超スプラッターなんですけどー。
ハロウィン近いから……
「君。この方々に茶を用意したまえ」
「畏まりました」
今、顔半分の紳士が、下顎から上のないメイドに指示して、お茶を用意してくれているが、これはヤバい。怖過ぎる。つかメイドさんはどっから声を出してるんだろうか。やはりテレパシー的なあれか?そして紳士はつかつかと杖をついて、部屋を出て行ってしまった。
ここはさっきの洋館の中の来客用の部屋のようだが、所々に蜘蛛の巣やら、骨が落ちている。ボロボロ過ぎて床が抜けたりしないか、心配だし。
アリスに至ってはもう何も見ていない。なんか死んでる。目が死んでるもんこれ。
逆にサイカはこの状況を楽しんでいるようだ。つーか楽しむとかどういう神経してるんだこのおば……。
睨まれました。
ちなみにジャックはというと。
「あ、そこのおねーさん!ちょっとこっちきてくださいっす」
「?はい」
「ここの人、皆やっぱ死んでるんすかね?」
「……というより、死んでから、ゴーストに転生した感覚ですね。ゴーストはゴーストで生きているのです。本来は死んだ者とされていますが、私達にはHPもございますし、それがなくなってしまえば、やはり亡くなってしまうのです」
「そうなんすか。でも、そう聞くと怖い要素少ないっすよね。メイドさんの名前ってあるんすか?」
「ないですよ?私達は名がありません。それぞれの役職で呼ばれています。けれど私達もスカーレット様のように、貴方方に名前を頂くことができます。一人一回までですけどね」
「そうなんすかー。じゃあおねーさんはナタリアって名前で」
「へ?」
「名前、あった方がいいっすよね。今俺はその名前がおねーさんに似合うと思ったんすよ。いや、名付けは終わったからもうナタリアさんっすね」
「ナタリア……ありがとうございます!」
なんかちゃっかり話題が弾んじゃってしかも名前まで付けちゃって。ちなみにそのメイドさん。胸の下辺りに風穴空いちゃってて、そこが真っ赤になってますね。血がぁあああ。
「おにーちゃん!」
「お。どした?スカーレット」
「お祖父ちゃんがね!依頼したいことがあるって!」
「ん?まぁ俺も話はしたいから聞こうじゃねーの」
俺はスカーレットに手を繋がれ、廊下を部屋を出ると、廊下に点々と青い炎が浮かび上がる。一々怖いな。だけど炎自体はなんとなく綺麗だと思う。
「スカーレット。依頼ってなんの依頼だかわかるか?」
「んーっとね。多分私のお父さんのことだと思う」
「お父さんの?」
「うんー。あ、着いたよ」
見るとそこには明らかに書斎って感じの部屋で紳士は本を読んでいた。
「すんません。呼ばれてきたんですけどー」
「おぉ。カズマ君。さっそくだが」
「いやいや、さっそくだがってはえーよ。あんたらさっきからどんだけ一方的なんだよ。俺ちと聞きたいことあるからよ。教えてくんね?」
「依頼は聞いてくれるかい?」
「おい。質問に質問で返すな。聞いてやるから今から言うこと教えてくれ」
「うむ」
紳士は頷くと本棚から一つの本を取り出すと、俺の前で開いた。
ページは真っ白。
「これなんだ?」
「これは我が家の魂の書と言いまして、私達の一日の記憶を一回一回記憶するものです」
「ん?どういうことだ?」
「私達は全員、一日しか記憶できないのです」
「は?」
紳士はこの反応に慣れているのか、何故かにこやかになりつつ話し出した。
「常識なるものや、生前の記憶はあるのですが、私達はゴーストで、記憶することがあまりできないのです。ですから、一日に起きたことをこの本に刻むのです」
「でも、これなんも書いてなくね?」
見ても開かれているページは真っ白で何も映されていない。
「少し、触れてみて下さい」
「おう」
俺は紳士に促されるまま、魂の書に触れたーー。
紳士は魂の書に触れ、気絶した青年、カズマを見て言った。
「スカーレット様。この青年は会ってこれますかな」
「戻ってこれなければそれまでだ。それに、これで戻れなければ、奴には勝てん。絶対に」
「そうですな」
少女、スカーレットは口から流れ出る血を気にすることなく、ニヤリと笑い、倒れているカズマの頬を撫でた。
「頑張れよ、オニイチャン。ククク」
俺は一人、闇の中にいた。
「ここは……どこだ?」
瞬きすると、そこは先程の書斎の中だった。しかし、変だ。ボロボロだったはずの床は綺麗になり、壁も真っ白である。まるでここだけリフォームしたのではないかと思えるくらい。
「ん?」
俺は勝手に書斎の扉を開け、ある少女を探す。
「あれ?ちょっと待て俺」
身体が勝手に動く。それも、目的を持っているように。
そして知らない記憶があるのを確認する。
「ってうわっ」
次は小さな少女と一緒にいた。少女はその小さな手で俺の指を握り、折った。
「いぎっ……!?」
左の指に恐ろしい激痛が走る。俺も苦痛に顔を歪ませて……いなかったようだ。何故か笑いが溢れて来た。なんだこれ。
少女はそんな俺を見て笑顔になり、また一本一本の指を折っていく。
「あぐっ……うぐぁあああ!!」
叫んでいるはずなのに、聞こえてくるのは、俺の笑い声と少女の声だけだ。
そしてついに俺は意識もせず、声を発した。
「ユティは元気だなぁ」
ユティ??誰だ?だが俺はこの少女に対して使ったのだから、彼女がユティなのだろう。
「お父様!いっぱい折れたね!
すごいね!」
「そうだな。ユティはすごいな」
俺は……そう良いながらパキパキと折れた指を直していった。
なんだ俺?人間じゃねぇのか?俺は人間だよ。うん。
「ユティ……」
ーーいつか殺してやるからな。
なんとも言えない。いや。言える。明確的な殺意が、頭に流れたあと、さっきの書斎を出たところに戻っていた。
「ユティ……」
俺の声とは思えないほど暗い声が、出た。俺はユティを探す。違う。
私はユティを探す。片手には大きな出刃包丁を持ち、ユティを探す。
「殺す。必ず殺す」
一人のメイドを発見する。向こうと目があうと、メイドは叫び声をあげる。
「お前も殺す」
私はメイドのアリシアの目の前に、一瞬で近付き、出刃包丁を顔に叩きつけた。
「べぐぁっ!あぁ……ああああああ!!」
私は泣き叫ぶアリシアの顔にずぶずぶと出刃包丁で切り込みを入れ、最終的に、下顎から上を切り離した。
アリシアだったものからは大量の血が流れ、私の服を汚した。
そんなものはどうでもいい。大事なのはユティだ。ユティを殺さなければ。
「あっ」
「あ?」
もう一人のメイド、エイミーが声をあげ、私が手に持っていた血だらけの出刃包丁とアリシアの顔を見た。
エイミーは顔を青くし、一目散に逃げ出した。
「……エイミー。待てッ!!」
「いやぁあああああ!!」
私は我が家に伝わる、ある魔法を唱える。
「我が魂と繋がりし魂を、ここに集め、命ずる。我が意志の元に砕け。スピリットゴースト!」
私は目の前に集めた魂をエイミーに飛ばし、エイミーは振り返り対処しようとするが、遅過ぎた。
魂の塊は、エイミーの腹部を突き抜け、私の隣に戻ってきた。
私は倒れたエイミーの元まで歩き、エイミーの腹部を踏みつける。
「えぐぅ……ごふっ……」
「エイミー」
「あぁ……レドウ様…………」
私は進んだ。
ユティを殺すために。
「ユティ……どこにいる」
気が付けば私の周りには死体。死体死体死体死体死体死体。
死体だらけだった。
「ユティ……」
「はぁ、はぁ、はぁ……」
前には頭を割られて死んでいる執事セルクと、逃げ続けて、疲れ切っているユティ。
「ユティ……」
「い、いやぁ」
私はユティの持っていた人形を掴み取り、無茶苦茶に切り刻んだ。
「あ、みーちゃんが!」
「ユティ。私の愛しいユティ。私の手でその生を遂げてくれ」
「お父様、やめて!」
「私はレドウ。魂を司る者。そして私達の呪われた血は、ここで潰えるだろう」
私はユティの身体にいつの間にか持っていた、禍々しく輝く大きな鎌を振りかざした。
虐殺。
斬って斬って斬って斬って斬って斬り刻んだ。
「や……め……ろ……この、いかれ野郎が……」
私は……いや、俺は……辛うじて私の意識を封じ込め、言葉を放った。
俺は恐らく、レドウという者の記憶を辿っているのだろう。
だからこんなことには意味はない。だが、そうせざるにはいられない。だが俺は今。
気が狂いそうになるくらい、人を殺してしまった。違う、俺じゃない。俺は人殺しなんか……。したじゃないか。俺は人を殺した。殺させた。殺させてしまった。あの、アリスに!
「うぐっあああああああああ!!俺は!私は!ぁあああああ!」
叫んでいるのは、レドウか。俺か。恐らく、二人ともが叫んでいるのだろう。だからこうして重なっていられる。同じような思いで、殺したのだろう。
そして俺、は切り刻んだ人形を不意に見た。本当に気まぐれで見た。その人形は浮かび上がると、口の端から血を流し、笑顔で巨大な闇を作り出した。闇はあっという間に俺を包み込み……本になった。
本は魂の書と名付けられた。正しく言えば、レドウ=ブラッドの書だ。
文字通りレドウの魂が封印されているわけだから。
「ご対面もできるってわけかよ」
「あぁ。私はレドウ=ブラッド。君は……カズマだね。私も同じように君の記憶を見ていた」
「そんなこともできんのかよ」
「あぁ。見れば君は私と別次元の人間のようだね。驚いたよ」
「そうか」
ちなみに、今俺とレドウは、真っ白な空間でお互い生前のって俺は死んでねぇけど。なんつーの?正装みたいな装備でいる。
「しっかし。記憶の時と、今のあんた。全然性格違う気がするんだが」
「いや、意識もあったよ。ただこの二十二層の人間は皆、常に殺意を持っていた。それが普通なんだ。ここの人間達は。私はそれを無くすため。止めるために、この層全ての生命を絶った」
「それにしても……」
「あぁ。苦痛だったよ。私達は人間の中でもかなり強靭な肉体と回復力を持っていたからね。壊すのも大変だったよ」
「いや、あんだけ人殺しをしたら辛くねぇのかって話なんだが」
「さっき言っただろう。私達は常に殺意を持っていると。だからその時は楽しかったよ」
前言撤回。やっぱコイツイかれてやがる。
「でも、娘を殺すのは……辛かったよ。この血を絶つなら、必ず殺さねばならなかった。笑顔で私の指を折ったり、友達の首を斬る娘は、特に」
「……なぁ」
「なんだね?」
「俺さ、あんたの娘、今はスカーレットって言うんだけど、あの娘はなんで俺をあんたに会わせたんだ?」
「それは恐らく……私達の邪悪な部分と血から出来た魔物。いや魔人、ブラッド・リッチを倒すためだろう」
「何そいつ?」
「見ないとわからないな。だが君の力、鑑定で名前だけでも出来ないかな?何せブラッド・リッチというのも、私が勝手に名付けただけだからね」
「あんたがかよ!俺のだって流石に見ねえとわからねぇよ!」
「とにかくだ。今君の魂にあるスキルを刻んだ。それを奴に使って、倒してくれ。奴は倒さねば他の層にまで危害を及ぼしかねない」
「そりゃあ……困るな」
「頼む」
そう言ってレドウは頭を下げた。
「わあったよ。ぜって倒すわ。ちなみにそいつのレベルいくつよ」
「生前の私よりは上だから、110以上は確実だな。それに、あれから二百年だ。レベルはもっと上がっているのだろう」
「ひゃくっ……!!」
やばかった。かなりやばかった。つか二百年?はぁ?しかも俺ら今40っちょいだぞ?
「つかレベルってどこまであるんだよ!おかしいだろ!」
「話によると999らしいぞ。だが噂では1000になれる者もいるらしい」
「せ、千て。無理だろ……」
いく前に俺が死ぬ。
「ごめんやっぱ勝てな」
「では頼んだぞ」
「ちょ、おーー」
目の前からレドウは消え去り、世界も消えてなくなった。
「……ん?」
「カズマ様!!」
「へぐっ」
ガツッと鎧のプレートが顔面に押し付けられた。これ外してくれ、マジで。
「アリスか……」
「カズマ様ぁ……」
アリスは俺が起きた事で泣き出してしまった。周りを見れば、サイカも意外と心配してくれていたようで、ホッと息を吐き、ジャックは……寝ていた。しかも大分ボロボロになって。その横にはナタリアさんがいる。
「おいおい。ジャックなんでボロボロなん」
「ジャック君は寝かされていたカズマ様を見てキレて、紳士の方に殴りかかり、その瞬間決闘モードに入り、ボコボコにされたので、寝ています」
「俺のために怒ったのか、コイツ」
ちょっと嬉しいな。仲間、程度には思ってくれてるのか。
すると、スカーレットが俺に気付いたのか、駆け寄って来た。
「おにーちゃん!起きたの!?」
「スカーレット。お前ババァだろ」
ピシッとどこからか音が聞こえたと思ったら俺はベッドから吹き飛ばされ、破壊不可能のはずの壁を破壊した。
「ってぇ……超痛え……」
もちろん痛覚が存在する今、こんなことされたらめちゃくちゃ痛い。街中だから、体力は減らないが、メンタル的にキツい。
「ふん。やはり父上に会えたのか」
「会ったどころか、魂合体しちゃったりして散々だわ。変なスキルゲットしたし」
スキル名称はスピリットマジック。魂を代償にして魔法を使うもののようだ。だからあまり使えない。
ただ威力は凄まじいらしい。
と、なんか起きた時にわかった。
「とりあえずだ。お前の親父さんに倒すって言っちまったからよ、ちっとレベ上げいこうぜ。アリス」
「はい!」
「サイカさんも、来てくれるか?」
「私は良いよ?なんか面白そうなことをやるんだろう?」
「まぁ……面白いかどうかはわからねぇけどな」
そう。
あの超スプラッターな殺人劇を見た後じゃあな。
「あ!!」
「な、なんだいあんたはいきなり」
「そもそも何でスカーレットとか血流れまくってんの!?」
「あ?おにーちゃんよ。普通血は出るもんだろうよ」
「え?」
「それともあれか?おにーちゃんには血は流れとらんのか?」
「はぁ?」
「そうそう。血液な、実装されたぞ。カズマ」
サイカが嫌そうに言った。
血まで実装とかどうなってんだこのゲーム。
「本来なら二十層に達したらのはずだったらしいんだよ」
「お、おう」
「それはまだ大分先だと思われていたが、どこかの誰かさんがまたやっちゃったから、早くから実装することになっちゃったんだー。だと」
「GMの野郎共は……!!」
「だからこれからは血も出るぞ」
「マジかよ……」
ということで、これからは血も出るという、ほんとリアルな世界になりそうです。
ハロウィン通り越してバイオレンスな殺人劇入りました。
ほんとすんません!
お気に入りありがとうございます!
そして感想くれる方ほんとありがとうございます!!




