勝ったっぽいけど
うぅーん。
話の筋は作ってあるのだけれど
上手くかけません。
アリスの肩が血だらけになってて、フィルが倒れて、アリスんとこに駆けつけようとしたところまでは覚えている。
「なんで俺膝枕されてんの?」
本日開口一番の言葉である。
もう何故か日にちが変わっており、部屋の階段を上がり、別の階層まで着ているようである。周りを確認するが、一応全員揃っている。
「あれ?ナタリアさん?」
何故かナタリアさんまでいる。超笑顔でジャックを膝枕している。ギルとシュカは二人背を合わせて寝ている。
何このリア充集団。
そんな中サイカさんは一人壁に背を預けて寝ている。まぁサイカさんは既婚者みてぇだから良いのか。
でも、
アリスは凄い申し訳なさそうにしている。あー思い出した。俺死にかけたんじゃん。あまりにも唐突過ぎてどうにもならなかったけど。
んで、すげぇ、痛かった。なんか例えようもない痛み。そんな痛みを味わいながらアリスは助けてくれたんだなと思うと、凄い嬉しい。
「アリス」
「カズマ様?起きたのですね……」
「おう。あのさ、ありがとうな」
「いえ、あの場で油断して、カズマ様へ攻撃させてしまったのは私の責任です。だからお礼なんていりません。むしろ叱ってくれてもいいのですよ?」
「んや。んなことしねぇさ。ところでさ、イザーラって人とエリエルって人いなかったか?」
「……あの場の人達は皆……こ」
「いや、もういいや。お疲れ様、アリス」
「はい」
あの二人が死んだことに良心が痛まないわけではないが、それでも目の前のこの子がちゃんと生きていることが一番なので、俺はあえて気にしない。
「さて。ジャックを起こしてくれないかな?ナタリアさん」
俺は起き上がり、ジャックに話を聞くためにナタリアさんに声を掛けるのだが、
「……」
反応がない。
「ナタリアさん……ひっ?」
凄い睨まられた!超睨まれてるよ俺!
「起きてるっすよ」
「あっ……」
もぞもぞとジャックが起き上がろうとすると、ナタリアさんが凄い悲しそうな声を出した。
「……このままで話して良いっすか」
「い、良いよ別に」
「カズマ様」
ここ、空いてますよ。といった感じに白い太ももを用意するアリス。
えっろっっっ。とは口が裂けても言えない。さて。俺は遠慮なくそこに寝かせてもらうのだが。いやぁ、生足、素晴らしいね。
ふにふにしてて、ちょっと冷んやりしているあたり、凄く寝やすい。
「でだ。ジャック。とりあえず安全地帯まで来れたんだ。話を聞かせてもらおうか」
「んじゃあカズマさん。一回ボス部屋戻るっすよ」
「なんで!?」
「なんかナタリアさんの話だとこっから先の方がもっと、やばいらしくて」
「つかマジで戻るのかよ」
「はいっす。ナタリア」
「はいっ!」
ジャックは起き上がり、ナタリアさんに指示を出すとナタリアさんはボス部屋を開き、ジャックと共に入っていく。
「おい、待てって」
ボス部屋に入ると、そこにはまたフィルがいた。
「「「は?」」」
その場の全員が疑問を口にした。
「つーことで、ボスでありながらGMの俺はプレイヤーが部屋からいなくなることで復活できるのでしたー」
「じゃ、じゃあ、またあんたと戦わなくちゃならねぇのか?」
「いいや。お前らが突っかかってこない限りは戦わん」
「そうか」
ホッと息をつくと、そのままジャック達と話を始める。
「って気になり過ぎる!!あんたどっか行けよ!!」
「うるせぇな。イザーラ。エリエル。相手してやれ」
「……はい」
先程の死体二人組が寄ってくる。
「あんたらはクリアしてった癖にすぐ戻ってきて、なんのつもりだよ」
「んーとな。俺もよくわからん」
「とにかく話すっすよ」
「ん。あぁ」
んで話を聞くところ、なんか俺、凄い危ないらしい。ブラッド・リッチといい、スカーレットといい。どんだけ殺したいんだよ。
「あ、そうだ。あんた。フィルさんよ」
「んだよ。早く出てけよ。今日はイザーラとエリエルとヤる日なんだからよ」
「アリス。焼け」
「フレイム……」
「ちょ、待てよ!」
「「?」」
「な、なんでお前ら二人揃ってなんで?みたいな顔して首を傾げるんだよ」
「カズマ。早くしな。今の話だとあまりふざけてはいられないよ」
「あ、すんません」
サイカさんごもっともです。
「つーわけでよ。あんたGMなんだろ?このイベント終了とかできねぇのかよ」
「はぁ?ばっかじゃねぇの?ばー」
「フレイムボルト!!」
「ぼはぁっ!?」
アリスが無詠唱で、超至近距離からフレイムボルトをフィルに放った。
「あっっっっづ!!」
「カズマ様を馬鹿にしないで下さい」
「んの野郎……」
「フィル様……ここは早く終わらすためにも、ちゃんと説明してあげた方がよろしいかと」
エリエルが駆け寄り、フィルにそう助言する。エリエルはそのまま俺にウィンクを飛ばしてきた。
なんだろうか。この謎なまでの優しさというか気配りというか。
「そうだな。んじゃ説明してやるよ。このFSOというゲームは、ゲームであってゲームでない。それをまず最初に頭にいれておけ」
「あぁ」
「ここはな。メンテとかそういうの、存在しねぇんだよ。ここにいる生き物はCPUとかそんな概念はない。皆俺達と同じように生きてるんだよ。元々こいつらは血も流すし、一回死んだらそれで終わりだ」
「んなもんわかってるよ」
「だからなぁ。あーめんどくせぇ。まずイベントとかは俺達GMが起こしてるんじゃねぇんだよ。ワイバーンのやつは龍王のやつが差し向けただけだし。今回のだってスプラッタードールが独断で始めてる。ブラッド・リッチだって、この世界が動いていく中で生まれた産物だ」
「だから、あんた何が言いたいんだ」
「この世界はゲームじゃない。だからお前が期待しているようなことは何もできない。俺達はただの調停者だ。最初らへん、痛みとか感じないようにしていたのは、この世界に慣らしてやるためなんだよ」
「……」
待て待て。つまり、あれか?ここはもしかしてだよ?
「ここは異世界なんだよ。カズマ君よぉ」
「なんだと?」
「ちょっと待てよ。これはゲームの世界だろ!?実際あのゴツゴツのヘルメットみたいの被らないとログインも出来なかったんだから!」
「あぁ。あれはな、肉体と魂を切り離す装置なんだよ。俺らの世界では実現不可能な力ではあるがな」
「魂の切断?ここが本当にある世界?現実味が無さ過ぎる……!!」
何故かジャックからいつもの〜っす口調がなくなっているのはつっこむべきではないのだろうか。
つか、俺からしたら、もうそれでも全然良いんだがな。むしろ元の肉体と今の俺が無関係なら尚更。
「んじゃあ、あれか?もしかしてよ。デスゲーム宣言の時には既に俺達は」
「死んでるんだよ。もちろん俺達GMもな。お前らはずっとこの世界で生きることになる。時期に来る終末の時を超える力になるためにな」
「そんな、じゃあ、俺達はどんなに頑張っても」
「俺達の世界には戻れないってぇ、わけだよ諸君」
「……」
「でも、俺はもうナタリアといるつもりだから、良いかな」
「リキヤ……」
リキヤ……?!ジャックのことか?!
「まぁ俺もアリスいるし?つかアリスさえいれば俺は大丈夫だし?」
「カズマ様。私は一生カズマ様と共にいますよ」
「おう」
まぁ俺はもう現実でも残り僅かって感じだったしな。むしろこういう転成みたいなことできてすげぇ嬉しいし。
「で、私は家族で来てるから大丈夫ってことなのよ。あんたフィルとか言ったねぇ?家族はどうしたのよ」
「あ?俺か?元々皆死んでるし。一人彼女いたけど、一緒に来て、昔死んだしな」
「昔?」
「あぁ。俺達GMはFSO販売チームを残して三年前からいたんだよ」
「三年!?VRMMOだって二年前にやっと出来たんだぞ?!」
「いや。だから言ったろさっき。俺らの世界では実現不可能な力って」
「ほんとに意味わからねぇ!アリス!説明出来るか!?」
アリスに説明を求めるが、アリスはきょとんとしている。
ちょっと可愛い。
「あの、私はちょっと……」
「つーか元々この世界の住人の子に聞いてもわからねぇだろ。っとこの話は後にしようか。来たぞ?スプラッタードールが」
その場の全員が扉の方を見ると、そこには十体程のエニグマを引き連れたスカーレットがいた。
「貴様ら。殺しに来てやったぞ?」
「スカーレット様!!このようなことはやめてください!」
ナタリアさんがスカーレットに呼び掛けるが、スカーレットはふっと鼻で笑うと、醜悪な笑みを浮かべて言った。
「やめる?ふざけた事を言うな。やっと生者がきたんだぞ?ブラッド・リッチは殺れなくとも、お前らさえ喰らえば……下の奴らも上の奴らも、全員、殺せるはずだからな。それにそもそも私達は生者を殺すために存在していたのではないか。まぁそんな因果から抜け出したかったからか、こいつらはこんなんになったがな」
「どうして、どうしてそんなにまで、殺そうと思うのですか!?」
「それは私の衝動に聞け。神に聞け。目の前の生者を殺せと叫ぶ、この魂に聞け。ナタリア」
「私は、その衝動に打ち勝ち、ここにいます!スカーレット様!お願いです!こんな殺意に負けないで下さい!!」
ナタリアが懸命に叫ぶが、恐らく状況は変わらないだろう。あぁ。ヤバい。
「アリス!!」
「はい!!」
アリスはそのままナタリアを抱え、横に跳ぶと、そこにエニグマ達の黒い腕が突き刺さっていった。
「アリス!エニグマ達を殲滅……出来るよな!?」
「大丈夫です!」
「舐めるなよ、小娘!!」
エニグマ達に飛びかかろうとしたアリスの前に、スカーレットが立ちはだかり、出刃包丁右手に斬りかかった。
「くっ」
「アリスッ!!」
アリスは辛うじて包丁を弾くが、エニグマ達には近付けないようだ。
「全く。次から次へと。俺の聖域を荒らすんじゃねぇッ!!」
何故か後ろでフィルがキレた。フィルの頭上には黒く大きな渦が出現していた。
「何それ!?」
「ダークフレイムゲート!!」
その黒い渦からは黒く大きな炎の玉が出てきた。むしろ人魂か。
さらにその炎の玉はどんどん出て来てエニグマ達を囲った。
「消えてなくなれ!」
その炎は一斉にエニグマ達を燃やし尽くし、その黒い炎が消えると同時、エニグマ達も消えてなくなっていた。
「なに!?」
「出て来い!死龍!」
「シリュー?ってコイツは……」
黒い渦が更に大きくなり、ドラゴンが出てきた。だがその顔は妙にボロボロで、まるでゾンビみたいな……
「ドラゴンゾンビじゃないっすか!」
そう、ジャックの驚きの通り、 巨大なドラゴンゾンビが出現した。
「つーかあんた!なんでさっき使わなかったんだよ!」
「あぁ!?死龍はな!すっげぇ優しいやつなんだよ!俺個人が殺られる程度じゃださんわ!だが、今回は別だ」
そう、とフィルは続ける。
「今日はイザーラとエリエルと初めて会った日なんだからなぁ!!」
フィルの怒鳴り声と同時、ドラゴンゾンビの死龍はスカーレットに向かって、その大きな口を開け……
「アリス!!」
「はいっ!!」
アリスがスカーレットから離れた瞬間、毒々しい紫の煙を放った。
「ポイズンブレスだ。これをまともに受けた奴は、その身をドロドロに溶かして、死んでいく」
「馬鹿野郎!!んなのがアリスに当たったらどうするつもりだったんだよ!」
「どうもしねぇよ!むしろ死ね!」
「よしアリス。今度の敵はもっかいコイツだ。ボコボコにしてやれ」
「え?あ、はい」
「カズマ!!」
「あぐっ!?」
いきなりサイカさんに蹴り飛ばされ、ライフが少し減った。
「何すんだよ、サイカ……さ」
可笑しいところは二つあった。一つはスカーレットが目の前に来ていたこと。もう一つはサイカさんの喉元に大きな包丁が突き刺さっていて、そこから赤黒い液体が噴き出していることだ。
「サイカさん!!」
「ぐぼっ」
スカーレットは刺さった包丁を引き抜くと、その包丁についた血をひと舐めし、再び醜悪な笑みを浮かべた。
「アリス!!サイカさんにヒールだ!!早く!」
「はい!」
「させると思うのか?あぁ?」
いつの間にかスカーレットの持っていた包丁は形を変え、小さな刀のような物になっていた。
アリスはそれを見て動きを止める。
「あーそうか。先にコイツを殺してやれば、お前は使い物にならなくなりそうだな。主に絶望で」
その小刀を俺の首に突き付ける。刃が首筋に触れると、少しだけ切り傷が出来たようで、ヒリヒリする。
「リン!」
「ーー!」
ジャックが知らない女の子に命ずると、その子は何かを唱え始めた。サイカさんのライフはもう無くなるってのに何やってんだよ。
「オニイチャンは随分と冷静だな」
「あ?」
「仲間が死にかけ、自分も今死ぬところで、普通ならもっと怖がるはずだがな」
「そういうもんか」
「何をにやにやしていーー」
スカーレットの身体がブレたかと思うと、横の壁にめり込んでいた。
「ーーーーーーリング!!」
そして、なんか、赤ずきんちゃんっぽい少女が詠唱を終え、サイカさんにかけると、その傷は一瞬で塞がり、ライフもMAXになった。
「つかアリス。今の何?」
「ただのパンチですよ、カズマ様」
あ、ただのパンチだったんだ?
なんか凄いスカーレット壁にめり込んでて、くぐごもった呻き声が聞こえるんだが、あれただのパンチなの?え?つかもしかして手加減してたの?
「な、なぁ。フィルさんよ」
「……ヴァルキリーってこんな強いのか……」
フィルも唖然としていた。
「カズマ様に手出しをするなら、私は容赦しません」
キリッとした顔で言うとすぐに心配そうな顔に変わり俺の首筋にヒールを掛けてくれた。
「カズマ様ごめんなさい、私がいながら首に傷を」
「いや、そんな謝るこっちゃねぇよ。生きてるしさ」
「でも、」
「でもじゃない。それに、まだ終わってないみてえだぞ」
扉の方からは大量のエニグマが。そして壁の方からは右の頭を、陥没させたスカーレットが出てきた。
「フィルさんよ!スカーレットは俺とアリスに任せてくれ。あんたらはエニグマを抑えてくんねぇか?」
「あ、あぁ」
まだ唖然としてたようだ。そんなにヤバかったのか?ヤバいんだろうな。
「よし!アリス!やったれ!」
「はい!」
アリスは元気よく返事をし、構えた。
スカーレットはぷるぷると震えて俯いている。そして、ゆっくりと顔をあげて言った。
「殺してやる!!!」
もっと頑張ります!




