七日目!そして久々なハイテンション語り
そんなこんなで七日目。
昨日はあの後アリスに怒られたり抱き締められたり、そんでちょっとイチャイチャして寝たわけだけども。
武器も出来るまで残すところあと一日。
「なんで擦り傷一つつけられねぇんだよぉ!!」
「ぶっちゃけ坊主がどれだけ強くなろうと、俺に傷を付けることは出来ないだろうな」
『頑張れカズマ!僕の加護も上乗せしてるんだから勝てるさきっと!』
昨日従魔の契約を交わし、アリスに次ぐ相棒となったジオだが、神獣フェンリルってだけあって、加護もついてきたわけで。
「氷雪系魔法の威力上昇に耐性、消費マナ減少ときて、更に身体強化まで入るとなるとやっぱり強くはなってるんだろうけど……」
「カズマがそもそも魔法下手だしな」
「ですねぇ」
「そうなんだよなぁ」
『でも仕方ないのかもね。このおじさん僕でも苦労すると思うし』
「え?勝てるっぽい発言だけど勝てんの?ジオ」
『んー火山地帯でもない限りは勝てそうな気がする』
「随分自信があるんだな、神狼」
『まぁねー』
「さて続き始めるぞ!」
「ぶっ倒す!」
ちょっと距離をとり……。
審判になったジオの合図を待つ。
『始めっ!』
昨日の戦いで折れた鉄の剣に変わって、ジオが作ってくれた氷剣(鉄の剣の柄をそのままに刃のみを剣にした)を逆袈裟に振り上げる。
「はい遅い」
それをいとも簡単に半ばからへし折るアーサー。
「ウィンドスラスト!」
「フレイムクロウ!!」
俺の両脇からリエールの魔法とガイルが襲いかかるも、魔法は部分的な結界に打ち消され、ガイルは腕を掴まれ、真後ろに放り投げられる。
「一閃!」
その間に氷の剣を再生させて斬りかかるも、結界に阻まれ、刃は届かず。
「氷漬けぇ!!フリーズフィールドッ!」
新魔法(似たような物はあるらしいが効果範囲が小さ過ぎ且つ地味なので一緒にするなと言われてしまった代物)でアーサーと俺の足元を凍らせ、アーサーが足を取られるのを……待つ。
「いや焦らなければ滑ったりしねーよ?」
「な、なんだと……」
「ボム」
「ぶごはぁっ」
足元にアーサーのボムが炸裂し、背後から迫っていたガイルと俺を吹き飛ばし、せっかく凍らした地面も爆ぜた。
「ぉぉぉぉ守護結界無かったら火傷じゃすまねぇよ……」
「ルァッ!」
「何!?」
吹き飛ばされたと思っていたガイルが意外と無傷でアーサーを殴り飛ばした。その殴り飛ばした先には、態勢を立て直した俺!!
「龍閃もどきぃいいいい!!」
「バリア!」
昨日イチャイチャしながらも闘気の使い方を教わった甲斐もあり、剣先から龍(イメージ的には西洋とか翼のある方でなく、蛇みたいな龍)が飛び出していき、アーサーを飲み込んだ。が、直前に結界が展開されたのが見えたからどうせ無傷で殴りかかってくる(ちなみに本日のスタイルは格闘家だそうで、ナックル。上半身裸。ボクサーパンツというマジで謎スタイル)はずなのでーー。
「おらぁ!」
「跳脚ッ」
アーサーはただのジャブですら闘気を飛ばしてくるので、跳脚で大きく前に跳び、即席で作った氷の盾でそれを防ぐ。リエールはその隙を利用して風の刃を連続して放ち、再度闘気を放とうとするアーサーさんを足止めする。
「重一閃!!」
そこにアーサーの背中目掛けて腰の方から両手で氷の大剣をフルスイング!
「ふんぬぁ!」
「おぉ!?」
アーサーがリエールの魔法を片手で殴り消しつつ、振り向き俺の氷の大剣の腹を殴り砕く。
「脆い!もろ過ぎるぅ!」
泣ける!ジオの加護あってもこの強度!泣けるよ!
「だがまだだ!」
砕かれた氷の破片は一斉にアーサーの方を向き、飛び上がる。
アーサーも地味に驚いたようで眉をピクリと動かすがやはり簡単に結界に阻まれる。
「ルゥアッ!っくぞカズマァ!」
「おう!」
横からガイルがアーサーに殴りかかると同時に氷のつぶてを打ち出しながら、剣を作り出す。イメージは細く鋭く……レイピア型だ!
「オラオラオラオラァ!」
「一発でいいから刺されぇええええ」
どこのスタンドだろうかという殴り方をするガイルと、とにかく必死に剣を突き出す俺。というか何故剣を使わなくなったガイル。拳には拳で挑むというのかガイル。そしてアーサーの背後でひたすら風の刃を撃ち続けるリエール。
「もうこれでやり続けるしかないな!」
「いつかは傷付けられるだろ!」
「それをこの俺が許すと思うか?」
アーサーの姿が一瞬陽炎のように揺らぐーー。
「閉じ込めるッ!」
こないだ俺が気絶させられた闘気を爆発させる技。それを俺はアーサーを結界に閉じ込めることで直撃は避ける。
このまま閉じ込めておきたいが、強度が無さ過ぎるのか、爆発が終わるまでの間に割れてしまう。
「マナの揺らぎぐらいは感知出来たか」
「そりゃな」
「本当に物凄く緩やかだが上達してきてるな。だが、もうその戦法は無理だぞ?」
「はぁ?俺はまだ行けるぞ!」
「俺も行けます」
そのあとに続くだろうリエールの声が無かったので、リエールを見ると、マナを切らしたのか、膝をついてグッタリとしていた。
「大丈夫か!?リエール!」
「ええ……すいません」
「ま、こんなもんで良いんじゃないか?今日は。坊主の大事な子来てんだし」
そう。昨日から私がいないとやっぱりカズマ様は危険なことを仕出かす!って怒りつつ、ずっと一緒にいたのだ。なので俺が訓練してるところも全部見ているわけだ。……情けないとこばっか見せちまってるなぁ……。
「いや、もうちょいやろーぜ」
「それじゃ一対一でやるか?坊主」
「おう。やってやる!」
「少し待て。装備を変える」
そんでアーサーを待つこと五分。
「来い」
アーサーは最初に着ていた物とはまた別の黒い軽鎧に身を包み、これまた細く真っ黒な刀身のロングソードを取り出した。ちょろっと鑑定。
黒龍の軽鎧
黒龍の王ヘルの鱗とマナを使って作られた一品。
ものすっごい硬い。マナを注ぐとより硬く軽くなり、闇、炎系の魔法、術技に補正がかかる。
黒龍の長剣
黒龍の牙を削り、作られた物。ほんとに削っただけなのに、そこらの剣は触れるだけで折れる。
マナを注ぐと闇の炎に包まれ、斬った相手を傷口からじわじわと燃やし尽くす。
「なんつーもんを取り出してくんねん!」
「おう?あーお前ら鑑定眼みたいの持ってんのか。全く終わった後に教えてやろうかと思ったのによ」
「ところでさ」
「ん?なんだよ」
「結界の弱点ってねぇの?」
「坊主にはあるけど俺にはねぇよ?」
「なんでやねん!」
「いや、坊主の結界割と簡単に割れるだろ?俺ヘル以外に割られたこと……あるにはあるけどマジな戦闘なら殆ど割れたことねぇよ」
「マジかよ」
「マジ。この結界は心の力といっていい。心の力が弱ければ結界も弱い。強ければ結界も強い」
「それどこのATフィー○ドだよ」
「なんだ?えーてぃー?」
「気にしねぇでくれ。とりあえず弱点はねぇと」
「ない。だが今回は結界つかわねぇでやるよ。一対一だしな」
「おーいいね」
「坊主は使って良いんだぜ?無いにも等しい強度だから」
「舐めんな!行くぞ!」
「来い!坊主!」
六日目の昼、俺は延々と転がされ、体力の尽きる時までやりあった(一方的に攻撃し続けるも全ていなされたが)。
「夜だ!飯だ!第六回打倒!アーサー!会議!イェーイ!」
「「「……」」」
「え、テンション低くね?」
「いや、というかですね、何故アリス殿がいるんです?」
「あ、アリスは闘気の使い方を手取り足取り教えてくれるからお呼びしたのさリエール」
「そうですか」
「教えるなら俺達でも出来るのだが」
「いや、文字通り手取り足取り……マナを流してもらって、俺の身体を通して闘気を発現させてもらう……からさ」
「だから俺達でも問題なかろう」
「問題あるんだよガイル!」
「ど、どのような問題が……」
「俺には今、アリス成分が足りない!」
うぉぉぉ……ガイルとリエールが何言ってんだコイツ?みたいな目を向けてくる……。だがここで負けてはいけない。届け俺の熱意!!
「俺はなぁ!アリスがいてくれるからぁ!頑張れるんだ!むしろ頑張るんだ!それをなぁ!アリスがまた手取り足取り教えてくれるその幸福感パッネェから!マジパネェから!」
何言ってんだコイツ?から若干引きかけてるけど俺は負けない!
「例えば、マナを注ぐ、という点を挙げてみよう!マナを、注ぐだ!アリスがわざわざ俺に力を貸してくれるんだぞ!?手と手を触れ合わせて!アリスの手ふにっふになんだぞ!?んでめっちゃホットなんだ!あったかいんだぞ!?んでその注がれるマナも同んなじくらいあったかいんだ!ポカポカする!そこまでしてもらったら、俺だって頑張るしかないだろ!?なぁ?!ガイル!自分の好きな人!彼女でも嫁でも良い!その人が手を合わせてマナをくれるんだぞ!良いだろ!?良くないか!?」
「……ムゥ」
「リエールもだ!手だけじゃねぇ!アリスはなぁ、俺の後ろから抱くようにして身体を密着させて、尚且つ俺の両手首を掴み、全体的に闘気で包んでくれたりすんだよ!?超あったけぇし、気持ちいいんだよ!今はな、ちょっと硬い鎧来たりしてるけど、寝間着じゃそんな硬いもんはねぇんだ!わかるか!?つまりだ、つまり!アリスのこのふんわりとたわわに実った夢の果実が俺の背に密着してるんだ!わかるかこの幸福感!やべぇから!」
「は、はぁ」
「そう、んでだ。それをな?それをお前らがアリスと同じようにやるとするよ?」
二人はまだ何もわかっていないのか、それともほんとは気付いていても気にしていないのか。それはそうとしても俺は納得いかない。いやしてはいけないんだ!
「男同士手を重ねてマナを流したり、男同士抱き付いて、闘気で包んだり……暑苦しいわ!!いくら俺がイケメンだとして、お前らもなんだかんだモテそうな見た目でも、それはまずいだろ?えぇ!?野郎共!」
「カズマ様……」
「ん?どしたアリス?」
「は、恥ずかしいです……」
アリスは耳を真っ赤にしつつ机に突っ伏しながら言った。
「いくら、僕の家だとしても、これは凄い……恥ずかしいですよね」
「気持ちはわかるぞアリス殿」
リエールとガイルの二人はアリスを慰め、俺をアホを見るような目で見つめてきた。
俺もなんとなく見つめ返してみる。
「「「……」」」
「で、私の話は程々にそろそろ始めませんか?」
「お、そうだな」
「あぁ」
「ですね」
こうして夜は更けていき、二時頃を過ぎるまで対アーサー談義(とアリス談義)は続けられた。
熱意はガイルにだけ若干届いたとかなんとか。




