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剣貰って喜んで、なんか敵来て黙らされる

十一日目……十二日目は何か特筆すべきことはなかったのでスルー!!強いて言うならば、カナデさんにカナデさんとこにいるワイバーンについて聞いてみたくらい。後はアリスといちゃいちゃしたりかな。

そんなわけで十三日目だ!!


で、そんなわけなんだが……なんか俺の剣が出来上がったらしく、俺は朝っぱらからヘルロードに首根っこ掴まれて、鍛冶屋に来ている。来て、鍛冶屋の龍の爺さんに滅茶苦茶叱られている。


「のう坊主よ」

「は、はいすいません」

「すいませんじゃあない。聞きたいことはそんな謝罪じゃあない。坊主。自分の武器なんじゃぞ?相棒になる剣なんじゃぞ?何故来ない?毎日見に来るくらいでも良いのだぞ?なのに、何故来ない。例えヘル様がここの場所を教えずにいたとしても普通来るだろう。せめてワシに一言あっても良いじゃろう?」

「あ、ほんとすんません。なんかほんとごめんなさい」


まぁ確かに剣作ってもらってるのに頼んだりしてないのはいけないのかなぁとは思うんだけどそもそもヘルロードがファントムキラー砕くからいけないんだからなとか言ったらいけないんだろうな。


「まぁ良い」

「あ、良いんすか」

「良くないのじゃがな」

「あ、やっぱり」

「じゃが!今日は坊主の剣のお披露目だ。受け取りな」

「あ、ありがとうございます」


作業机?の上にある真っ黒な鞘に入った長剣を俺に渡し、抜くように指示されたので抜剣。


「……」


手に持っているはずなのに持っていないようで、触れていないような白く、半透明の剣があった。ファントムキラーの面影といえば剣身の中央部分に埋め込まれている赤く丸い宝石くらいだ。その宝石すら半透明になっているが。


「そいつの名はインディスティン。霊体を斬る事ができるのは元々の剣が霊体に近いか、魔剣の能力か、なのじゃが、坊主の壊されたファントムキラーは剣が霊体に近い物だったのでな。幽鬼龍という龍の爪と合わせて作らせてもらったぞい」

「なんだが正直わからねぇけど凄そうだな。つか龍の爪って同族じゃねぇかよ。良いのか?」

「良いのかも何も、嫁の爪をちょっと切った時のを貰ってきただけじゃしな」

「ちょっと切ってこれ出来るんだなすげぇな!!」


嫁の爪って!爪切りしてそれを再利用しただけみたいな言い方されたな!!


「さて。気になるであろうこの剣の性能は」

「性能は?」

「自分で試してみると良い。ヘル様の一撃でも耐える事が可能なはずじゃ」

「そりゃすげーけどもうやりたかねぇよそれは。アーサーのおっさんと戦ってくるさ」

「そうかい。まぁなんだ、坊主」

「ん?」

「……折るなよ?」

「ひっお、折らねえよ!!ありがとう爺さん……ってところで爺さん名前は?」


物凄いドスの効いた声で話されると俺ビビっちゃうぜ。


「ダルカーだ」

「俺はカズマだ。俺明日、下の階層戻るからさ。多分もう会えないかもしれねぇから改めてちゃんと言っとくぜ。良い剣作ってくれてありがとうな!」

「おう。気にすんな。お代はヘル様から貰っとる」

「じゃあ行ってくる!」

「おう!」




カズマが出て行った後の鍛治場に残った二人は神妙な表情で目をあわせる。

数秒見つめた後、口を開いたのはダルカー。


「ヘル様」

「あぁ、悪いなダルカー。ワシの都合で期日を縮めさせてしまっての」

「いえ。何かあったのでしょう?」

「あぁ。上のハクレンから連絡があってな。奴らが来たそうじゃ」

「……それで、どうなったのです」

「カズマ達の仲間は無事だそうじゃが、大分損害を受けたらしい。だから気をつけろとよ」

「気をつけろ、ですか。気をつけてどうにかなる相手でもないというのに」

「心配するでない。こっちには黒龍王たるワシがいる。ついでに言えばアーサーもおる。何故かわからぬが今は神狼までおる。負けはせぬ」

「ヘル様の勝敗は疑っておりませぬ。ヘル様の敗北は後にも先にもただ一度」

「あぁ、ワシは負けん。相手が神だろうと勝利を収めてやろう」

「期待してますぞ」


会話が終わると同時に、真っ青な顔で、数少ない兵士が飛び込んでくる。


「どうしたのじゃ。そんな慌てて」

「もうしけ、も、申し訳ございません王よ!」

「別に良い。人族の様な王じゃないのじゃ。そこまで気にせんわ。それで、どうしたのじゃ?まさか、来たのか?」

「恐らく……ご想像通りかと。正面の大門に鬼族の大男が一人。王に会わせろと申しております。その者、尋常ではない力を内包させており、ただの鬼族でないことは一目瞭然かと」

「そうか……わかった。其奴はそのまま待たせておれ。数分後向かおう」

「は、はい!」


命を受け、役目を果たさんと走り行く兵士を眺めながら、また、ダルカーが口を開く。


「人族なら王を戦場に出すなど、ありえないのじゃがのう」

「あんの馬鹿共と比べるでない。強き者が守りに出ずにどうする」

「自分の身だけを守り、ひたすら生き残ろうと足掻くものですよ。しかし、ヘル様」

「なんじゃ?」

「御身自身も大切にしてくだされ。貴方は一人しかおりませぬ。そしてここは貴方の国。貴方の居場所であります。貴方が居なければ成り立ちません。それをお忘れなく」

「……あぁ。わかっておる。ではワシは行くぞ」

「ご武運を」


ヘルロードはそれ以降は手をひらひらと振るだけで、そのまま出て行き、またダルカーも心配はしていないのか、残る作業に手をつけ始めた。




高く聳える門の前には英雄と呼ばれていた中年と思わしき男と、数人の龍人。若い人族の男とヴァルキリーが一体。少女としか見えない淡い水色がかった銀色の髪をした少女。と体長二メートルを大きく超え、赤い肌と、四本の腕、そして、二本の金色の角を持つ鬼族の男が睨みあっていた。そこに紫がかった髪の少年が今、降り立った。


「……きたか」

「やはり、ヌシか。ヌシ一人か?」

「あぁ。貴様らを蹂躙するのは俺一人で十分だからな」

「ほう。言うでないか。王たるワシと英雄たるアーサーを前にしてその自信。中々真似できるものでないぞ」

「そうか。さて、今日俺がきた理由……わかるな?」

「さぁな」


ヘルロードは不遜な顔で、そっぽを向くだけ、大した反応をしない。


「ふん。そもそも貴様らが規約を違反して、このような所までそこの馬鹿共を転移させるから、わざわざ俺が出張ってきたんじゃねぇか」

「それがどうしたのじゃ。貴様らで言うところのイベントじゃ。問題あるまい」

「問題あるんだよ。これはゲームだ俺たちの指示なしに勝手なことするんじゃねぇよ黒蜥蜴」


不満たらたらといった表情で、ヘルロードを罵倒する鬼族の男。


「黒蜥蜴とな。また笑える表現を。それで貴様はどうするというのじゃ?」

「まぁとりあえずだ。貴様らにはお仕置きだ。俺たちに逆らうのだから当然だろう」

「ふん。若造が。ワシを舐めるなよ?」


その先言葉は不要と言わんばかりに二人は走り出す。

ちなみにこの間主人公はアーサーとジオの後ろにガイルとリエールが引っ張り、無言にさせられている。


「フンヌァアアアアア!」

「やぁかましいわぁ!!」


鬼族の男は四本の腕の内、二本で、防御。もう二本で拳打という戦法で、対してヘルロードは片手。鬼族の攻撃を避けつつも、ただ腕の半ば一点に拳を放ち続ける。


「どうしたぁ!若造!攻撃が掠りもせんぞぉ!!」

「ヌ、ヌゥ」


鬼族の男が弱いわけではない。それこそヘルロード以外の龍なら互角以上に戦えていたであろう実力。カズマなら気迫だけでもかてたかもしれない。

だが相手はヘルロード。今だからこそ、王として、放浪することもなく一点に留まり、国を見守っているが、元々はただの戦闘狂。陸を支配する龍王の称号を持つ最強の一角なのだ。


「ヌシ程度ならアーサーでもそこの神狼でも問題ないじゃろう」

「ふん、この俺の力をこの程度だと思っているなら、お笑い者だな。黒蜥蜴」

「なら出し惜しみせずやるがいいわ!!」


ヘルロードは手に黒い炎を灯し、一瞬の内に、それを鬼族の男へ放った。


「ヌォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」


その炎は鬼族の男に当たると、周囲百メートル程を巻き込んで燃え盛る。ギルの炎なんて目じゃない程に焼き尽くした。

ちなみに後方はアーサーが結界で守ったので問題はなかった。


「……」

「……ククク」

「フフフ」

「クククク……」

「フフフフ……」

「「クァ(フハ)ーッハッハッハッ!!」」

前者が鬼族、後者がヘルロードである。


「手加減したとはいえ、無傷とはなぁ!ハッハッハ」

「あれで手加減か。力の差を見誤っていたようだ」

「カズマなら痛みを感じる時間もなく消し去れるほどの威力だったが……流石鬼族といったところか」

「というかなんで俺を毎回引き合いに出もがもが」

「黙ってろ!」

「お前の出るところじゃない」


と、カズマが沈められてるのは、完全に無視され、鬼族の男とヘルロードは睨み合う。


「ところで、だ。ヌシの名は何じゃ?」

「俺の名か?俺はタイタン。鬼族のタイタンだ」

「ワシの名は……知っておるな」

「あぁ。黒龍王ヘルロード……最早黒蜥蜴とは言わん。油断もしない。全力で叩き潰してくれようぞ!!」

「来いッ!!貴様の拳全て防ぎ、完膚無きまでに消し去ってやろう!」

「行くぞォオオオオ!」

「グルァッ」


鬼族の男、タイタンと黒龍王ヘルロードの戦いが本当に始まった。




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