アリス頼り俺観戦
お久しぶりです!
ちょっと忙しくてかけませんでした(汗
ジャックに言われたがまま、洞窟を進んでいくと、一つの大部屋を見付けた。
背中には何かずっとピリッとした感覚がある。何かヤバい感じがする。
「サイカさん。アリス、シュカ、ギル。準備は?」
「大丈夫だよ」
「何が来ようと、カズマ様をお守りします」
「主には手は出させません!」
「任せろ。ボッコボコにしてやる」
それぞれが自信満々といった感じに答える。
「よし。行くぞ!!」
扉を開けた先には……。
痩せている、弱そうな男が一人立っていた。一応ここがボス部屋なんだろうけど……。
周りには女の死体が沢山ある。気持ちが悪い。
「来ないのか?」
男が呟く。
「いや、なんか拍子抜けしちまって」
つーか。こいつ……。
鑑定
フィル
人間。二十歳くらい。弱そう。
だが、ネクロマンサーで、数十体の、のゴーストを一度に使える。
闇魔法のプロフェッショナルでもあり、呪術系統も凄まじい。
そして、自身を復活させるスキルがあるんだと!せけぇー。
そして、俺達と同じプレイヤー。
けど、ボスとして存在してるから鑑定できるんだと!
「なんだ、と?」
「どうしたのですか?カズマ様」
「いや、なんでもねえ!アリス!やっちまえ!」
「フレイムボルト!」
アリスの手から放たれた炎はシルグに届く前に霧散した。まるで何かに弾かれたかのように。
「なっ!?」
「ダークオーラ。これがある限り俺に触れることすら敵わない。さて。お前達、出番だ」
フィルが死体の方に手を翳すと、死体共が立ち上がり、俺達の前に来て構えた。そのうち二体はフィルの元にいき、フィルに撫でられ、気持ち良さそうにすると、そのまま抱き付いてフィルに身体を擦り付けていた。
「ククク。本物の死体、実に良いものだな。俺はこちらに来れて、本当に幸せだよ。こんな美女達に囲まれて暮らせるんだからよ」
一人で語っていた。
俺達は動かない。何故か動けない。
「君達はそのまま俺の話でも聞いていてくれ。その間に一人ずつ殺してあげよう。綺麗な子も三人程いるしな」
「ぐっ……お前……」
「本当に。ここに入ってすぐに動いていれば、こんなことにはならなかっただろうに」
「や、めろ、触れんな」
フィルはサイカさんの豊満な胸を装備の上から撫でる。
あまり感覚はないはずだが、それでもかなり不快だろう。
「なぁあんた!鑑定で見たんだが、あんたプレイヤーってどういうことだ!?なんでこんなところにいる!?」
「ん?知りたいか?」
俺は動けない身体を前のめりにして、怒鳴る。
「あぁ!知りたいさ!俺はな、このゲームがデスゲームになったこと自体は大して気にしていないんだ!だがな、この世界を良いように使ってるGMにイラついてんだよ!んで質問だ!てめぇはなんだ!?」
「んー。強いて言うなら、この二十五層までの神にして、GMの一人だ」
今、なんつったこいつ……!!
「こんな広い世界、俺一人じゃ見てられないからな。五人で分けてやってんだよ。もう何年ここにいるのかわからんがな。まぁ俺は」
こうやってな。とフィルは指をパチンと弾くと、頭上に大きな画面が現れた。
「これをこいつらと愉しみながら見るのが楽しみなんだよ」
「……」
「俺はボスとしての能力で腹は減らねえし、逆に食い物にも困らねえからずっと見てられる。この世界に来たやつらが泣きながら殺られていくところとかな」
「てめぇ、マジでうぜぇ奴だな」
心から嫌悪した。久しぶりに。
「アリス!本気でやってよし。シュカとギルも全力でやれ!」
「はい!」
「「はっ!」」
「なんだ?ただのプレイヤーとワイバーン如きがこの俺のマインドバインドを解けるとでも?」
「余裕!」
アリスはな!!
俺が叫ぶと同時、アリスの身体がブレたかと思うと数人の女が吹き飛ばされていた。
「なに!?」
まずアリスはプレイヤーじゃない。ヴァルキリーだ。ヴァルキリーはそもそも魔法を使って戦うタイプじゃない。
普段は魔法を使ってもらっているが、近距離戦で一番力を発揮できるタイプなのだ。だから、魔法を使わないで戦うアリスはマジで強い。
死体のライフは一瞬で尽き、血飛沫を上げて吹き飛ばされて行く。アリスの身体はその血を浴びるよりも速く動く。それはまるで雷のように。疾風迅雷。そんな感じだな。
ワイバーン二人組は二人組で、俺の知らないスキルを発動させて、死体共と戦っている。ギルは全身を炎で包み、シュカは風を纏っているようだ。
「メテオアロー!!」
「ウインドスラッシュ!!」
ギルの弓の放つ数百の炎の矢とシュカの双剣から発された、数多の風の刃が、死体共を一層し、その真ん中をアリスは余裕の表情で通って行く。あぁ……あんな顔でも凄く可愛いなぁ。
「アリスちゃん達だけにはやらせないよ!!」
サイカさんはアリスに気圧されて力の弱まったマインドバインドを解きノリノリで大剣を取り出し、死体共に斬りかかりに行った。
俺はというと。
「頑張れー!アリスニコッて可愛いなぁ。あ、お前ら!来るなよ!俺そんな戦えねえよ!マジで!」
二体くらいの死体相手に発見され悪戦苦闘していた。
「一閃!」
最早数百回と使ってきた技を使い、辛うじて女の攻撃を弾く。
「うおおおおおお?!」
が、もう一人の女の剣が頬を掠め、それだけでライフバーが少し削れた。五パーセントくらい。
「ちょっといてぇ!微妙過ぎる痛み!これはこれで嫌だな!」
「うるさい!私達がフィル様に愛されるために死ね!」
「あんたらしゃべんのかよ!」
と問答しながらも、剣戟は続く。
「ちょ、マジで無理!マジで無理だからぁあああああ!うをぁ!?」
「ここだ!」
「死ね!」
俺の足がもつれて転けたところに女二人の剣が振り下ろされた。
ーー死ぬ!!
「……?」
目を開くと女達は微動だにせず立っていた。
「あれ?」
と声に出した時、女達は半分に裂けた。前と後ろで。
「うわぁああああああああ!!」
血がぁあああああ!つか脳みそとか内臓とか色々……。
「おろろろろろろろろ……」
無理。しばしお待ちください。
うん。落ち着いた。落ち着いたぞ?
座ったまま振り返るとぴちゃっと、手に赤い液体が。その先には内臓をさらけ出している死体二つ。
「おろろろろろろ……」
マジで辛い。
つかアリス達、あんな戦ってんのになんで……死体の数すっげ多いから全然減ってないんだけど。
フィルを見ると、最初マインドバインドが解かれて驚いていたようだが、すぐに余裕を取り戻し、ニヤニヤと気色悪い薄ら笑いをしている。気色悪りぃな。
「我が魂に呼応せし闇の魂よ、我等の元で生ける屍となって踊り狂え!エンドレスパーティ!!」
フィルが闇の魔法(見た目で判断)を使い、散って逝った死体共を復活させた。
「まさか……」
「そのまさかだよクソ餓鬼」
「さっさと死んじゃいなぁあああ!」
後ろを見ると、女二人が鬼の形相で斬りかかってきた。俺は座ったまま愛剣でそれを防ぎ、転がり逃げる。
「この、死に損ないめ!」
「いや私ら死んでるから」
「死んでいながら生きてんのよ」
「んん……?」
「あれ?イザーラ、おかしいの?」
「いやおかしくはないだろ……つか迷うなよエリエル」
「いや、そもそもあんたら脳みそ腐ってんだろ。見た目はギリ原型留めてるけど」
なんか話し込んでしまったぁああああ!!でも、時間稼げば……。
いや、エンドレスってことは終わらないんだよな?
「なぁ、あんたらっ!?」
「あ」
石ころにつまずき、そのまま地面に……着く前に、死体の女のエリエルって人が支えてくれた。
「あ、ども」
「いや、良いのよ」
死体なのに不思議と腐臭とかはしない。それよりも、なんか良い匂いすらしたのだが。
「おーい。私ら敵同士だろう?そこ二人何イベント起こしてるのよ。あっちじゃあんたの仲間達が頑張ってるってのに」
「まぁ、確かにそうなんだけど、俺自身はあのフィル以外は別にいいとか思ってんだよ」
「あーぁ。私もなんかやる気なくなっちゃった。ちょっと三人で眺めてようか」
「そうだな」
ということで。三人座って眺めることになりました。
「メテオアロー!」
「ウインドスラッシュ!」
「はぁあああ!!」
ギルさん、シュカさんの二人が周りの敵を葬り、私とサイカさんで中心で殲滅し始めて五分は経ったのか。あるいは体感がそうなだけで、実際は一分くらいなのか、それはわからないけど、このままじゃいけないと思う。
私なら、すぐにあのフィルというひとを倒せるかもしれない。だけど、ダークオーラというのが気になる。先程から合間を縫ってライトニングを当てても全て無効化されてしまっている。
時折カズマ様を見ると応援してくれてるようなので、笑顔だけは向けておく。
「くっ!」
「アリスちゃん!あんたがあの骨男だけなんとかしてくれれば、私達がこいつら殲滅できるよ!」
「でも、私の魔法は弾かれてしまいますし!」
「どうにかなんないのかい!?このままじゃ疲れて死んじゃうじゃないさ」
サイカさんの言うとおりではあるのですが……後先考えずにやって、私がやられてしまったら、カズマ様が危ないですし。
「ってカズマ様!?シュカさん!ウインドスラッシュをあの二人に!」
「っ!?主!ウインドスラッシュ!」
シュカさんの放ったウインドスラッシュで死体二人が真っ二つになり、倒れた。
「よし、でも、大分減ってきましたね。このままいけば……」
「我が魂に呼応せし闇の魂よ、我等の元で生ける屍となって踊り狂え!エンドレスパーティ!!」
私の呟きを嘲笑うかのような笑みでフィルは魔法を発動させた。
すると、さっきまで倒した死体がまた復活して襲いかかってきたのです。
さすがに私も怖くはないですが、人型の何かを殴るのは精神的に来るものがある。
「さて。そろそろ俺からも攻撃に参加させてもらうぞ?」
「はあッ!!」
私は突如出現した黒い球体を弾き飛ばし、フィルを見た。
「ッ!?」
フィルを取り囲むように黒い球体が数十個も浮遊していた。
「ギルさん!」
「擬似メテオレイン!!」
ギルさんは即座に炎の矢をフィルに撃
つが、遅かった。
「ッ!」
その矢は黒の球体に全て吸い込まれ、他の球体は私達目掛けて飛んできた。それぞれが防御に入るが、球体は様々な方向から降り注いだ。
「多連蹴撃!!」
私は蹴り技でその全てを弾いた。が、何か違和感のようなものができた。
ギルさんの矢をあそこまで簡単に無効化した球体なのに、あまりにも呆気なく弾けとんだからだ。
フィルを見ると、凄く苦笑いになっていた。
あれ?
「我が根元たる闇の精よ、我の血を喰らいて、彼者を喰らい尽くせ。イートスネイク!!」
フィルを取り囲むようにあった黒い球体がそれぞれ繋がり、巨大な蛇と化して、私に飛び掛かってきたので、
「闘神烈火撃!」
烈火撃の進化形の技でそれを殴り、打ち破った。
「?」
ちょっとだけ手に違和感が残った。殴った瞬間だけ、拳の炎が弱まった気がする。勘違いかもしれないが、試してみようと思う。
「天衝炎撃!!」
ジャック君が決め技に使っていた技だが、マナの総量が違いすぎるため、威力にも差がつく。その差が、この目の前で放たれている炎の奔流で、ジャック君の炎がただ吹き飛ばす程度なら、私のはその手から放たれた炎は、波となって、敵を焼き焦がすまで尽きないといった感じになるのだ。
「やっぱり……」
話を戻すとすると、私の感じた違和感は、技自体のマナを吸い取られているだけなのではということ。現に私の放った炎はフィルに辿り着く前に、小さくなっていき、霧散する。
正確には霧散ではなく、吸収だが。
これがわかれば後は簡単だ。
「炎狼演舞!!」
炎狼演舞の力で一瞬でフィルとの距離を詰める。
五メートル程でマナが吸われていると確認する。物凄い勢いで、恐らく私でなかったら倒れてしまうだろう。
途中で死体が迫るけれど、私の剣の衝撃波だけで、更なる死を迎えていく。
「なんだ、お前はッ!!」
距離は二メートル、最早それは距離とも言えない。ここまで行けば私の剣からは逃げられない。フィルも危険だと感じたのか叫んだ。
「雷光撃!!」
「行け!お前達!」
「「双連剣!」」
フィルの両隣にいた死体が動き出すが、もう、意味はない。
私の雷が纏われた剣で斬り裂き、フィルの首元に剣が届きそうになった時、フィルの手のひらから黒い光が放たれた。
「ダークエナジー!!」
「閃光撃!!」
それはほんの一瞬。身を低くして、アッパーをするように剣を放つと、黒い光は、私の肩を穿ち、私はフィルの顔面を斬りつけた。
「はぐっ……」
「ぐぁああああああああ!!」
左肩が熱く、鋭い痛みが流れる。血が、溢れる。
「アリス!!」
カズマ様が走ってくる。その姿を見て安心する。
「ダークエナジー!!」
「ッ!?」
振り向き防御の構えをとるが、フィルの狙ったのは私ではなく、
「あ、ぁぁ……」
「なん、ごふっ」
カズマ様だった。
「あああああああああああ!!」
「ヒールだ!アリスちゃん!」
不意にサイカさんの声が響き、現実に戻される。私は肩から流れる血を気にも止めずにカズマ様に駆け寄り、ヒールをかける。すぐに傷は塞がったが、カズマ様は気絶してしまった。
「……」
「お前、ヴァルキリーだったんだな。じゃなかったらこの俺のダークエナジーやダークオーラをまともにくらってて動けっ!?あ?」
何故か自慢気に話し始めたフィルの首を斬り落とした。頭のなくなったフィルの首元から血が噴き出る。私はカズマ様にかからないように部屋の端に移動する。
死体の人達は皆唖然としていた。
私はそれらが斬り殺されていく中、愛しい人の頬を撫で、囁く。
「終わりましたよ」
まだちょっと忙しいので
遅いと思いますが、よろしくお願いします




