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んー。これは一体どういう状況だ?

本当は昨日更新したつもりでした。

なんかミスってましたすいません。

現在、アリスがフィールド上の全ゴーストを殲滅し、帰路についていたところ、全速力でシュカとギルが飛んできたのだ。


「おー。どした?お前ら」

「カズマさん!やばいっす!」

「何がヤバいんだ?つかお前ら!俺とアリスとサイカさんとユリちゃんだけレベ75まで行っちまったじゃねぇか!お前らのレベ上げからまたやんねーとじゃねえか」

「じゃねえかが多いっす!そんなことはどうでも良いっす!」

「いや良くねえよ!」


お前らのレベ上がらねえと、ブラッド・リッチに勝てる気がしねぇの!

ちなみにユリちゃんってのは妖精のピクシーだ。サイカさんの妖精でぶっちゃけ弱い。かなり弱い。ただお世話係をしているという感じだ。


「とにかく、まずは上が真っ暗な理由言うっす」

「んなもん、夜だからだろ!」

「違うっす!これは全部エニグマっていう魔物なんす!こいつらは全てスカーレットに使役されてるんす!だから出来るだけ遠くに逃げたいんすけど!どうにかならないっすかね!?」

「え?ちょっお前ら何があってそんな焦ってんの!?つかジャック太ももやべぇ!つかよくよく確認したらおま、すげぇレベ上がってるし!」

『主。少しよろしいですか?』


シュカが頭をこちらに近づけてーー。


「うをぁああ!?」


俺を咥えて、ゆっくり背中に乗せた。


『時間がないので、空で話しましょう。主とアリスは私の背に。ナタリアさんは一度ギル隊長の背に乗って下さい。サイカさんは……』

「はいはい。私はあのトカゲモードで走らせてもらいますよ」


ということで、意味のわからないまま俺達は移動することになった。


「シュカさん、これは一体どういうことなんですか?」


うん。俺達共通の疑問だ。ジャックに至ってはずっっっと真面目な顔で考え込んでいるし。


『とりあえず、安全そうなところを探します』

「ここでいいんじゃないのか?空なら」

『主、さっきの話を聞いてなかったのですか?エニグマという魔物がいて』

「聞いたけどよ……」

『だから』

「それなら何処いっても一緒じゃね?」

『まぁ、それはそうなんですけど』

「カズマさん!そこに降りましょう!」


ジャックが下にある小さな洞窟を指差し、降りようと言うのでそれに従い、降りることにする。


「シュカ。降りてくれ」

『はい!』

「よし。とりあえずサイカさんが合流したら話の続きをしよう」


だが、降りてその洞窟に入ると、一瞬だけ、ほんの一瞬だけ、ピリッとした感覚がした。それが何かはわからないが、嫌な予感がする。


『……何か居ますね?』

「マジか」

「この感じ……」


でも索敵スキルでは何もいないとなっているのだが。つか、ここの空がジャックの言うエニグマっていう魔物なら索敵スキルで反応してもおかしくないと思うんだけど、どうなんだろ?


「カズマ様!」

「ぐっ」


突然、アリスが俺を横に突き飛ばした。その直後、真っ黒な何かが通過した。


「グルルルルル」

「なんだこいつ!?」

「エニグマ……っす」

「はぁ!?」


それには顔というものが存在しなかった。ただあるのは横に長ーく伸びている口のみ。そこからは長さも形もバラバラな歯が見えるだけ。


「私が相手します!」


アリスが俺達とエニグマの間に入り、構える。すると、エニグマはその黒い体をぶるりと震わせ……


「なん、だと……!?」


アリスと同じ形になった。ただ、顔は相変わらずだが。


「来ます!」


アリスが叫んだ瞬間、エニグマは目にも留まらぬ速度で黒い腕を伸ばして来た。アリスはそれを手刀で切断すると、一踏みでエニグマの目の前まで移動し、エニグマの心臓部分を貫いた。


が、エニグマのライフバーは少ししか減っておらず、むしろその体全体を広げ、アリスを飲み込もうとする。


「この……!!」


アリスは手刀を用いて、エニグマの胴体を両断し、そこから飛び出した。


「フレイムストーム!」


そこにすかさずギルが魔法を当てる。エニグマはその炎に囚われ焼かれ始めた。


「グゲゲゲゲゲ」

「笑ってる?」


エニグマは燃やされながらも、ギルに襲いかかる。


「このクソ野郎がッ!」


ギルは背中に生えた翼を動かし、エニグマを遠ざける。アリスはそのエニグマに対し、


「ライトニング!フレイムボルト!」


魔法を乱射するが、エニグマはそれを今度は全て避けて見せた。


「烈火撃!」

「グゴッ……」


真横からジャックの不意打ちにより、エニグマの身体が斜めに傾く。ジャックはそのまま流れるように離脱し、ギルの矢がエニグマの頭を貫き、その瞬間発火した。


「ボボッ」

「ーーーー!!」

「よしっ!」


なんか赤いフード被った女の子おる!?誰!?つか何言ってんのか全然わかんねぇ!妖精か!?


「残影烈火撃!!」


ジャックの姿がブレたかと思うと、エニグマの背後に出現し、炎の拳をぶつける。エニグマはすぐに振り向くが、ジャックは綺麗なフットワークでぐるりと後ろに回り、


「天衝炎撃!!」


巨大な炎を拳から突き出し、エニグマを吹き飛ばした。


「グガギャッ」


よくわからない形態を成しているエニグマも流石にダメージを受けたようで、ライフバーも三割程削られていた。


「グギャッ」


そしてエニグマが起き上がると同時、顔面に亀裂が入った。やったのはシュカだ。


「双竜連撃!!」


シュカが流れるような動きで、エニグマの身体を切り刻んでいく。血は出ていないのであまりスプラッターなことにはなっていない。


「烈火撃!!」


そして最後に烈火撃をエニグマの顔面にぶち込んだ。


「グゲッ」

「まだ倒れねぇのか。面倒だな」

「グゲゲゲゲゲ!!」

「なっ!?」


エニグマは黒い体から大量の触手を放ってきた。その触手は一瞬で俺の心臓へとーー迫らなかった。


エニグマの背後から何か大きな影が現れ、エニグマを喰った。


トカゲモードのサイカさんだった。


「ってサイカさんストッッップ!!それ多分食べちゃいけない!」


だが、喰われた瞬間、エニグマのライフバーがごっそりと削られ、咀嚼されるたびに、どんどん減っている。


「グググ……ゲ」

「あ、力尽きた」


サイカさんの口の端から飛び出ていたエニグマの腕?がピクリと痙攣し、動かなくなった。

エニグマのライフバーもゼロ。


「なんか……」


サイカさんいると呆気ねえ。

素で思った。


「と、とりあえずどうする?話すか?」

「いや、俺ここにエニグマがいたことが気になるっす。持つ少し奥に行ってみたいっす」

「おいおい、ダンジョン攻略しにきたんじゃないんだぞ」

「あ、と。その説明もした方が良かったっすね。カズマさん恐らくここはーー」


ダンジョンの中っす。と、ジャックは言った。


「ってええ!?おま、それはおかしいだろ!」

「ではなぜ破壊不可能な筈の建物が壊れたりしたのか、説明つくんすか?スカーレットが刺した俺に包丁をさしたことでダメージを受けたことに説明はつくんすか?」


確かに、医務室みたいなところでは壁壊れたけど、でも。


「俺はライフバー減ってないぞ」


そう。ジャックの推測が合っているならば、あの時の俺のライフバーは減ってなければいけない。


「そこらへんの説明は……まだわからないっす」

「おい。カズマ。あのエニグマってのは何なんだい!?喰ったのにほとんど力に反映されなかったじゃないか!」

「あれ、取り込むみたいな行動だったんすか?」

「じゃなきゃあんな気持ちの悪いやつ、食べやしないよ!」


サイカさんは勝手に食べて勝手に怒っているが、気にしない。


「とにかく。この奥、なんかあると思うんす。ここだけエニグマがいるあたり、何かを守ってるんじゃないっすかね?」

「そうか?」

「取り敢えず先行こうぜ主!ここでうだうだやっても終わんねぇよ」

「そうだな」


して、俺達が行こうとした時、メイドのナタリアさんが俺達の前に立ちはだかった。


「ここ、から先は、いかせません」

「ナタリアさん……!?」


ジャックは驚き、そのまま立ち止まってしまった。


「な、なんでっすか!?」

「この道は……滅びの道です、私達はこの道を行かれてしまったら、確実に殺されてしまいます、あの人達に!」

「あの人達……?」

「二十三層の魔人達によって……です」

「二十三層!?この道、二十三層までの道なのかい!?」

「……はい」


答えるナタリアの様子は少し変で、俯いて、目を合わせようとしない。


「ナタリアさん!頼むっす!俺達、このままじゃ、スカーレットに……」

「殺されてしまえばいいじゃないですか。そしたら私は……」

「殺されてしまえばいいって、そんなこと……」

「そうすれば、私だってジャック君と一緒にいられます!まだ二日くらいしか、話してないけど、私は、ジャック君と……!!」

「もう、いいっす」

「あ……」


ジャックはナタリアを抱きしめた。ナタリアもジャックの背に腕を回し、ジャックを抱きしめる。

つか、こんなとこで惚気んなよ。


「すんません。カズマさん。取り敢えず先行っててくんさい」

「大丈夫か?」

「大丈夫っす」

「わかったよ。アリス!二十三層行くぞ!」


一応ここを出ないと死ぬのは確実っぽいしな。




俺はカズマ達が去ったのを確認し、抱擁を解き、ナタリアに必要な話を聞く。


「ナタリアさん。二十三層に行ったら殺されるってどうしてっすか?」

「二十三層に住んでる魔人達は皆、もっと上の層で生きていた騎士や、貴族だったんです。あの人達はゴーストを超えた存在、リッチなんです。あの人達もスカーレット様と同じように生者を殺したがっているようで、私達を殺し、魂を得て吸収することで更なる強化をしようとしていたのです」

「え、っじゃあ」

「上の階層に行ってもカズマ様方は……」


殺される。そういうことだ。


「なんとか、なんとかならないんすか!?」

「……二十四階層に辿り着ければ……」

「二十四階層には何が?!」

「普通のエルフが暮らしています。私達の層と二十三層は、死の世界と呼ばれてます。理由は、ここまできた生者を殺すための層だからです」

「一体なんのために!?」

「知りません……私達の神が、そう言っていたのです」

「神?」

「はい。私達は生者を殺すためだけに生まれた存在だって。私達はそれを受け入れました。否定しようにも、私達の殺しへの衝動が、それを許してくれませんでした。それで、ゴーストと生まれ変わって衝動が無くなった今も、時折神は言います。やるべきことを違えるな。と」

「……」


俺は、絶句していた。

そしてGMへの怒りでいっぱいになった。


「でも、私はジャック君を殺したくはないです!私に笑って話しかけて、名前までくれて、私の生前の名前を探してくれて!そんな人……これから現れる気がしないんです」


こんな優しい子を縛るGMの野郎共が、本当に殺してやりたい。


「だから、お願いします」


生きてーーと彼女は言った。


「神は今も私に言っています、目の前の若者を殺せと。無くなった筈の衝動が私に囁きます。殺せば楽になれると!」


でも、と彼女は続ける。


「私はそんなことをしたら、今度こそ私ではいられなくなってしまいます。だから、その前に」

「ナタリアさん……」

「私は、私は……!うぅぁぁ……ジャック君」


ナタリアの身体が、ゆらゆらと揺れ始める。


「リン」

「?」

「強化魔法、頼む」

「ん」


リンは頷き、魔法を唱え始める。


「……好きでーー」


俺は、ナタリアを、殺すことにする。

後悔はするだろうが、それでも、彼女をGMからの呪縛から解き放って上げたいと思った。だから。


「ゔぉああああああ!!」

「俺がここでナタリアを殺す!」


黒い闇に飲まれ、エニグマと化したナタリアに向かって、俺は構えた。


「ゔぉあ!!」

「蜃気楼!!」


ナタリアと俺の戦いが始まった。

連続投稿します。

ジャック君頑張ります。

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