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ジュンの実力2

「えーでは。まぁあれだ、とりあえずだ」

「……」


トランとジュンを戦わせた結果、トランは前回のギルド戦を思い出し、震えて部屋から出なくなってしまい、とても友好的に話せる雰囲気でなくなってしまった。


「あの、なんかすいません」

「謝ることなんてないのよ。私達が強過ぎただけよ。あんな自信満々で出てきて負けてくって、恥ずかしいったらありゃしないわ」

「メイ言い過ぎだし、僕ら二人で戦ってるから勝ったんだし、相手に妖精がいたらまた違う結果になってたと思うよ?」

「そんなことないわよ。あんなハイドして隠れてやるような奴に私が負けるわけないわ!」

「お前!あんまりトランを馬鹿にしてると、ピクシーだからって容赦しないぞ!!」

「なぁによ。あんたさっき負けてったエースって奴より弱いんじゃないの!?そのあんたがかかってきても、二の舞になるだけよ!」

「なんだと!」

「まー待て待て。一応ジュン達二人がかなり強いってのは知れて良かったじゃねぇか。トランは強い奴だから、大丈夫だって」

「それでも、一生懸命戦った相手をこうやって馬鹿にするのは間違ってます!だから僕は君に、決闘を所望する!僕が勝ってそんなことが言えないようにしてやる!」


珍しくシロがやる気だ。メイも上等よ!などと言っているが、主人であるジュンはそのやり取りを見て、深いため息を吐いていた。


「ジュン。どうする?」

「メイはメイだけだと、多分負けちゃうよ。魔法以外使えないし、まず体格が違いすぎるよ。だから」

「あんた私が負けるってそんなことあるわけないじゃない!」

「メイ。少し黙ろう。主人として僕が相手しよう。条件は妖精を使わない。つまり、メイを使わない戦いで決めよう」

「それじゃこの子を負かしたことにはならないじゃないか」

「君は物理攻撃が全くできないこの小さな妖精を痛ぶるのが趣味なのか?メイは性格はこんなんだけど、見た目は結構可愛い女の子だと思うよ?その女の子を君はその剣で斬るというのかい?酷い人間だね」

「うー。わかったよ。じゃあ君と戦おう。君も負けたらその子に謝らせて」

「わかった」


そうしてギルドホームで休む間もなく、再び闘技場へと移る。




「これで良しっと」


ジュンは装備を整えたのか、そう呟き、シロが装備をし終えるのを待つ。


「お前らもずっと着いてくるけど、どっか行きたいとことかないのか?ここは俺が見てるから、レベ上げでも何でも行ってきていいんだぞ?」

「皆はともかく、私は秘書って役職を受け持ってるから、ギルドマスターであるシロの戦いを見届けないといけない。……気がする」


とクインスは言うがお前、気がするだけかよ!


「俺らはなんとなく。最近PKも多いし他人のPVP見て、対人戦学ぼうと思ってな。それにさっき負けちったし、次こそは……ってね」


ちなみに、このゲーム、街中でも普通に戦ったりできるようになっている。いや、異世界だからある意味当然なのだが、破壊不可能イモータル建物オブジェクトももうなくなってしまった。

だからもう、街中が安全とは言えない。


そしてジャックとナタリアさんはデートに出掛けた。


「僕もこれで良いです。始めましょう」


ジュンも装備を整えたのか、ってあんま変わってねぇな。


「カズマさん。お願いします」

「おう。いざ真剣にぃ〜勝負!」


「はぁ!」

「りゃあ!」


試合開始と同時にキンッと二人は剣を交差させ、そのまま鍔迫り合いに入る。


「跳脚!」


そこから跳脚でジュンを蹴飛ばし距離をとり、再び跳脚で大きく踏み込みつつジュンを横一文字に斬ろうとするが、


「遅いね!」


ジュンは身を屈め、それを避けそのまま剣を突き出す。

シロは振りきった剣の遠心力を利用し、斜めに身体を逸らして避ける。

二人はそのまま通り過ぎると、同時に振り返り、剣を重ねる。


「白連疾駆!!」


シロの剣が白く染め上がる。多分氷属性の技なのだろう。

シロは長いうさ耳と髪がオールバック状態になるくらいの速度で駆け始める。


「これならどうだ!」


そしてジュンの正面から無数の突きを放つ。剣速はそれなりに速い。

が、それでもジュンには見えているのか、その殆どが避けられてしまっている。

だが、殆どがであって切り傷ができて、そこから血を垂らしていた。が、見ているとその部分は白く凍った。


「いっつつ……やるね。切り口を凍らすことができるんだね」

「ふぅ。君もね。そこまで避けられるとは思ってなかったよ」

「このくらいだったら問題ないさ。それに、次はもう擦りもさせない」

「どうかな?白連疾駆!」


シロは先程の技を再度使用してジュンに迫る。ジュンはというと、剣を構えているが、それだけだ。他に何をしようともしていない。


「はぁ!!」


ズババババッと連続で突いていくシロだが、一発も当たっておらず、当たりそうになっても剣で逸らされている。

そして最後のフィニッシュをシロがキャンセルして下がろうとしたのを見逃さず、ジュンが踏み込む。


「シャイニングスラッシュ!」

「くっ!」


それをとっさに剣で受け止めるが、堪えきれずに転ぶシロにジュンは更に剣技を発動させる。


「シャインソード!」


剣に光属性を付与したのだろう。剣がぴっかぴかだ。そして、


光り輝く剣はシロの腹部にーー


刺さらず、シロは跳脚を使って無理矢理脱出した。


「冷や冷やする戦いね……」

「おー頑張れシロー」


そういや俺二層の代表なんだよな。装備とか整えた方がいいかな?貴族風な服とか。でもパーティとかじゃねぇから大丈夫かな?


「シャイニングラッシュ!!」

「白連疾駆!!」


思考している間に暖かくて眩しい光と冷たくて幻想的な白が二人を中心に放たれている。


「つかシロ全然強いじゃん」

「ここ最近頑張ってますから」


何故かクインスが自慢気だ。


「これで決めてやる!!」

「来い!」

「兎跳蹴!!」

「まさかの蹴り!?」


シロは水平に跳ぶと、そのまま凄い勢いで、ジュンに到達し、そのまま重い蹴りで、ジュンを吹っ飛ばした。


「ぐはっ……!」

「良し!」


だがジュンのライフバーは半分くらいにしかなっていない。


「なんで、半分までしか減ってないんだ……」

「勇者スキルの一つ、ダメージキャンセラーだよ。低確率だけど、受けたダメージを無効化できるんだ」

「セコい……!」

「カズマさん今セコいとか言わなかったですか?!」


ジュンが俺の方を見て言う。いや、ほんとにセコいと思っただけなんだ。


「ならもう一回……!」

「もういいよね。行くよ!シャイニングラッシュ!」

「そんなのさっきと同じ……ッ!?」


光がシロを飲み込むようにして襲い掛かる。先程とは桁違いの威力だ。


「ぐあぁっ!」


最後のフィニッシュの突きを受けて吹き飛ばされたシロ。八割あったライフバーは三割程まで減っていた。


「勝負あり、かな?」

「くっ」


首筋に剣を当てられ、シロは降参の意を示した。




「ふーっあっはっはっ!流石ジュンね!私達は一人ずつで最強なのよ!ざまふぐぅ!はひふんひょひょ(何すんのよ)!」

「あのね。メイ。いくら君でもやっぱり一生懸命戦った相手を馬鹿にするのは良くないよ」

「ジュン!私達勝ってるのよ!?勇者なのよ!?普通もっとちやほやされて、大切にされて、皆私達にひれ伏してるものなのよ!?」

「どういうものだよ」


なんか、ジュンとメイが終わって早々言い合いしている。


「僕らの戦いを見て何か感じてくれるかなって思ってた僕が間違いだったね。シロ君。トラン君のことを悪く言ったのは謝罪するよ」

「ちょっと……」

「あ、うん」


メイがなんかふるふると震えているがジュンは関係ないと言った感じに新しく切り出す。


「それで、ギルドの話だけど、僕ら入っても大丈夫かな?」


そして可能ならメイの性格の修正を……と呟いている。苦労してるんだな。


「僕は、良いよ。そもそも、勇者って称号がついちゃうくらいなら、良い人だろうしね。そこの子はともかく」

「良かった。じゃあこれからよろしく」

「まぁ個人でも強いのはわかったしいいんじゃね?」

「というかジュン君」

「あ。君はいらないよ」

「わかった。ジュン。君が最後に使ったシャイニングラッシュ、あれはどうしてあんな威力になったんだい?」

「あーあれね。僕の体力が六割以下になると、光属性の技の威力と、DEXが上昇するんだ。まだ僕が弱いからそこまでの威力にならないけど、僕のステータスが高くなれば高くなるほど、凄まじい威力になってくんだろうね」


だろうねって軽く言ってるけど、結構便利な能力多いなほんと。

それだってステータス上がっていけば最終的に化け物並みに強くなるじゃねぇか。もしかしたら、アリスよりも……。

今このステータスなら先は長いだろうけど。


「とりあえず丸く収まったっちゃ収まったみてえだし。帰るか?」

「は「待って」」

「どうしたの?メイ」


メイは頬をほんのりと赤く染めて、もじもじとしながら、ボソッと一言


「ごめん……なさい……」


謝った。

ジュンは静かに「良く言えました」と言ってにやにやしている。


「あの人にも謝るから、ゆ、許して……?下さい……」

「いや、いいよ。僕が勝手に怒っちゃっただけだし、シロも謝ってくれたし。うん」

「ジュン、あの」

「うん?」

「ごめんね」


とアイテム化して消えた。


「じゃあ気を取り直して戻ろうか」

「「「はーい」」」


そして俺達一同は闘技場を後にした。



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