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パルメーおじさん

ギルドホームに帰って来た俺達。今回はさすがに喧嘩もなく、解散したのだが、俺はまだやることがある。

明後日に会議だかなんだかに参加しねえとだから、最前線組に舐められねぇような装備にしとかねぇと。

……アリスを。

俺は良いんだ。とりあえず武器だけでもそれなりに強く見えるからな。


「つーことでアリス!七層行こうぜ!」

「はい?良いですよ。行きましょうか。でも何するんですか?攻略ですか?」

「アリスの装備を整えに」

「え、でも最近アクセラリーの方を買って頂いたばかりなのに」

「今回は普通の装備だし、明後日の為にも見た目をな」


今のアリスの装備はアクセ以外三層か四層で楽に手に入れられる装備だ。んで金はフィルを倒したのがたんまりとあるから問題ない。


「ついでに遅めの昼でも食べようぜ」

「そうですね。そうしましょうか」


アリスの同意も得たことだし、行くとしようか。いざ、七層へ!




「えー。ここは七層の街シィラです。シィラ名物シィラストライカーは街を三周して加速して用意されたゴーレムをSTRとDEXの高さだけで砕くというゲームです。賞金はゴーレムの残骸なので、組み立てる人が好きな方、自分の単純な力を試したい方は是非どうぞ」

「カズマ様。広告読んでないで、早く行きましょうよ」

「ん。そうだな」


ちなみに日付けを見ようと思って探していると五年くらい前に終わっている行事のようだった。


つかこうやって買い物にくんのすっげ久しぶりだな。


「アリスどんなんがいい?」

「私ですか?私は、派手じゃなくて、動きやすい装備が良いですね。騎士装備は格好良いのですけど、重めですし、着物系は可愛くて個人的に好きなんですけど、動きにくいんですよね」

「よし。じゃあ着物系買ってくか。んで普通の装備も買おう」

「良いんですか?」

「ダメなんて言うわけないだろ」


俺はキメ顔でそう言った。


防具屋に着くと速攻で着物ゾーンへ。

ちなみに防具屋の名前が買ってけドロボー!だったんだが。買ってったら泥棒じゃないだろ。


「さぁ!選ぶが良い!」


と言っても種類は二つ。真っ黒な巫女さん服とピンクと白の組み合わせのちょっと小さい子向きの着物。


「……」

「やめとくか」

「はい」


今回は無しになりましたー。若干巫女さん期待した俺が失せましたー。


「さて。装備の方は……」

「か、カズマ様!」

「ん?なんだ?」

「い、いま」

「どした?」

「ヘレナさんがいました」

「まじか!?」

「こっちです!」


アリスに手を引かれ、通りに出るが、既にヘレナっぽい人はおらず、見つけることはできなかった。


「マジでヘレナいたのか?」

「いましたよ!」

「そっかぁ。あのヘレナがなぁ」


ワイバーンん時に逃げ腰MAXだったヘレナがこんなとこいるかな?


「まぁ、生きてんならいいか。またどっかで会えるだろ」

「そうですね」

「んじゃ続き……」


と言おうとしたところで、グゥとアリスの腹部辺りから腹の虫が鳴いた。


「……」

「先飯行くか」

「はい」


顔が真っ赤なアリス。ヤバい抱き締めてなでくりまわしたい。


「ううぅ〜。早く行きましょう!」

「お、おい、場所は」

「適当に!」


俺は照れまくっているアリスに手を引かれ通りを走り始めた。




「さて。とりあえず明後日の計画も立てようかね」

「はい」


俺達はパルメーおじさんのスパスタ料理!ってところに、それぞれカルボナーラに似た何かとスパゲティに似た何かを食べている。というかカルボナーラとスパゲティなんだが。


「なんか時間が時間だから夕食って感じだな」

「そうですね。あの騒ぎからこんなに早く開店できるのも、中々凄い気がします」

「だな。なんだかんだ、結構規模がでけぇしな。んでアリス。フィルの話さ、明後日の会議で話した方が良いかな?」

「んー……どうでしょうか。何故これまで秘匿していたのか、問い詰められる可能性もありますし、カズマ様達でいう、じーえむって方々の一部と勘違いされるかもしれません。何より真実味に欠けます。でも一概にそうとも言えません。各層の代表なんですから、有る程度思慮深い人間が多く、真剣に聞いてくださるかもしれません。それにもし、彼らがカズマ様の命を脅かそうとでもするなら、私が全力でお守りします」

「そうか。心強いな。アリスがそう言ってくれるなら、それを公表するのも悪くないか……」


コト、コト……と手前にお冷が置かれる。不意に横を見るとそこには筋骨粒々と言ったガタイの白髭を生やした爺さんがいた。

つかいつの間に?足音すらしなかったぞ??


「おおっ」

「おっと驚かせたか。すまんの」

「いや、ありがとうございます」


置かれた水をゴクゴクと一気飲みして一息つくと、爺さんが声をかけてきた。


「若いの。話を聞くところ、今日のゴブリン戦線で相当良い戦績を残したようじゃな」

「聞いてたんですか?」

「まぁ、客は……」

「あぁ」


周りを見回しても俺達だけ。不味いんじゃないかと思ったが、アリスと二人だけで話せるのでここにしたのだが。

だけど結構美味い。


「じゃからな」

「パルメーさん?で良いんですか?」

「いかにも。ワシがこの店を建てたパルメーじゃ」

「見たところ、かなりの腕をお持ちのようですが……」

「わかるか嬢ちゃん。確かにこんなんじゃわかるかのう。ガッハッハッ」


快活に笑うパルメーさん。


「ワシは昔、ジャスティスイタリアンというギルドにいたんじゃが、そこのギルドマスターが異常に強い男でな。かつて、反抗期真っ盛りだったワシの暴走を正面から止められた男だった」

「ジャスティスイタリアンって……」


ネーミングセンス疑うってかそいつ絶対GMだろ!イタリアンなんてこの世界の言葉にはないぞ!?


「今思えばあの男は若いのと同じ、異世界の者だったのじゃろうな」

「な!?あんた事情に詳しい人なのか!?」

「あの男が話していた物語を聞いていて、本当にあったことを話しているようだと感じていただけだがな。だがワシは確信していた。鉄の塊が、ワイバーンより早く飛んだり、ハイブラックジャガーより早く走る世界のことをな」

「飛行機と車……か」

「やはりあるのか!ひこーきとくるまというやつが!」

「ありましたよ」


そうかそうか、と何か納得して再びガッハッハッと笑うと


「やはり本当にあったのか。いや、長く生きてみるもんじゃ。あの男の話は嘘じゃなかったんじゃな」

「あの、少し聞きたいことがあるんですが、よろしいですか?」

「なんだ?嬢ちゃん」

「私達はマスターであるカズマ様達に付くため、余計な記憶を排除されているようなのですが、パルメーさんは大丈夫なのですか?」

「ワシか?ワシは大丈夫じゃ。他は知らんがの。あの男が話したくなったら話せばいいと言っていたのでな。隠す必要もないじゃろて」

「……」


アリスは何故か黙っている。つかさっきからなんか知らん話とんでるけど。アリスの記憶が排除されてるってのはやっぱアリスもこの世界に元からいたってことなんだよな。


「あの、その男の人の名前を教えてくれませんか?」

「ぬ。そうか。まだ名を言ってなかったな。名をギルフォードと言っていたな。金髪碧眼の美男子じゃった。あの見た目で職は武道家じゃからな。初見では大分驚いたわい」

「ギルフォード、か」


なんか割と良くある名前って感じだな。


「さて若いの。こうやって呼ぶのもなんだ。名を教えてくれんかの」

「そうっすね。俺はカズマです」

「私はアリスです。カズマ様の妖精で、種族は」

「ヴァルキリーじゃろ?」

「え?なんでわかったんですか?」

「さっきのゴブリン達を下の方で殲滅していた金色姫という子がおったと聞いたのでな。さっきの話を聞いたところ、アリスちゃんで間違いないじゃろて、思ったんじゃ」

「そしてそんなことが出来るのは」

「ヴァルキリーしかいないじゃろ」


この爺さん結構何でも知ってそうだな。


「すんません。まだ色々話聞きたいんですけど、良いっすか?」

「良いぞ。ワシはなんだかんだ暇じゃからな」


それから三十分程度話していると他の客がやってきてしまった。


「おっと。ワシは仕事に戻らんといけんようだ。続きはまた今度じゃ」

「そうっすね。んじゃアリス帰ろうぜ。結構な時間になっちまった」

「はい」

「あ、パルメーさん。会計」

「おお忘れとった」


と、少し笑いあってから、俺達はその場を後にした。




「もう十七時か。アリス早く帰ろうぜ」

「……はい」

「どしたよ、元気ねぇな。大丈夫か?」

「いえ、何でもないです。帰りましょう」

「なんかあるんだったら言えよ?」

「本当に大丈夫ですよ。ありがとうございます」

「んじゃ、帰ろうか」

「はい」


そして俺達は手を繋ぎ、ギルドへと、歩き始めた。

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