイタンの身体に変化が起きた。


「ぬ……」


ヘルロードはそれにいち早く気付き、カズマ達のいる方へ飛び退く。


「ウゥウウウウウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオアオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


最初に、金色のマナに身を包まれ、輝き、その身体を大きくさせていくタイタン。七メートルを超えたあたりで、赤黒かった肌の色が、完全に黒く染まり、身体を包むマナを吸収し、金色の鎧を作り出し、十メートルを超えた辺りで巨大化は止まり、真上を向き、


『GOAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!』


咆哮。先程のような戦いの中での叫びとは違う。一度聞けば身体の芯から震えるような、力を示す咆哮。身体の弱い者であれば、そのプレッシャーに心臓を止めてしまうほどに強い力の咆哮。それを聞き、ヘルロードは内心狂喜しながらも、冷静にタイタンへと問う。


「鬼神……か……?」

『如何にも。我は八十九層が主、鬼神タイタンである。我は我の主人の命により此処に来たのだ』

「そうか、貴様が……かの有名な鬼神だったか。貴様の主人は最初の異物か?」

「ヘル!!」

「なんじゃアーサー。今楽しめそうなんじゃ。黙っとれ」

「そいつはお前だけで出来るのか?!龍の姿のお前と存在が……」

「ワシを誰だと思うとる。アーサー。この国を作りし、黒龍王だぞ!!さぁ鬼神よ、鬼神タイタンよ。どうか、ワシにその力を見せてくれッ!!」


そう良い、ヘルロードの身体は本来の龍の形を作り出す。体長はタイタンをやや超え十二メートル程で姿を現した。

一番最初にカズマ達に現した姿より凶悪に、黒い炎のように溢れる力を隠そうともせず、放出し、タイタンとに向かって、


『GYOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!』


咆哮。その衝撃はタイタン諸共吹き飛ばさんとする勢いで周囲を吹き飛ばした。


『黒龍王ヘルロード……それが貴様の真の姿か』

『あぁ。かっこいいじゃろ?ヌシが女であれば惚れてくれてもいいのじゃがそんな筋肉ダルマではなぁ』

『安心せよ。我は既に生涯の伴侶と共にいる。万が一にもそのようなことはない』

『冗談なんじゃがなぁ。しかしまぁ鬼神となぁ。若造呼ばわりしたが、案外ワシより上かのう』

『恐らくそうだろう。我は創生時代からいるからな。貴様の知らん事も知っているかもしれんな』

『そこまで行くとワシの親父世代じゃろうて。全く』

『……無駄話はこのくらいにして、始めようか』

『そうじゃな。鬼神よ』

『行くぞ』

『来いッ』


体長十メートルを超える巨体が己の渾身の力を出してぶつかり、大きな衝撃波を生んだ。




「おおおおおおう?!だ、大丈夫なのかこれぇ!?なんかいきなり怪獣大決戦みたいなことになってないか?なんか光の巨人でも呼んだ方が良いんじゃないか!?」

「おおお、落ち着け主ぃ!!いきなり何が起きてんだよぉコラァ!」

「隊長。正直私達ではどうにもならないくらいの戦いなので敢えて諦めてみてはどうかと。シュカなんてほら、アリスと雑談始めてますよ」

「いや待てそこの竜種二人この場でなんでこうも冷静なんだ?」

「いやぁガイルさん。僕らなんか場違いな気がしませんか?」

「てめーらうっせぇぞ!何で俺だけこんな苦労しねぇといけねぇんだよ!こらカズマ!お前も手伝え!」

「そうだよーご主人。ちょっとはこのおじさんを手伝ってあげないとー」

「お前も焼き鳥なんて食ってねーでなんか防御系の魔法使えよ!つか焼き鳥どっから取り出した!?」

「んー面倒ー」

「うぉい!!」


戦闘中にヘルロードがタイタンを遠ざけているからこそ会話ができるわけだが、いかんせん真剣味が足りない。


「お前らほんとに俺に感謝の一つもねぇな!?結界解いてやろうか?!」

「やめろぉ!アーサー!万が一ヘル様達のとばっちり食らったら、俺達はともかく主が死にかけねぇ!」

「ところで何故貴様がアーサー殿を呼び捨てにしている!身の程を知れ!!」

「テメーは俺に勝ってから言っとけ!」

「緊急事態だというのに、騒がしい人達ですね」

「同感です」

「いや貴方達は落ち着き過ぎだと思うのだが」

「シュカも落ち着き過ぎだと思いますよ?」

「そういうアリスはどうなんだ。じっと主を見つめて微笑んだりして」

「いえ、微笑ましいなと」

「微笑ましいか?あれ」


最早普通に雑談してるだけである。この状況で雑談していることを普通とは言えないだろうが。




カズマ達が戯れている間にも、ヘルロードとタイタンの衝突は激化していく。


『ルァッ』

『ヌゥン!』


タイタンはヘルロードのブレスを四本の腕をクロスさせ、受けきり、胴に向かって蹴込みを放つ。

ヘルロードはそれを回転しながら避けつつ、勢いを殺さず、尻尾で殴打。


『カァッ!!』

『ぬっ』


タイタンはそれを受け止めるも、背後の山ごとブレスで吹き飛ばされ、周囲を巻き込みながら転がる。


『金剛……剛手刃!』

『黒龍爪!!』


起き上がると同時にタイタンは手刀で、襲いかかるヘルロードを切り上げるも、ヘルロードはそれを物ともせず、龍となり、より鋭利になった爪でタイタンの左胸を突き刺す。


『ぬぐ……』

『いでぇなゴラァ!』


更にヘルロードは空いた手を突き刺しに掛かるも、タイタンの二つの腕に掴まれ、動きを止める。突き刺している手も掴まれ、動けずにいる。


『おいおい。これじゃあ俺がブレス撃ち放題だぞ?鬼神よ』

『貴様の腕をやれれば問題ないな』

『やらせるものかよ!!』


タイタンは腕に力を込め、徐々にヘルロードの腕を曲げ始める。


『ぐぬぬぬぬ……負けぬ、負けぬぞ……』


ブレスをはけばいい物を、何故か力比べを優先し、全身を震わせるヘルロード。


『貴様は馬鹿だな』

『ワシはあらゆる分野の戦いで勝利を掴み取りたいのじゃ』

『……馬鹿だな』

『それに抜けぬなら、貫通させてやろう!黒龍炎爪!!』


突き刺している爪に黒い炎が宿り、タイタンの左胸を焼きながら、ズブリと更に深く突き刺さる。


『ぬぐぅ』

『くはははは……貫通できぬ……』

『我の身体を壊せる者など主しかいないさ』

『ならば力比べは止めにしよう』


そう言って、ヘルロードは凝縮されたブレスを放つところで二人が強制的に吹き飛ばされる。


『なんじゃ!?』

『あ、主!?』


二人のいた場所の中央、空中五メートル程のところにフード付きのローブを着た者が姿を現した。


「タイタン。なんでやる事もやらず、こんなのと遊んでいるの」

『申し訳ございません。我が主。しかし、この者は龍神の配下、龍王の片割れのようで、中々勝てずにいました』

「ふぅん。そう。なら貴方そのままこのトカゲと遊んでて。私はこの街にいるプレイヤーと木偶人形を消すわ」

『おい、待て小娘。街の住民とワシの娘が大切にしているカズマに手を出すならワシは貴様を許さぬぞ』

「貴方に許して貰わなくとも、私が私を許すわ。タイタン。退かして」

『御意』

『を、ちょっ待てコラァ!!退け鬼神!』


女の言葉にタイタンは頷き、四本の腕でヘルロードを抑えつけながら殴り付ける。

そして女はそこから一瞬で消え、カズマ達の前へ現れ、仕事を始めましょうかと、無表情で呟いた。




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