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アーサーがマジで強い

短い!!

でもキリはいい!

翌日。


「アーサー!!」

「来い!!若輩者共!」


訓練所に着いて十分もしない内に試合が始まり、開始と同時に、剣を突き出す。


「うりゃあ!」

「バリア!」


剣は見えない壁、結界に阻まれ、五センチ程の所で止まる。


「ガイルリエール!」

「火弾!」

「ウィンドブロウ!」


俺の両サイドからガイルとリエールの魔法が曲線を描きながら、結界に着弾する。効果はやはり、なし。


「来いよ、受けてやるよ」


ちょっと馬鹿にしたような声色で話すアーサーが虚空から取り出したのは黒と赤の短剣。防具もそれに合わせたのだろうか、ただのレザーアーマーというやつだ。見た目はマッチョなシーフって感じになってる。


「とりま、鑑定!」


ノワールダガー&クリムゾンダガー


それぞれ闇の魔力と火の魔力が込められた短剣。

対になっているようで、融合させ、ロングソードにすることもできる特殊な魔剣。


「それすっげ強いんじゃね?」

「それだけ本気で相手してやんだよ?だから、俺の期待を裏切らないでくれよ?」

「ーーまッ!」


一閃。

俺は反射的にかがみ、その殺意の刃をやり過ごす。

アーサーの目の色が変わった。


「カズマ!」

「カズマさん!」


黒と赤の剣撃を二人が受け止め、俺はその場から離脱する。


「逃げんな」


二人の剣をいなし、間を通り抜け、眼前へと迫るアーサー。


「い、一閃!!」


黒の短剣を無理やり、一閃で弾き、アーサーが体制を崩すことを期待したが、アーサーは弾かれた短剣を放り出し赤の短剣を左下から俺の右肩目掛けて斬り上げようとする。


「跳脚!」


剣はまだ見えている。だから、ギリギリで避ける。


「坊主、お前のその距離は、まだ俺の範囲だよ」


跳脚を使ってもなお、逃げ切れない。赤の切っ先が俺の鼻を掠め、いつの間にか手に戻していた黒の短剣が、俺の心臓へ向かって伸ばされる。


「俺にはまだ剣もある!」


黒の短剣を剣の腹で受け流し、柄の部分でアーサーの顔を殴打するが、ゴンッと結界に阻まれ、むしろダメージを受ける。


「ほら終いだーー「ウィンドブロウ!」うぉう!」

「げふぅー!」


真横から風の塊が俺を突き飛ばし、アーサーの剣からは逃れた。


「《半龍化》ァ!」


ガイルが俺がいなくなったことにより、刃が空を斬り、妙な態勢になったアーサーを《半龍化》バージョンの火弾で吹き飛ばす。


「っと!流石にこれじゃ決めさせてくれないな!若輩者共」

「おっさん絶対殺す気で来ただろ今!!」

「あぁ。ヘルに頼まれたんでな」

「いや、だからってほんとにやるなよ!」

「なら、坊主。お前は殺意を向けられた時ちゃんと受けられるか?戦えるか?守れるか?」

「はぁ!?た、戦えるに……」

「決まってないだろうよ!今のだって俺はお前をいつでも殺れたし、そこの二人に助けられなきゃ、間違いなく倒れてたはずだ」

「そ、そうだけど」

「その隙はいつか命とりになるぞ。いや、既に何度か死にそうになってるんじゃないか?」

「む……」


確かに結構死にそうになってるけどなー。


「俺は元々死ぬはずだったんだし、死ぬのはもう運がなかったとしか」

「死ぬことを運のせいにするなよ?強ければ死なないし、病魔だってよっぽどのことが無ければ魔法でなんとかできんだからな」

「いや、それはおっさんだからであって俺めっちゃ弱いしさ」

「なら何故剣を持とうとするんだ?坊主は。弱いというなら持つ必要はない。自分が弱者だからといって、努力を怠る者に剣を持つ資格はない」

「べ、別にそんなつもりはねぇよ!俺だって、いくら弱かってアリスを守ってやりたいし、会ってからまだ少しの時間しか経ってねぇけど、俺はあいつの隣にいたい。そのためになら何でもするさ」

「口だけなら何とでも言えるぞ?坊主」

「口だけになんてしねぇ!」


アーサーは短剣二つを長剣にし、斬りかかる。俺はそれに対して居合切りの要領で迎撃。

ガギンッと火花を散らしつつ、剣を弾く。

ーー軽い。アーサーは剣を離さない程度で握っていたようで、すぐに態勢を整え、俺の肩口から、腰まで斜めに斬りかかってくる。それなのに、俺の態勢はまだ弾かれた態勢のまま。動体視力にステータスが追いついていないからか。動かない、動かないけど!


「火龍炎剣!」

「風龍瞬剣!」

「跳脚っと」


横の二人がそれぞれの得意属性を纏わせた剣でアーサーを捉えた瞬間アーサーが消えた。ように見えただけで、その場から大きく跳び退き、無造作に剣を横に振ると地面が裂け、斬り飛ばされた土が俺達の視界を塞ぐ。


「ウィンドブロウ!」

「おおっさんきゅ!」

「カァッ!!」


その土をリエールが風で吹き飛ばし、ガイルが熱線ブレスをアーサーに放つ。


「一閃」

「マジかよっ!」


俺もよく使う一閃。でも威力はやっぱり段違いみたいで、熱線ブレスを弾いてしまった。


「龍を舐めるなよ」


そして熱線ブレスの残光が消えるよりも早く、ガイルが動く。


「舐めてなんかいねぇさ!!」

「どうだか!」


ガギンッガギンッと火花を散らしながら、ガイルとアーサーの間で剣戟が交わされる。


「ウィンドアロー!」


そこで出来るアーサーの隙を狙い、絶妙なタイミングで風の矢が撃ち込まれていく。

その矢と共に俺も駆け、剣を突き出す。当然の如く、アーサーは弾くが、それをガイルがカバーし、隙を無くす。


「行くぜガイル!」

「坊主もきたか!」

「いつでも良いぞカズマ!」


二人でテンポ良く、入れ替わりながらアーサーの剣を弾き、受け流し、また余裕がある時は斬り、打ち込んで行く。

即席の連携だが、それなりによく出来ていると思う。


「今!!」

「うぉ!?」


やや上段方向に一閃をし、アーサーの剣を強く弾く。アーサーの身体は剣につられて大きく仰け反る。隙だらけになった脇腹にガイルの炎の剣が叩き込まれ、アーサーの身体が曲がる。


「っつ!」

「龍閃!紛いっ」


龍閃とは、剣にマナを流し、龍のような闘気ごと、剣を突き出す技なのだが、口で説明を受けただけで、ぶっちゃけ闘気ってのが感覚的に理解しただけだし、龍に変えるやり方もよくわからなかったので、結局マナを通した剣という状態で突き出してしまった。為に紛い。


「だがまだ甘い!」


弾かれた剣を短剣に戻し、俺の剣を弾こうとするアーサー。


「いや終わりだ!」

「何!?」


風がアーサーの両腕にまとわりつき、動きを制限する。そして、後ろからの追い風が俺を後押ししてくれる。


「届けぇえええええ!!」


剣が届く、数ミリというところ。そこでアーサーは笑いながら、自身の闘気を爆発させるように発した。




「……ん?」

「起きたかー坊主」

「あれ?俺は……」


周りを見回す。

ここは訓練所の休憩場のようだ。


「カズマさん。タオルです」

「お、リエール。さんきゅー」


濡れたタオルを差し出され、顔を拭き、尋ねる。


「俺達、あれどうなったんだ?」

「結果としては坊主の剣は届かなかったな。ルール的には坊主達の負けだ」

「そっか……」

「でもですよ!カズマさん凄く頑張ったと思いますよ!カズマさん聞く所によるとレベルも百満たないくらいらしいし、それであれだけやれるなら、凄いセンスはありますよ!」

「お、おう。そう言って貰えるのは嬉しいんだが、勝てないし、多分俺あんまり強くなれないからさ。まぁ訓練中に言われたけど、強くなる為の訓練はやめるつもりはないからよ」

「そうしとけ。坊主らが俺に剣の力を使わせたら及第点ってところだな」

「すぐに使わせてやるよ!あ、そういやガイルは?」

「ガイルさんは飲み物を買いに行ってます。一人で考えたいこともあるみたいなので」

「そっか。ガイル頑張ってくれたのにな……リエールも。結果出せなくてごめんな?」

「いえいえ!僕も大したことは出来てませんし、僕は僕でアーサー殿と訓練が出来るのは嬉しいですから」

「嬉しいのか?こんなおっさんで良いなら、まぁ昼くらいなら相手してやれるぜ?」

「本当ですか!?皆に後で伝えてないと……!」

「お、お前さんだけの予定だったんだが」


アーサーとリエールのテンションが反比例してく中、休憩場に飲み物を抱えたガイルが帰ってくる。


「起きたか」

「おう。ごめんな」

「気にするな。私も力不足だった」

「んじゃ、ありがとな」

「貴重な経験ではあるからな。時間もまだある。あと一週間と少し。その間に絶対カズマの剣で、アーサーに傷を付けて見せよう」

「くっくっく……やってみろよ」

「やってやるさ!んじゃガイル!リエール!作戦会議でもやろうぜ」

「「あぁ(はい)」」

「今日の訓練はこれで終わりにするから、ゆっくり俺を倒す算段でも立てて来い。じゃあな」

「ありがとうございました!」


手を振りながら休憩場を出て行く、アーサーを見送り、俺達は反省会、及び作戦会議に至った。




「はい!やってきました第二回打倒アーサー作戦会議!」

「今回の反省点はですね……」

「ない!」

「わけないだろう馬鹿者」

「突っ込み過ぎですね。ガイルさんもカズマさんも。もうちょっと隙を見ましょう。あと、カズマさんは剣を弾かれすぎです」

「すまん」

「すんません」


男二人して謝る。


「と、僕視点からの注意です。お二人は何かありませんか?」

「俺は無い無い。むしろ助けてもらってばっかりだから申し訳ない」

「私もない。どちらかと言えば、作戦の方に意見があるな」

「そうですか。では反省会はここまでに」

「短いけどいいか」

「ええ。作戦会議としましょう。では、ガイルさんの案をお願いします」

「簡単な話だが」


チラリと俺を見てガイルは話す。


「カズマに強化魔法を使って、実力の底上げをしてやればいいんじゃないかと思う。一対一の勝負なら私達自身に強化魔法を使う方が良いはずだが、これはカズマの修行だしな。一瞬本気で私とリエールを強化して、アーサーを取り押さえればいいかと思ったが、それではカズマの修行にはならん」

「それだと僕達が強化魔法を付けてあげても駄目なんじゃないですか?周りに使う人がいるかわかりませんし」

「いや、アリスが多分使えるから、それはそれでいい案だと思う」


今のところ強化魔法なんて滅多に使ってないはずだが、無詠唱とかスキルにあるはずだし、知らない間に使ってるかもしれない。


「ならその案で行きましょうか。細かいのは強化魔法に慣れてからですね」

「慣れる必要あるの?」

「必要ですよ。カズマさんは動体視力も良いのですぐに慣れるとは思いますけど、本番で使って不都合があるといけませんから」

「そっか」

「では、外に出るか。ついでに三人で組手でもしよう」

「「おう(はい)!」」




お読み頂きましてーありがとうございます!

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